かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:「音楽の冗談」 モーツァルト・セレナーデ集

今回のマイ・コレは、モーツァルトのセレナーデ集です。オルフェウス室内管弦楽団の演奏です。

このCDを買ったのは10年ほど前。それも、「音楽の冗談」がきっかけなのです。友人から音楽の冗談の演奏を聴かせていただいたことで、CDがほしいなと思っていた矢先、銀座山野楽器で見つけたのが今回ご紹介するCDです。

この一枚は、いろんな意味で私のクラシック音楽観をひっくり返してくれた名盤です。

まず、演奏がオルフェウス室内管弦楽団ということです。このオケには常任指揮者はもちろん、指揮者がいないのです。それは、古典派の時代の演奏に近いことを意味します。つまり、モダンオケでありながらピリオド的な演奏となっているのです。

ピリオド演奏でも、さすがに指揮者がいないというのはあまり見かけませんが、モダンだと結構ありますが、オルフェウスはその一つだと言えましょう。

オルフェウス室内管弦楽団
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A6%E3%82%B9%E5%AE%A4%E5%86%85%E7%AE%A1%E5%BC%A6%E6%A5%BD%E5%9B%A3

指揮者なしなんて成立するわけないでしょう?という人もいらっしゃると思いますが、これが見事に成立しています。

彼らがそんな批判を知ってか知らないか、まず第1曲目にいきなりセレナーデ第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K.525を持ってきています。誰でも知っているこの曲を、指揮者なしで演奏をきちんと成立させています。細かい本当に重箱の隅をつつくようなことを言えば出だしのタイミングでは多少ずれもありますが、まったく問題ない程度ですし、素晴らしいアンサンブルがそれを補って余りあります。

2曲目はセレナータ・ノットゥルナK.239。小編成で管楽器が登場しないことが特徴であるこの作品を、オルフェウスは指揮者なしで自由自在に扱っています。

セレナード 第6番 ニ長調 K.239
「セレナータ・ノットゥルナ」
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op2/k239.html

第3曲目が、「音楽の冗談」K.522。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」と同じ年に成立したディヴェルティメントです。

音楽の冗談 K.522
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op5/k522.html

題名はモーツァルト自身が付けています。成立の詳細はわかっていませんが、当時の誰かを皮肉っている可能性は十分あります。和声学の大家とも言われるモーツァルトが、あえて禁則だらけの作品を書いたのですから。

本当はこれだけでエントリを立てたいくらいの濃い曲です。禁則、不協和音だらけでの曲ですが、一部現代人ではなんでこれが冗談なの?という部分もあります。しかし、現代人から見ても「なんじゃこりは〜」とくもじいのように言ってみたくなる旋律ばかりがずらりと並んでいます。

それを、オルフェウスは全くきれいに演奏してくれるのです。彼らの高い能力をこの曲でも知ることが出来ます。

ところが、それゆえに私はこの演奏に多少の不満を持っています。もっときちんとふざけてほしかったのです。最初に聴いた音源は、素晴らしいアンサンブルによって徹底的にふざけていたからです。ちなみに、それはベルリン・フィル

この差は、アンサンブルの点ではなく、指揮者がいるいないが曲の解釈の問題になっているからだと思います。ベルリン・フィルの演奏の指揮者はアーノンクールモーツァルト研究の大家です。一方、オルフェウスにはオーソリティがいません。その差であろうと思います。

この差を持って、指揮者がいないことを批判する人もいますが、私は指揮者がいないことをそれほど批判しません。たとえば、ウィーン・フィルでは指揮者よりもコンサートマスターのほうが偉いとも言われます。それは、ウィーン・フィルをはじめとするヨーロッパのオーケストラは、弦の上げ下げをコンサートマスターを基準として、それより高く上げてはいけないという決まりになっていて、それがアンサンブルを形成しているからです。

では、オルフェウスはどうなのか。弦の高さはバラバラですが、まったくそろっていないという感じでもありません。少なくとも、演奏をコントロールしているのはコンサートマスターです。その上で、奏者一人ひとりの自主性と能力でもって演奏を成立させているのです。ある意味、とてもアメリカらしい楽団だと言えるかと思います。一方で、古典派の時代的だとも言えます。このオルフェウスのやり方こそ、古典派の時代のオーケストラなのですから。

最後にコントルダンスが5曲ついていますが、いずれも颯爽とした演奏で、まさしく小編成であるオルフェウスらしい演奏だと思います。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
セレナーデ第13番ト長調K.525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク
セレナーデ第6番ニ長調K.239「セレナータ・ノットゥルナ」
「音楽の冗談」ヘ長調K.522
コントルダンス ニ長調K.534「雷雨」
コントルダンス ハ長調K.535「戦闘」
コントルダンス ハ長調K.587「英雄コーブルクの勝利」
コントルダンス 変ホ長調K.607(605a)「婦人たちの勝利」
コントルダンス ト長調K.610「意地の悪い娘たち」
オルフェウス室内管弦楽団
(ドイツ・グラモフォン POCG-50023)



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