かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:モーツァルト宗教音楽全集11

今回のマイ・コレは、モーツァルトの宗教音楽全集の第11集です。収録曲はミサ・ソレムニスK.337とリタニアK.125、レジナ・チェリK.276です。

ミサ・ソレムニスに関してはすでにエントリを上げています。

モーツァルト ミサ・ソレムニス ハ長調K.337
http://yaplog.jp/yk6974/archive/185

モーツァルトザルツブルク時代最後のミサ曲です。いや、彼の宗教曲全体を俯瞰した場合でも、最後に近い曲と言ってもいいくらいの曲ですし、完成されています。

それを、また生き生きとした演奏でアーノンクールは聴かせてくれます。私としましては今でもペーター・ノイマンの指揮のほうが好きなのですが、しかし今いいパソコン、あるいはコンポで聴きますとこれまたいい演奏なのですね〜。

正直言いまして、以前から甲乙つけがたいとは思っていたのです。しかしこのアーノンクールの演奏によく耳を傾けてみれば、残響が少ないがゆえに浮き上がる合唱、そしてそれと対比されるオーケストラの動きなどがはっきりと聴こえるのですね。それから導き出される結論は、「やはりこの作品は完成されている」というものです。

短いながらも速いパッセージとゆったりとしたパッセージが同居するという、名曲の条件がそろっています。それを再確認させてくれます。

次のリタニアは4つあるうちで比較的早い時期に完成した作品で、第2作に当たり、1775年の正月に完成しています。

K.125 聖体の祝日ためのリタニア
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op1/k125.html

このサイトの説明はちょっとだけこの曲の魅力をそぐものとなってしまっています。この曲はモーツァルト一家では聖母のものに比べ話題に上ることが多く、初演後数回演奏機会があり、さらにオーケストラやソリストの関与が聖母のものに比べ目覚ましく、交響的もしくは協奏的な音楽となっているのです(東京書籍「モーツァルト事典」P.53)。こういった作品がもしかすると宗教音楽家としてのモーツァルトの名声を日本では落としているのかもしれませんが、実に美しい作品です。「おそれおののき」では実に素晴らしい転調がなされていまして、ピアノ協奏曲などにそれがフィードバックされるまでにはもうしばらくかかるくらいです。

そういった点をこのリタニアは教えてくれています。

もちろんこの曲でも合唱は各パートがよく聴こえます。これもホールの選定や、合唱団の力量でしょう。

最後がレジナ・チェリですが、これも幾つか作曲されているものの一つです。第9集でも収録されています。このようにモーツァルトは宗教音楽家としての側面がきちんとあるのです。だからこそ、コロレドと対立し、その後ウィーンへと出ることになったことは、彼の作品を理解するうえで欠かせない要素だと私は思います。

K.276 (321b) レジナ・チェリ
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op2/k276.html

論争は以上のサイトで述べられている通りですが、私も音楽的には以前のケッヘル番号がかなり真相をついているのではないかと思っています。アーノンクールはそういった論争を知ったうえで、戴冠ミサの再演に近い時期に作曲されたミサ・ソレムニスと再演が幾度となされたリタニアK.125と一緒にしたのかもしれません。それを知らなくても、このレジナ・チェリは美しく、このCDの最後を締めくくるにふさわしい気高さを持っています。

モーツァルトの宗教曲にはほとんどと言っていいほどベートーヴェンとはまた違った気高さが存在します。それもまた、味わい深いものです。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ミサ・ソレムニス ハ長調K.337
聖体の祝日ためのリタニア K.125
レジナ・チェリ K.276 (321b)
バーバラ・ボニー(ソプラノ)
エリーザベト・フォン・マグヌス(アルト)
ウーヴェ・ハイルマン(テノール
ジル・カシュマイユ(バス)
アーノルト・シェーンベルク合唱団(合唱指揮:エルヴィン・オルトナー)
ニコラウス・アーノンクール指揮
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
(Teldec WPCS-6492)



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