神奈川県立図書館所蔵CDピノック/イングリッシュ・コンサートのモーツァルト交響曲全集の第10集を取り上げます。第35番「ハフナー」と第36番「リンツ」です。
この二つが作曲された1782年から83年は、ハイドンでいう「聴衆への迎合と実験」期で、その時期のハイドンの音楽の影響も垣間見られる点がいくつかあります。ハフナーでの太鼓連打や、冒頭の弦楽器のファンファーレなど、ハイドンの音楽の影響が十分考えられる点が散見されます。実際、すでにモーツァルトはハイドンと面識がありますし。
そのせいなのか、ピノックは音の高低で強弱をつけるだとか、リフレインは弱くするなどをきちんとやるようになっています。その上、この第10集からはあきらかにチェンバロが使われていません。これらの点は私としては安易に受け入れることはしませんが、プロの方の一つの見方として、重要なのではないかと思います。
それにしても、オケはのびのび演奏していますね〜。その上でアンサンブルは抜群です。テンポもいいですしね〜。
いや、だからこそ戴冠ミサはつくづく残念です。宗教曲という側面にとらわれすぎています。
マイ・コレクション:モーツァルト 戴冠ミサ ピノック/イングリッシュ・コンサート
http://yaplog.jp/yk6974/archive/493
この時にあげた演奏もテンポとしてはいいのですが、べったりした感じは否めません。しかし、それがなぜか交響曲では目立たないんですね。同じくらいの時期に収録しているはずなんですけどね。
ただ、このコンビは私が初めて買ったピリオドの演奏である、ヘンデルのメサイアはとても素晴らしい演奏でしたし、アンサンブルといいテンポ感と言い抜群でした。それとも比べてしまうと、ちょっと残念です。
マイ・コレクション:メサイア抜粋
http://yaplog.jp/yk6974/archive/417
まあ、古楽演奏の中でもモダン的な演奏をする団体ではありますから、それは致し方ないのかもしれないですけどね。
でも、モダンもけっこうべったりの演奏が多い中で、ピリオド顔負けの演奏をしたのが、シュライヤーの戴冠ミサでした。
マイ・コレクション:シュライアーの「戴冠ミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/452
本当はこういったアプローチを期待したいところなんですけどね。できないはずはないと思うんですが・・・・・実際、この第10集でも八分音符がはねている点は散見されるのですから。
その点をもう少しだけ突き詰めてほしかったです。それがあれば、モダンの演奏が要らないくらいのクオリティを持っているんですけどね〜。
聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」
交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」
トレヴァー・ピノック指揮
イングリッシュ・コンサート
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