かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:宇宿允人の世界 第1回平和祈念コンサート

今回のマイ・コレは、またまた第九を取り上げます。2001年に大田区で行われた、平和祈念コンサートで演奏された第九です。宇宿允人指揮、フロイデ・フィルハーモニー他の演奏です。

実は、この時のことを以前既にエントリで上げています。

音楽雑記帳:追悼 宇宿允人
http://yaplog.jp/yk6974/archive/716

裏話はこの時のエントリのほうが詳しいので今回は省きます。演奏のみを語りたいと思います(というより、あの御仁は本当にネタがたくさんありまして書ききれません!)。

このCDは今は店頭に並ばないようですが、以前は銀座山野楽器本店でも取り扱いがありました。私は参加者として、確か3000円を支払って演奏会後団経由で購入したと記憶しています。

2枚組になっていまして、まず1枚目は大田区民第九合唱団を象徴する曲ともなっている、「青い星に平和の種を」です。対人地雷廃絶を願っての作品ですが、その点でこの曲は難しさを持っています。まずとても明るい旋律で始まるのですが、2番の歌詞では一転短調へ転調します。そこで暗くならないことが重要なのです。

基本テクストはあくまでも対人地雷の廃絶であり、その被害にあった人たちを表現しているわけではないからです。あくまでも希望に満ちた音楽なので、その加減がとても難しい曲です。今聴きなおしますと、その点は100点満点だと思います。

次に、ベートーヴェンの「エグモント」序曲。宇宿さんの渾身の想いが詰まっている演奏と言えるでしょう。オケもアンサンブルばっちりです。この時の裏を知っている私としては、本当にオケはよく頑張っているなあと思います(罵倒されながらよくぞここまで・・・・・)。

1枚目最後は、この時のアンコール曲である、バッハの「G線上のアリア」です。とても静かで、静謐なのが第三者的に聴いても好印象です。私はオケの後ろで聴いていたわけですが、この曲をアンコールに持ってくる宇宿さんの選曲の素晴らしさに感じ入っていました(それだけに、宇宿先生の生前の罵倒癖が残念なんですよねえ)。

2枚目は、メインだったベートーヴェンの第九です。宇宿氏の指揮のものは以前も取り上げています。

マイ・コレクション:宇宿允人の第九
http://yaplog.jp/yk6974/archive/522

まず、一言でいえば、この時のエントリでご紹介したものよりはるかに素晴らしい演奏であると言えるでしょう。特に、オケのアンサンブルとアインザッツがそろっている点が見事です(そのために、やはりこの演奏でもオケの「寄せ集め」の人と指揮者との間で喧嘩が勃発しましたが)。第1楽章の主題展開部でティンパニをぶっ叩いているのはとても好印象です(これは指揮者と話しの花が咲きました〜)。

第2楽章も宇宿氏の演奏にありがちなところどころ崩壊しそうでしないということがなく、とても素晴らしいアンサンブルですし、第3楽章もそれゆえにとても柔らかい演奏となっています。

そして、第4楽章。この冒頭でもティンパニをぶっ叩いてくれます。最初のDeine Zauber binden wiederの部分はきちんと女声はアルトだけになっていますし、私が常に問題にする、vor Gott!の部分では、きちんとフェルマータを六拍伸ばしているのですが、vorでテンポを落としているので、とても長く伸ばしているように感じます。それは宇宿氏が、こここそベートーヴェンが言いたい部分の一つであるという解釈をしているからで、歌うほうは本当に大変でした^^;しかしそれゆえに、この演奏では宇宿氏が理想とする第九の演奏が実現されていると言っていいでしょう。

合唱団も褒めなくてはなりません。それは私が参加していたからではありません。この演奏では、参加しているのは私が入っていた合唱団だけではないのです。大田区を代表する合唱団が連合を組んで参加しているのです。そうなると統一感を出すのがとても難しいのですが、それがみじんもないのです。歌っている時もそう思いましたけれども、こうCDになってみると、さらにそれを感じます。

特に少年少女合唱団は頑張っており、それにつられて大人ががんばるという演奏になっているのが、胸を熱くします。すでに10年以上がたつというのに、いまだにその時の興奮がよみがえってきます。

ライヴ演奏というのはそれが素晴らしいのです。先日のかわさき市民第九もそうでしたが、音楽を愛するという本当の意味での「アマチュア」の力を、見せつけられます。

勿論、その中には私も入っていたわけですが、10年たってみて、「本当の意味でのアマチュア」の力を、第三者の目で見ても見せつけられる演奏です。



聴いているCD
宇宿允人の世界 第1回平和祈念コンサート
CD1
栗田信夫作曲
「青い星に平和の種を」〜地雷廃絶を願って〜
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
「エグモント」序曲作品84
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
G線上のアリア
CD2
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱つき」
生駒圭子(ソプラノ)
古市尚子(アルト)
青地英幸(テノール
山口俊彦(バス)
大田区民第九合唱団
クラウン少女合唱団
新西六郷少年少女合唱団
大田区オペラ合唱団
混声合唱団アンネンフリューゲル
フロイデフィルハーモニー合唱団
宇宿允人指揮
フロイデ・フィルハーモニー



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