かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト交響曲全集 ピノック/イングリッシュ・コンサート編2

神奈川県立図書館モーツァルト交響曲全集ピノック/イングリッシュ・コンサート編の今回は第2回目となります。

この第2集には第7番から第9番、そしてヘ長調K.76(42a)、変ロ長調K.Anh.214(45b)、ニ長調K.81(73l)の6曲が収録されています。最後のニ長調K.81(73l)を除いて4楽章制の交響曲です。

これもハイドン交響曲と比べると、ハイドンはすでに4楽章制に移行している時代です。だからと言ってモーツァルトもこれだけ見てそうだとは言えないのですね。

18世紀の交響曲:作曲時期の比較
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/yc?s=18c

上記サイトの表には残念ながらモーツァルトの番号なしの交響曲までは含まれていないので、それは別途確認しなければいけない欠点を持っていますが、おおむねこれで確認はできるので便利です。これで確認してみますと、モーツァルトははっきりとハイドンが4楽章制に移行した後も依然として3楽章制の曲が主であると言っていいと思います。

モーツァルトの当時の位置づけを考えさせられますね。こういった編集はいいです。出来れば、同時期のハイドンときき比べられると言ったアルバムがあるといいと思います。

演奏面では、リフレインは弱くといった点がある程度やられるようになっています。しかし、低い音は弱く高い音は強くと言った点はほとんど見受けられません。高い音であっても楽譜上に弱くと指示があれば別ですが、明らかにそういった指示がないところでも弱くする必要はあるのかと思います。この点からもピリオドだからと言って当時に忠実な演奏と考えるべきではないと思います。

もちろん、だからと言ってこの演奏がだめというわけではありません。イングリッシュ・コンサートのアンサンブルの素晴らしさは十二分に発揮されていますし、聴くのに何ら問題はありません。ただ、どのレビューを見ていても、古典派の時代の再現性という点を単なる音色という点からでしか分析をしていない点が散見されますので、演奏の「作法」と言った点まで言えばむしろモダンのほうがよほど当時に近いのだという人がいないので、あえてその点を指摘しておきたいと思います。当時に近い音楽を求めるなら、モダンのマリナー/聖マーティン・イン・ザ・フィールズをおすすめします。

この演奏はピリオド楽器を使って当時に近い音色で表現した、現代風のモーツァルトであるということです。その意識で聴かないと、いずれいろんな知識がついてきたときに「あれ、これ間違いなんじゃない?」と思ってしまいます。この演奏はそこまで追求していませんから。ただ、新モーツァルト全集に基づいてという点で、最新のモーツァルト研究を踏まえるという点が大切なのです。それを踏まえようとする演奏が、この全集が出た当時は残念ながらピリオドの人たちだけだった、ということなのです。

だからいつも申し上げていますが、モダンの方はもっと頑張って!というわけなのです。モダンは性能がいい故に、実は古典派の時代に即した演奏も十分可能なのです。そこを見間違えてはならないと思います。違うのは音色(正確に言えばピッチですが)だけです。

それにしても、ピリオド楽器でも交響曲は十分いけますね。というよりも、交響曲と協奏曲とでは基本的に編成が異なったのではないかと今聴いても思います。やはりクラヴィーア協奏曲で感じたことは間違っていなかったなと、これをきいたときも感じたものです。

オケはそれぞれ異なるのですが、この演奏にはチェンバロも含まれており、それはしっかりと聞こえますので、やはり編成の大きさの問題だろうと思います。

こういった点は、モダンに一日の長があるように思います。できれば、イングリッシュ・コンサートならどんな演奏になるのか、この演奏を聴くと協奏曲まで聴きたくなりますね。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第7番ニ長調K.45
交響曲第8番ニ長調K.48
交響曲第9番ハ長調K.73
交響曲ヘ長調K.76(42a)
交響曲変ロ長調K.Anh.214(45b)
交響曲ニ長調K.81(73l)
トレヴァー・ピノック指揮、チェンバロ
イングリッシュ・コンサート



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