かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:小澤/サイトウ・キネンの「第九」

今回のマイ・コレは、2002年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本で演奏された、ベートーヴェンの第九です。指揮と演奏はもちろん、小澤征爾サイトウ・キネン・オーケストラ他です。

このCDはその2002年の年末に、3枚そろって買っています。実は、その他の2枚も第九でした。

いくら第九が好きだからと言って、これだけ第九をまとめ買いをしたのは今まではこの時しかありません。しかも記憶が確かならば、この時私は第九しか買わなかったような気が・・・・・

この年は、私の中では第九の好印象の演奏の当たり年でした。年末のN響第九も18世紀シフトを用いた割にはよかったですし、この後取り上げる演奏も素晴らしいものでした。

この演奏も、好印象の一つです。小澤の勝手知ったるオケだから、そんなものは当り前だという意見もありますが・・・・・

よく聴きますと、実は音が不安定な部分もあるんです。木管にそれが顕著ですが、ところがそれがハーモニーに溶け合って、まったく問題がないのです。それが、小澤と勝手知ったる仲のオケとの関係で成立している、素晴らしい点です。

これが客演指揮者であったとしたら、そこからほころび始めていたかもしれません。プロとは言えそういうことはあり得ることです(以前取り上げたクレンペラー/ロンドン・フィルなど)。しかし、そういったことはみじんもありません。不安定ですがアンサンブルは崩壊しません。

それこそ、「勝手知ったる」オケの面目躍如でしょう。あ、今日はこんな音なんだな、ですんでしまうのが素晴らしいですね。これがアマオケであれば確実にそこから崩壊します・・・・・

第九でそんな演奏を、合唱団員として何度も見てきました。それだけに、この演奏を聴いたときにはそういった阿吽の呼吸に魂を抜かれる思いでした。

各楽章のテンポもいいです。特に、第2楽章はたまにゆっくりの演奏がある中で、比較的快活に演奏しているのも好印象です。

第3楽章もゆったりとしたテンポで、これも私好み〜

そして、第4楽章です。ティンパニが弱いのが・・・・・第1楽章でも多少よわめですね。もう少しぶっ叩いてくれるといいのですが・・・・・

Freude!の後も男声合唱だけですし、いつも私が取り上げるvor Gott!の部分も六拍伸ばすなど、奇をてらうことをしていないのに、とても熱いものが伝わってきます。それをソリストも感じてしまったのか、ナポレオン・マーチの部分ではテノール・ソロは音符通りに歌えていません。しかし、それを受けての男声合唱はとても力強く、そこからオケはヒートアップしていきます。

そして、練習番号Mでは、力強いアンサンブル!

その後も、熱く力強い演奏が最後まで途切れることはありません。

この演奏は当時、会場である長野県松本文化会館だけでなく、東京のお台場でもライヴ映像で流され、多くの人を感動させました。しかも、野外で。

今ではAKBなどでコンサートのパブリック・ビューイングは当たり前になっていますが、この2002年当時はまだ珍しく、特にクラシックではほとんどなかったことだったので、画期的なことでした。DVDにもこの演奏はなったと思いますが、DVDで出すだけでなく、クラシックのコンサートをパブリック・ビューイングでというのはもっとやってほしいと思います。

コンサートへ行けない人もいるわけで、そういった人に近場でライヴの雰囲気が楽しめることは、私はいいことだと思います。

AKBのように、生でというのは本来クラシック愛好家こそ好んだものでしたが、いつの間にかCDが突出して好まれるようになりました。確かに、CDはいろんな演奏家を時空を超えて楽しめるという利点があります。一方で、臨場感はライヴに劣ります。その点を、パブリック・ビューイングは補えるのです。

実は、欧米のオケでは段々こういったことをやり始めていまして、たとえばベルリン・フィルは「デジタル・コンサート」という名のライヴ動画配信を始めています。これは有料ですが、チケットだけでなくこういった聴き方もアリだと思いますし、また収入増にもつながります。この第九の時には無料だったそうですが、有料にしても、私は十分聴きに行く人はいるだろうと思います。

小澤のこういった「クラシックを広める」という貢献は、あまり語られることがないように思います。確かに当時は話題を呼びましたが、こういったことは継続することこそ重要です。

是非とも、小澤につづく指揮者や関係者が増えてほしいものです。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱」
アンネ・シュヴァ―ネヴィルムズ(ソプラノ)
バーバラ・ディヴァ―(アルト)
ポール・グローヴズ(テノール
フランツ・ハヴラタ(バス)
東京オペラシンガーズ
小澤征爾指揮
サイトウ・キネン・オーケストラ
(Philips UCCP-9424)



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