かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:80余名の第九

今月のお買いもの、3つ目はこのコーナーでは初めてとなります、ベートーヴェンの第九です。延原武春指揮、テレマン室内オーケストラ他の演奏です。

以前、第九の演奏は地方オケなど、特色のあるものを購入したいと思っていますと述べましたが、それを今年さっそく実現したことになります(しかし、クラシック以外のジャンルはついに実現できずに終わりそうです)。

この演奏はとても特色のある演奏です。まず、なんといっても大阪の古楽団体であるということ、そして、演奏人数が84名であるということです。

え、84名で第九が演奏できるのですかって?

実は私は以前、実際に100人の第九を聴いたことがあるのです。テレマン室内オーケストラは以前から大阪で開催していますが、わたしのは地元のフィリアホールでです。その演奏で私は男泣きに泣きました。

第九は私が好きな曲ですし、泣いたことも一度や二度ではありませんが、男泣きに泣いたのは、フィリアホールのその時が初めてでした。ちなみに、合唱団はPMS合唱団、オケは鎌倉の室内オケだったと記憶しています。

その経験があったので、実は第九は100人でもやれるんだ!という思いが以前からありました。そんな中で銀座山野楽器で出会ったのが、この大阪の古楽団体のものだったのです。

もともと、すでに100人の演奏がおなじレーベルから出ていました。今回ご紹介するのは2008年のライヴ録音で、全集からの分売です。

第1楽章から第3楽章までは、ある意味ごく普通の古楽の演奏です。しかし、それはとても気合いが入っていて、アインザッツが強くそれゆえのアクセントもきいていまして、小気味いいものです。オケは46名。普通の半分くらいです。しかし、しっかりと演奏と聴かせてくれます。

この演奏は大阪のいずみホールで行われていますが、いずみホールはフィリアより大きいホールなのです。

いずみホール
http://www.izumihall.co.jp/hall/

フィリアホール
http://www.philiahall.com/j/facilities/concert.shtml

それでいてしっかりと演奏と聴かせる点は、私の中では高評価です。

さて、第4楽章ですが、まずティンパニを「ぶったたいて」くれるのはとてもいい点だと思います。なぜなら、この第4楽章はそれまでの音楽をいったん否定したうえで、新たな音楽が奏でられる楽章だからです。しかしよく聴きますと、第九は実は変奏曲です。だからこそ、ここで「ぶったたいて」くれる演奏が私の好みです^^

合唱団は34名。各パートの平均人数は8名程度。でも、それで十分演奏が成立してしまうのです。

しかし、素晴らしいのは人数の少なさだけではありません。私が常に言及する、vor Gott!の部分ですが、この演奏では新ブライトコプフ版を使っています。その該当部分はなんと、フェルマータがついている上で、ディミュニエンドせよとの記号があるとのこと!

で、演奏では確かにGott!を六拍伸ばしている間に、「だんだん小さく」なっていきます。最初は面喰いますが、楽譜を見直してみると、なるほどなと思いました。

私が持っているのは全音版のスコアですが、Gott!の部分はff(フォルティシモ)ですが、それが終わったアラ・マルシアが始まるところではpp(ピアニシモ)になります。ともすればここは直前のffが耳に残っているため、なかなか聞き取れない演奏もあるのですが、このCDではしっかりと聞き取ることが出来ます。

つまり、このディミュニエンドは、明らかにppで始まるアラ・マルシアを意識してほしいがための指示であるということが分かります。

実際、今までの版でもティンパニだけはディミュニエンドの指示がありましたが、守られていない演奏も多々ありますし、それがいい効果となることもしばしばです。しかし、どの評論家でもスルーしてしまいがちな男声2部合唱のアラ・マルシアこそ、ベートーヴェンが言いたい部分の一つだとしたら、この指示は納得できるのです。

vor Gott!は全音符ですから、これも明らかに強調なのですが、ffがppになるのも実は強調です。だとすれば、なぜ新ブライトコプフ版でディミュニエンドの指示が入ったのかは理屈に合います。ただ、今後現場でどう判断されるのかはもう少し聴かないといけないでしょう。

最後の「抱きあえ、いく百万の人々よ!」もきちんと「しゃべっている」のも素晴らしいです!日本の合唱団が一番できないのがこの部分で「しゃべる」ことなのです。これがやれているのは、合唱指揮者もさることながら、指揮者延原氏の「耳」がなせるわざでしょう。

日本の古楽BCJだけに非ずということを、表明している素晴らしい演奏だと思います。

さて、これに匹敵するだけの演奏を、関東、特に東京のモダン・オケが出来るか否や!



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
中村朋子(ソプラノ)
渡邊由美子(アルト)
畑儀文(テノール
篠部信宏(バス)
テレマン室内合唱団
延原武春指揮
テレマン室内オーケストラ
(Live note WWCC-7658)



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