かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:BCJ バッハカンタータ全曲演奏シリーズ49

今月のお買いもの、まずはBCJのバッハ教会カンタータ全曲演奏シリーズの第49集です。収録されているのは第188番、第156番、第159番、第171番です。

ようやく最新作をご紹介することが出来ました!BCJは3か月くらいごとに最新作を出しているので、今後はBCJのCDはこのコーナーでは3、4か月ごとにご紹介することになろうかと思います。

まず、第188番「われはわが依り頼みを」です。恐らく1728年10月17日(もしくは1729年11月6日)にライプツィヒで初演されたと言われています。第1曲目はオルガン協奏曲かと思わせるような曲で全体の序曲となっており、そのため全体的にはまるでオペラのような感覚さえ受けます。じつはこの第1曲目はこの曲の直筆譜が細かく切り刻まれ各地の図書館や個人コレクターによって補完されていたため、第249小節以下しか伝わっていないのですが、それがチェンバロ協奏曲ニ短調の第3楽章と同じ音楽であるため、そこから復元されています。つまりまさしく、この序曲は協奏曲なのです。

その点では、第188番はいかにもバッハらしい作品の一つと言えると思います。作曲者としてでなくアレンジャーとしてのバッハの側面を垣間見ることが出来ます。

次の第156番「わが片足すでに墓穴に入りぬ」もそういった作品の一つです。1729年1月23日にライプツィヒで初演されたこの曲にも、じつは第188番のような「アレンジ」の部分があります。第1曲はチェンバロ協奏曲ヘ短調BWV056の第2楽章と同一ですし、また第2曲目のコラールはBWV147の最終曲、つまり「人の世の喜びよ」がさりげなく使われています。

この二つは鏡像カンタータでないことも興味深い点です。かなりバッハが忙しかったことをうかがわせる2曲です。

3曲目の第159番「見よ、われらエルサレムにのぼる」は1729年2月27日に初演されました。5曲からなりますが鏡像カンタータではありません。ここでもいわゆるアレンジという点がありまして、第2曲はマタイ受難曲でも使われたコラールが、そして第5曲目の締めのコラールはヨハネ受難曲でも使われたコラールが使われています。しかし一見すると気が付かないようさりげなく使っている点は本当にアレンジャーとしての能力の高さを感じます。

第4曲目の第171番「神よ、汝の誉れはその御名のごとく」はおそらく1729年1月1日に初演されたであろうと言われている作品です。つまり新年用ですね。内容も新年に当たって神をたたえるものです。この曲はこの中では唯一他からの転用はないのですが、他に転用されている曲で、その意味ではこの曲もバッハのアレンジャーとしての側面を伝えてくれる曲と言えるでしょう。転用先は、有名な「ミサ曲ロ短調」で、第1曲目がクレドに転用されています。しかしこれも一見するとそうは思えませんが、よくよく聴きますと確かに同じなんですね。これもバッハのアレンジ力を感じることが出来る曲です。

こう見てきますと、この第49集では1728年から1729年の作品を取り上げながら、「バッハのアレンジャーとしての側面」に焦点を当てた編集になっていることが分かります。こういった点はBCJが世界規格であることを私たちにはっきりと見せてくれています。演奏だけでなく、どこに焦点を当てるのかが明確で、だからこそ海外でも売れるのだと思います。

演奏面では、ソプラノのレイチェル・ニコルズの声が美しいですね。軽くかつ安定してる発声。しなやかで力強い表現力。さすがプロという歌声を聴かせてくれます。他のソリストはいつもと同じメンバーですが、ともに安定した表現力を見せています。常に高い表現力を見せてくれるBCJの演奏は、今後も追い続けたいと思っています。



聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
カンタータ第188番「われはわが依り頼みを」BWV188
カンタータ第156番「わが片足すでに墓穴に入りぬ」BWV156
カンタータ第159番「見よ、われらエルサレムにのぼる」BWV159
カンタータ第171番「神よ、汝の誉れはその御名のごとく」BWV171
レイチェル・ニコルズ(ソプラノ)
ロビン・ブレイズカウンターテナー
ゲルト・テュルクテノール
ペーター・コーイ(バス)
鈴木雅人(オルガン)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(BIS SACD-1891)



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。