かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト管楽協奏曲集2

今回の神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーはモーツァルトの管楽協奏曲集の第2回目で、フルート協奏曲を取り上げます。

以前、フルート協奏曲はマイ・コレでもエントリを上げています。

マイ・コレクション:ルーマニアのヴィルトォーソ達による「フルート協奏曲」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/697

この第2集はこのエントリで紹介したものとほぼ同じ内容を持ちます。つまり、フルート協奏曲の第1番と第2番、フルートと管弦楽のためのアンダンテです。それにさらにフルートと管弦楽のためのロンドがついているという内容です。

ですので、二つの演奏を比べてみますと面白い点がこの演奏には散見されます。まず、八分音符をかなり跳ねさせている点です。これはかなり面白いアプローチです。テンポはさほど遅くはないはずなのですが跳ねさせているというのは、指揮者のモーツァルト観というものがよくわかって楽しいです。

少なくとも、モーツァルトの音楽は八分音符がリズムを刻んでいる点がありまして、そこに注目した解釈であることは間違いありません。ただ、そこまでしなくてもフルート協奏曲に関してはしなくてもまったく遜色ないとということを示しているのが、以前上げたエントリのCDでもあるわけです。

しかし、どちらも演奏は飽きさせません。むしろ私はどちらも好きなのです。こういった演奏はそうそうあるものではありません。決して爆演ではありませんが、しっかりと各々の主張がなされていまして、その上で演奏も上質です。こういった演奏に巡り合うことが、クラシックにおいて幸せな瞬間です。

さらにこの演奏は上記エントリであげた演奏とは明らかに違う点があります。それはカデンツァで、私はカデンツァが違う場合必ずメモを取っておくのですが、それがないということは、借りてきた音源に記載がないということを意味します。で、調べてみましたら、事典、ネットいずれにもカデンツァの記述がなく、事実として幾人かの作曲家がこの二つにカデンツァを作曲しているということが分かったのです。

つまり、フルート協奏曲には、モーツァルト作曲のカデンツァがない、ということを雄弁に語っているのです。このフルート協奏曲を作曲した1778年ころの協奏曲でカデンツァがないというのはクラヴィーアではまずありえない話しなので、どれほどモーツァルトがフルートという楽器を嫌っていた(あるいは苦手にしていた)かがよくわかる証拠だと思います。其れゆえのやる気のなさもこれから伝わってきますが、その割には、全体としては高い品質・・・・・

本当にモーツァルトは、天才という一言ではいい表わせない複雑なものを内面に持っていますね。それだけに、彼の音楽を聴きますとまるで人生の生き方まで教えてくれそうです。

最後のロンドは図書館のライブラリにふさわしい演目で、実はもともとはフルートではなくヴァイオリンの曲です。それをフルートへ編曲したもので、実は新モーツァルト全集に基づいているはずのモーツァルト事典には掲載されていません。ようやく、以下のサイトでこの曲の正体が分かった次第です。

K.Anh.184 フルートと管弦楽のためのロンド ニ長調
http://www.marimo.or.jp/~chezy/mozart/op3/k373.html#Anh184

図書館では元のヴァイオリンのケッヘル番号で記載されていたので、なかなか正体がわかりませんでした。だれの編曲なのかはわかりませんが、Ahnになっている点を考慮すると、ホフマイスターの可能性が高いように思います。旋律的にはとても親しみやすくかつ転調が素晴らしく、リズムもはっきりとしています。この曲は何かの協奏曲に使われたというよりは演奏会用ロンドというべきものですが、何かに使うことも念頭にあったかもしれませんね、モーツァルトのことですから。

こういった作品がモーツァルトにはたくさんあり、恐らくそういった旋律が彼の中を支配していて、そこから何を引き出そうかといつも考えていたように思います。実際、そういった作曲もいくつかしているわけで、その点からしますとモーツァルトバロック的ないわゆる「アレンジャー兼作曲家」の最後の一人とも言うべき存在だと思います。

そういったことも教えてくれる音源です。



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
フルート協奏曲第1番ト長調K.313
フルートと管弦楽の為のアンダンテ ハ長調K.315
フルート協奏曲第2番ニ長調K.314
フルートと管弦楽の為のロンド ニ長調K.373(K.Anh.184)
ペーター=ルーカス・グラーフ(フルート)
レイモンド・レッパード指揮
イギリス室内管弦楽団



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