かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト交響曲全集 ピノック/イングリッシュ・コンサート編9

神奈川県立図書館所蔵CDピノック/イングリッシュ・コンサートモーツァルト交響曲全集の今回は第9集を取り上げます。

第31番から第34番までが収録されていますが、このあたりからモーツァルトもようやく番号順が作曲順となってきます。それで面白いのは、やはり3楽章の交響曲の存在です。

番号順なのに、この第9集で収録されているのはなんとほとんどが3楽章制で、4楽章であるのは第33番だけです。ピノックは何も語りませんが、音楽にきちんと語らせています。当時のモーツァルトが占める「位置」というものを。

確かに売れっ子であることは間違いないのだけれど、しかし他の作曲家に較べると地位が低い・・・・・わたしにはそのように映ります。それを文句言わずに黙々と作曲するモーツァルトなのですね。

ただ、それゆえにモーツァルトには信じられないような内容を持つすさまじい作品も多いのですが・・・・・それはおいおいご紹介することとしましょう。

たまたまかどうかわかりませんが、この第9集にはこのサイトでいう「後期交響曲 パリからザルツブルクへ:1778/80」の時期の作品がすべて収録されていることになります。

モーツァルト交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/mozart

ハイドンの時にもお世話になったサイトのモーツァルトの項目ですが、こういった時にはとても役に立ちます。ハイドンと比較しますと、この時期はハイドンがさらに新しい作品を生み出していったのと違い、モーツァルト交響曲の作曲ペースは落ちていきます。オペラが主になっていったということもあるでしょう。それと、やはり生まれた年代の差による考え方や思想の違いというものも背景にあるのではないかという気がします。

ハイドンはやはり感覚的にはちょっとだけ古い人です。エステルハージ家という後ろ盾があり、その要請に従って作曲するので交響曲が多くてもいいわけなのです。しかしモーツァルトは基本的に音楽家は自立しなければいけないと考えていた時期でもあります。この時期はコロレドと衝突していたこともあり、モーツァルトがいろんなジャンルを手掛けることで収入を得ようとしていたことが、交響曲の作曲ペースを落としたということもあるでしょう。

それは音楽を実際に聴きますとわかるのですが、オペラの序曲用に作曲されたことがほぼ確定しているため「序曲」という名がついている第32番は、転調がハイドンとは違いドラスティックです。ベートーヴェンに近いような音楽になっています。

とはいうものの、3楽章だったりするわけなのですね。こういった点に、モーツァルトの音楽が持つ時代性を私は感じます。古い衣を着た新しい人というような・・・・・

そのせいか、イングリッシュ・コンサートの演奏は音の高低ではあまり強弱をつけません。しかし、生き生きとしたものははっきりと伝わってくる演奏となっています。

全集はこういう発見があるから面白いのですね。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第31番ニ長調K.297(300a)「パリ」
交響曲第32番ト長調K.318「序曲」
交響曲第33番変ロ長調K.319
交響曲第34番ハ長調K.338
トレヴァー・ピノック指揮、チェンバロ
イングリッシュ・コンサート



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