今回のマイ・コレは、ブラームスのピアノ三重奏曲集の第2回です。第3番と作品番号なしの2曲が収録されています。ナクソスです。
実は、ナクソスのこのシリーズにした最大の理由が、2曲目のピアノ三重奏曲イ長調作品番号なしが収録されているからなんです。1853年に作曲されたと言われ、ブラームス若き日の作品です。そのせいか、とても明るい曲調が支配しています。伸びやかで抜けるような青空が見えるような曲です。
1924年に発見され1938年に出版されました。偽作のとの意見もありますが、ナクソスの説明文ではほぼ確定とされています。第1番のような青春の一ページを切り取ったような音楽がそこには溢れています。
それだけに、1曲目の第3番を聴いた後ではこの作品は偽作なんじゃないかなどの意見も出るのでしょう。モーツァルト程のどこかしらの胡散臭さはないように私には聴こえます。その分、もし偽作なのだとすれば化学的な調査を待たねばならないでしょう。
1853年という作曲年は、実は第1番の前年であるということです。この曲を評するときには、第1番を聴いてからじゃないとダメなような気がします。
第3番はイ長調よりも30年以上後の1886年に作曲された曲です。その分渋くて暗く、所謂人口に膾炙している「ブラームス観」というものを色濃く出ているように思います。作曲年が1886年というのも注目でしょう。第2番の4年後です。
こう見てみると、ブラームスのピアノ三重奏曲は、イ長調もふくめれば若い時代に2曲、年老いてから2曲作曲していることが分かります。となると、評論をする時にはその時系列は頭に置かないといけないということになろうかと思います。
第3番は申し分ない曲ですが、イ長調にもしいちゃもんをつけるとすれば、第4楽章最後でしょう。まるでドレミファソラシドの羅列のような旋律が恐らく偽作の疑いという意見が出るきっかけなのだと思います。さてそれはどうなのかと思います。作曲した時には20歳の若者なんですよ。
ヨハネス・ブラームス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%B9
ブラームスにもいろんな作品がありますから、私はそこまで偽作だとは言えません。むしろ、そういった泥臭い点があることがよりこの作品に信憑性を与えているとも考えられます。いずれにせよ、白黒決着をつけるには、楽譜の化学的分析をするしか他方法はないでしょう。それまでは私たち聴衆としては、この作品はブラームスの作曲であると考えるのが妥当でしょう。
演奏面では、二つの作品で明らかにアインザッツの強弱に変化が付けられていまして、作曲年代というものを念頭に置いているような気がします。第3番は強弱を思いっきりつけて、特に強いアインザッツはアクセントとなっている一方、イ長調番号なしのほうは弓のタッチが優しく、それゆえアクセントは弱めとなっています。もし、両方とも全く同じアインザッツやアクセントで演奏したら、いったいどうなるのかは楽しみです。
今ではいくつかナクソス以外でもイ長調が演奏されているものもあるようですので、比較してみても面白いかもしれません。
聴いているCD
ヨハネス・ブラームス作曲
ピアノ三重奏曲第3番ハ短調作品101
ピアノ三重奏曲イ長調作品番号なし
ヴィーン・ピアノ三重奏団
(Naxsos 8.550747)
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