かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:モーツァルトのディベルティメントK.131とK.287

今回のマイ・コレはモーツァルトの二つのディベルティメントです。ハラルト・ネラト指揮、カペラ・イストロポリターナの演奏です。

このCDは、ナクソスなのですが、私は演奏面で高く評価しています。まず、ソナタ形式のリフレインをきちんと弱く演奏しているという点です。特にK.131でそれは徹底されていて、これぞ古典派の演奏というものを聴かせてくれます。

それゆえに、この二つの作品の形式美というものが浮かび上がってくる結果となっています。だからこそ、こういった古典派の「決まり事」というのは古典派の音楽を演奏するときには重要なのだと思います。

私は、前期ロマン派まではこの「リフレインは弱く」やあるいは「高い音は強く、低い音は弱く」を徹底するほうが美しさが出ると思っています。後期ロマン派以降だと必ずしもそうとは限らないので、作品ごとにどうするかを決定する必要があると思っています。

この演奏は、とても基本に忠実な演奏であるのですが、レヴューではあまり評価されていないようですね。ナクソスだからということもあるのでしょう。しかし、私は別の面で評価していないというか、ユニークな点を指摘したいと思います。それは演奏面ではなく、編集面です。

この二つのディベルティメントは、実は同じ名前がついているにも関わらず、違うものであるからです。「モーツァルト事典」においては、この二つは大項目では同じディベルティメントですが、小項目では、K.131が「オーケストラのためのカッサシオン、セレナード、ディベルティメント」に入っているにも関わらず、K.287は「弦楽器と管楽器のためのディベルティメント」に入っているからです。

え、どこが違うの?と思われるかもしれません。簡単に言えば、オーケストラの編成を主にした音楽なのか、それとも弦楽器が主体に管楽器が入るのか、といえば分かり易いかと思います。つまり、K.131はフルオーケストラ用のディベルティメントであるのに対し、K.287は弦楽器が主体のディベルティメントであるということです。

ディヴェルティメント 第2番 ニ長調
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op1/k131.html

ディヴェルティメント 第15番 変ロ長調 K.287 (271H)
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op2/k287.html

で、カペラ・イストロポリターナがどんな楽団かといえば、室内オケなのです。

カペラ・イストロポリターナ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A

なるほど、それでこの編集は納得だなあと思います。本来は「なぜ、種類の違う曲を一緒にやるのだ?」という疑問からこのオケでは大丈夫なのかという点を指摘するべきなのですが、ナクソスだから・・・・・という観点が多いように思われます。

ところが、上記に挙げたサイトでは、K.287では紹介CDでなんとトスカニーニ指揮NBC交響楽団が紹介されています。この曲、フルオーケストラ用ではなく、あくまでも下手すれば弦楽四重奏に管楽器ということすらモーツァルトが念頭に置いていてもよさそうな曲なのに、です。でも、それは「トスカニーニだから、NBCだから」いいのでしょうか?恐らく、彼らがフルオケであるにも関わらず、こういった編成の曲もきちんとこなしているということが評価なのではないでしょうか。

そういったことをこの演奏は如実に教えてくれているのです。当時の編成であれば、フルオーケストラと言っても今の半分くらいです。室内オケでちょうどいいんですよね。ですから、この編集でもいけますし、また、当時のモーツァルトの演奏の様子がモダンオケであってもうかがえるということで素晴らしいのです。

しかし、私も初めからそういった知識を持ってこのCDを聴いたわけでありません。このCDを買ったきっかけはあくまでもモーツァルトのディベルティメントが全部聴きたいと思い始めたのことなのです。かなりミーハーな理由でしたが、今ではこのCDが持つ意味というのはとても重くなっています。

こういった演奏はもっと評価すべきだと、今では思っています。こういった基礎があって、トスカニーニの指揮があるはずなのですから。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ディベルティメント変ロ長調K.287
ディベルティメントニ長調K.131
ハラルト・ネラト指揮
カペラ・イストロポリターナ
(Naxos 8.550996)



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。