かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト全集より 宗教音楽2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はモーツァルト全集の宗教音楽の第2回目です。三位一体の祝日のミサ、ミサ・ブレヴィスのK.140とK.65の3曲が収録されています。指揮はヘルベルト・ケーゲルで、ライプツィヒ放送響・合唱団他の演奏です。

まず第1曲目の「三位一体の祝日のミサ」は、ミサ・ソレムニスらしく荘重に演奏していますが、決してべったりではありません。全体的にはゆったりとした演奏でありながら、八分音符を跳ねさせてもいます。それゆえに、全体的に引き締まった、彫琢がはっきりとした演奏となっています。

これが特に最近の演奏ですと、ゆったりべっとりとなる事が多いのですよねえ。それがないことが、ケーゲルの演奏は素晴らしいのです。

それは、2曲目、3曲目である二つのミサ・ブレヴィスでも同様で、その点、演奏者はスコアのどこを見て演奏しているのだろうと、首をかしげたくなる演奏も最近のでは多々あります。

おっと!私のこの発言に「それは言い過ぎだろう。事実誤認していますよ」と突っ込みたいそこのあなた!少なくとも、私はモーツァルトのミサ曲をレクイエムを含め3曲歌っていますので、いい加減な突込みには反論させていただきますのであしからず!特に、K.194を歌っている経験は、そんじょそこらの評論家にも負けません。

突っ込んでいただくのであれば、「確か、この演奏では歌うべき部分が歌われていませんよね?どうしてそんな演奏を取り上げるのですか?」と突っ込んでほしい!

そう、この第2集でも、歌うべき部分が歌われていません。第1集で問題にしたグローリアとクレドの冒頭です。これがいわゆる「社会主義リアリズム」なんですねえ。

なんでそこを突っ込めないのか。それは、日本のクラシックファンが宗教音楽に対して偏見をもっている故に、宗教音楽の歴史とその習慣に関して無知であるからにほかなりません。その点をこの演奏は実についているんですね。

もし、突っ込んでいただくのであれば、「モダンで、グローリアとクレドの冒頭部分をきちんと演奏している、この3曲の演奏でケーゲルクラスの演奏」を呈示しないと、私は納得しません。ですので、以前から、「モダンでももっと演奏を!」と述べているわけなのです。

そして、それが日本でできるのは、こういったクラシックファンの現状では、残念ながらアマチュア合唱団だけです。だからこそ、たとえば混声合唱団樹林などには、厳しいことを言うわけです。今の樹林の実力では宗教音楽をケーゲルレヴェルで演奏することは、また厳しいことを言いますが不可能です。ppとffがきちんと差がつかない、力任せの演奏ではモーツァルトはなかなか攻略できません。

しかし、学生オケである中大オケはそれをいとも簡単にやってのけました。これからの学生には、かなり期待をしてもよさそうです。そのオケと、アマチュア合唱団で素晴らしい演奏をする団体であれば、恐らく10年以内にどこかでケーゲルクラスの演奏が聴けるような気がしています。

先日聴きに来ました中大オケの演奏の評論には、当然こういった演奏が頭にあったうえでということなのです。アマチュアだからといってなめてもらっては困りますぅ(もちろん、オケの細かい点では突っ込んでいただいた方が正しいことだってありますよ!)。

このケーゲルの演奏、たとえば、「三位一体の祝日のミサ」のベネディクトゥスで、ppからffまでが絶妙に表現されています。ちょうどリフレインになる部分で、ppにしてもどったところでfもしくはffにというところは絶妙です。まあ、プロであれば当たり前だとも言えますが・・・・・

しかし、そこは自分たちは出来ていますか?検証したことはありますか?ということなのです。もしかすると、多くのクラシックファンと同じ状況に陥ってはいませんか?樹林の皆さんには、それを問いたいと思います。

是非とも、この演奏を図書館から借りてきて、団員全員で聴いてみてください。ケーゲルと自分たちとは一体どこが異なるのか。そして、ケーゲルが「社会主義レアリズム」によって演奏しなかった部分を、是非とも慣習に基づいて「正しい」形で演奏し、ケーゲルを超えてほしいと思います。

不可能ではありません。オーケストラ・ダスビダーニャにはできたのですから。期待しています。コア・アプラウスのほうが実力では上ですが、なかなかこの手をやろうとしませんので・・・・・

名声のチャンス、到来ですよ!



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ミサ曲ハ長調K.167「三位一体の祝日のミサ」
ミサ・ブレヴィス ト長調K.140(Anh.C1.12)
ミサ・ブレヴィス ニ短調K.65(61a)
ヘレン・ドナート(ソプラノ)
アンネッテ・マルケルト(アルト)
ウーヴェ・ハイルマン(テノール
アンドレアス・シュミット(バス)
ライプツィヒ放送合唱団(合唱指揮:イェルク=ペーター・ヴァイグレ)
ミヒャエル=クリストフリート・ヴィンクラー(オルガン)
ヘルベルト・ケーゲル指揮
ライプツィヒ放送交響楽団



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