かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:BCJ バッハカンタータ全曲演奏シリーズ14

今回のマイ・コレは、BCJのバッハカンタータ全曲演奏シリーズの第14集です。収録曲は、第148番、第48番、第89番、第109番の4曲です。

まず、第148番「その御名にふさわしき栄光を主に捧げまつれ」です。初演は1723年9月19日と推測されますが、1725年という説もあります。いずれにしても、形式よりはその美しい旋律と歌詞の内容が際立つ曲です。安息日に水疱患者を癒したということと婚宴では末席に座ることを例示することで、人に道徳的戒めと安息日の意義を問う曲となっています。

構成面では合唱で始まり合唱で終わるという、普通のカンタータであり、演奏時間が14分とさほど長いものではない(事典でもほぼ19分とあります)ので、通常の礼拝で使われた楽曲であると言えましょう。この曲は第147番からほぼ2か月後に初演されたと言われていますが、もしそれが事実であるならば、比較的長い楽曲を作曲した後にさらに長い曲というのは大変な作業であることは間違いないでしょう。

次に第48番「われ悩める人、われをこの死の体より」です。1723年10月3日にライプツィヒで初演された曲です。この曲は一つのドラマとなっていまして、病に侵されたキリスト者がイエスによって癒されていくというストーリーが歌われていきますが、かといってオペラのようなドラマティックな音楽を期待してはいけません。淡々と音楽は流れていきます。ただ、楽曲の順番が受難曲のような構成になっており、合唱の次にレチタティーヴォが来て、コラールが来て、その後はアリアとレチタティーヴォ、そしてアリアとコラールという順番です。

奇数でこういった順番にするのは、やはりこの曲に込めた「イエスの癒し」というテーマでしょう。それが淡々とした音楽の中に浮かび上がってきます。

第3曲目が第89番「エブライムよ、われ汝をいかになさんや」です。1723年10月24日にライプツィヒで初演された曲です。1723年後半に集中的に書かれた小編成の作品の最初の曲(バッハ事典)です。しかしそこで取り扱われている内容は濃いもので、自分が「悪いこと」を許されたにも関わらず、仲間を投獄したという福音書句に基づき、その自分を責め、その自分の「罪」をイエスの血の贖罪を考察することで内省するという内容です。6曲からなる曲はまずアリアから始まるという構成で、最後はコラールで終わります。バスのアリアはまさしくその「仲間を投獄した」自分を告発する内容となっており、いきなり聴き手をドラマの中に放り込みます。

最後第4曲目が第109番「われ信ず、尊き主よ、信仰なきわれを助けたまえ」です。1723年10月17日にライプツィヒで初演された曲です。信仰なきものというはここでは非キリスト者ではなく、目に見えるイエスの力しか信じない者という意味で使われています。そこから発展し、「イエスの力そのものを信じる者だけが奇跡にあずかり、それを通じて真の信仰に到達し得る」という逆説的な教理を語る楽曲です。

途中にあるテノールカウンターテナーの二つのアリアが印象的で、全体のほぼ半分を占めるという構成です。小編成とは言え、時間的には24分ほどかかる曲で、このテーマが重いことを印象付けています。

演奏面では、ソプラノの鈴木美登里女史が肩の力が抜け、素晴らしい声を聴かせてくれます。ソリスト4名の内二人日本人であるにも関わらず、まったく遜色ないの演奏は、BCJの実力がこの時すでに世界レヴェルであることを証明しています。勿論、オケと合唱は言うまでもないアンサンブルで、軽く美しい演奏を聴かせてくれます。まるで、暗やみに一筋の光が差し込み、そこから明るくなっていくような・・・・・

その意味では、1723年という「時期」を現わした演奏とも言えるのかも知れません。最近言及する、マウンダー極少期です。太陽活動が弱い時期を抜け活発になっていく、そんな時代を映している作品群のように、このCDでは演奏されています。



聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第148番「その御名にふさわしき栄光を主に捧げまつれ」BWV148
カンタータ第48番「われ悩める人、われをこの死の体より」BWV48
カンタータ第89番「エブライムよ、われ汝をいかになさんや」BWV89
カンタータ第109番「われ信ず、尊き主よ、信仰なきわれを助けたまえ」BWV109
鈴木美登里(ソプラノ)
ロビン・ブレイズカウンターテナー
ゲルト・テュルクテノール
浦野智行(バス)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(BIS CD-1081)



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