かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:BCJ バッハ カンタータ全曲演奏シリーズ3

今日のマイ・コレは、BCJのバッハカンタータ全曲演奏シリーズの第3集です。

この時期、ちょうどBCJのこのシリーズを集中して買っています。そのため、今週はその2回すべてBCJのこのシリーズとなります。

というより、これからしばらくはこの「マイ・コレ」のコーナーでたびたびご紹介することになろうと思います。

さて、この第3集はヴァイマール時代のカンタータが収録されています。主に1715年前後の作品になります。

まず1曲目は第12番「泣き、歎き、憂い、怯え」です。1714年4月22日にヴァイマルで初演された作品です。悲しみ喜びの対立がテーマでして、悲しみから喜びへの転換が音楽で持って表現されています。第2曲目の合唱はロ短調ミサ、クレドの「十字架につけられ」にも転用されたもので、まさしくこれが悲嘆を表現しているものです。下降音形が哀しみ、上昇音形が喜びを端的には表していますが、その下降音形となります。

それが最後の合唱では上昇音形に代わり、喜びに代わるというテクストで、とてもそれが素直に心に入ってきます。

2曲目はアルト独唱のためのカンタータである第54番「罪に手むかうべし」です。初演ははっきりとはしていませんが1714年3月4日と言われています。3曲だけの小さなカンタータで、中間のレチタティーヴォをはさんで二つのアリアで構成されます。このCDではBCJらしくカウンターテナーによる演奏となっています。人類の「原罪」と真摯に向き合うことの大切さを切々と歌い上げます。

3曲目は第162番「ああ、いまわれ婚宴に行かんとして」です。1716年10月10日に初演されました。題名だけではまるで教会における婚礼用カンタータかと間違えますが、実は招かれている人が全員歓迎されているわけではないことをたとえとして、自らは歓迎される人間なのかと自らを見つめなおす内容となっているのです。こういった点はバッハのカンタータではよくあるテクストです。この曲にはホルン(コルノ・ダ・ティラルシ)が使われていることになっていますが、それが加えられたのは1723年10月10日ライプツィヒにおける再演時であり、それを念頭に置いたのか、この録音では入っていません。

4曲目は第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」です。1714年3月25日ヴァイマルで初演されたこのカンタータは、かなり大きなカンタータです。全体が8つの曲からなり、しかも堂々としています。キリスト教のコアな部分に触れるカンタータ(復活を讃える)であるだけに、全体的に祝祭感もあふれています。

この曲はバッハのカンタータの中でも重要なものの一つとされ、ダ・カーポ形式(ABAの三部形式のこと)がしっかりと全体を貫いています。以後バッハのカンタータはこれが主流になりますが、この第182番では第2、第5、第8曲がきちんとした、そのほかもおおむね準じた形式になっています。

特にこの時期のバッハは、今「今月のお買いもの」でご紹介している、1720年代半ばのカンタータのように内容だけでなく形式も重視したものではなく、むしろ内容だけで突っ走る傾向がありまして、それはある意味ロックンローラーと言っても差し支えないくらいです。それがこの曲、もっと言えばこの第3集に収められている曲あたりから、変化してくるということなのです。

こういった点も、実はBCJのこのシリーズを追いかける楽しさでもあります。演奏はもちろん素晴らしいのですが、それならば別にカンタータの順番などどうでもいい話です。それだけでなく、カンタータの変遷まで考え抜かれたこのシリーズは、本当は解説書があると本当にいいと思います。できれば国内盤のほうがいいと思いますが、国内盤はないこともしばしばなので(しかも最近でたばかりである第47集は輸入盤ですら売り切れ状態!)、輸入盤に頼ることになります。そうなりますとやはり解説書として事典は手放せなくなります。

実は私もそういった方向へ舵を切るきっかけになったのもこのシリーズがきっかけなのですが、それも国内盤がないということがこのシリーズは当り前だったというのがきっかけなのです。

そしてこのCDも輸入盤です。そういったことがつづいたことから私はバッハ事典を買うことにしたのですが、そのおかげで実はBCJがどんな編集方針で出していったのか、今こうして再び触れることが出来ています。

いつ理解へつながるかなんて、わかりませんね。



聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第12番「泣き、歎き、憂い、怯え」BWV12
カンタータ第54番「罪に手むかうべし」BWV54
カンタータ第162番「ああ、いまわれ婚宴に行かんとして」BWV162
カンタータ第182番「天の王よ、汝を迎えまつらん」BWV182
栗栖由美子(ソプラノ)
米良美一カウンターテナー
桜田亮(テノール
ペーター・コーイ(バス)
(BIS CD-791)



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。