かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:日立フィルハーモニー管弦楽団第5回定期演奏会1

今回のマイ・コレは、アマチュアオーケストラ、日立フィルハーモニー管弦楽団の第5回定期演奏会のCDです。

このCDは2枚組になっていまして、実は第5回だけでなく他の定期演奏会に演奏されたのですがCDに入りきらなかったものを1枚目に、そしてメインの第九を2枚目に収録しています。そう、この第5回定期演奏会は、記念の演奏会ということでベートーヴェン交響曲第9番をメインに持ってきているのです。そしてもちろん、その第九が聴きたくて買ったCDです。

その第九は次回に述べることといたしまして、まずは1枚目です。この1枚目には第4回定期演奏会の演目だったブリテンの「シンプル・シンフォニー」と、第5回のオープニングプログラムとなったウォルトンの「クラウン・インペリアル」、そして回目はわかりませんが恐らく第4回のアンコールだったのでしょう、ベートーヴェンのレオノーレ序曲第3番が収録されています(一応、CDには第4回の記載がありますが)。

まず、日立フィルハーモニー管弦楽団の紹介と参りましょう。日立フィルは日立製作所の東京方面の事業所に勤める人が中心になって、1995年7月に結成されたアマチュア・オーケストラです。アマオケ好きの中では日立交響楽団の方が有名かと思いますが、日立フィルはその日立交響楽団と姉妹団体の関係にあります。なお、日立交響楽団日立製作所のうち、日立市周辺の事業所に勤める人が中心となっています。

日立フィルハーモニー管弦楽団
http://hpo.cup.com/about.html

このCDを買った時はまだ数回の演奏でしたが、今では定期演奏会は昨年末で30回を数え、昨年はその第30回定期演奏会を第九とする、ベートーヴェン・ツィクルスを日立交響楽団とともにするという、アマオケでも珍しい取り組みをやっています。

その定期演奏会の軌跡を見てみますと、実にいろんな時代の作品を取り上げていまして、この第5回の定期演奏会にもその片鱗が既に出ています(その間にバルトークの弦楽のための協奏曲を第4回定期でやっているというのもずいぶん気合が入ったオーケストラでもあります)。

http://hpo.cup.com/history.html

さて、まず第4回定期演奏会で演奏されたブリテンの「シンプル・シンフォニー」です。この日立フィルのサイトは親切でして、アンコール以外は必ず曲の解説が載っているのです。

http://hpo.cup.com/hpo04.html

この曲の説明はウィキにも出ていますが、それよりも親切な解説となっています。シンプルとは単純なではなく純真なという意味だそうで、なるほど、それならば各楽章についている標題の意味が理解できます。

シンプル・シンフォニー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8B%E3%83%BC

構成としては4楽章形式の交響曲となっていまして、スケルツォ楽章が第2楽章に来ている点が通常と異なる点であるだけです(それも、第九をはじめとしてブリテンが作曲した時代では特段珍しいことでもありません)。ソナタ形式を採用した、まさしく交響曲です。

この曲を聴きますと、あれ、アマチュアオケにしてはずいぶんうまいなとうなります。アンサンブル重視の演奏となっていまして、曲の構造等をじっくりと聞かせてくれます。

次にベートーヴェンのレオノーレ第3番です。これはもう説明するまでもない曲ですが、この曲では気持ちが先走っているのが残念です。このあたりが、アマチュアらしい演奏と言えるかと思います。プロであれば、そこで冷静になりながら、でも熱くなるということが出来るんですが・・・・・それができるのは、基本がしっかりとしているからこそでもあるんですね。ですから、名演と言われるいわゆる爆演は素晴らしいわけなのです。

しかしこの演奏では、その名演を意識しすぎたのか、一斉に盛り上がらなければいけないところで、いくつかの楽器がついて行けてないんですね。その点だけでも改善されますと、アマチュアオケは断然うまくなるんです。それは私は宮前フィルハーモニー交響楽団の演奏で何度も目撃したことでもであります。ただ、このオーケストラの名誉のために言及しておきますが、宮前フィルよりはずっと上手です。宮前フィルの方には大変申し訳ないのですが・・・・・

最後に、ウォルトンの「クラウン・インペリアル」です。この曲の解説として、日立フィルの解説とウィキとどちらを採用すべきか悩んだのですが、私は日立フィルのものを採用することとしました。この曲はその曲名からわかりますとおり、戴冠式において演奏された曲なのですが、それがウィキと日立フィルとで食い違いが起きているのです。

http://hpo.cup.com/hpo05.html

王冠 (戴冠行進曲)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%8B%E5%86%A0_(%E6%88%B4%E5%86%A0%E8%A1%8C%E9%80%B2%E6%9B%B2)

このことから総合しますと、この曲は1937年に予定されていたエドワード8世の戴冠式用にBBCから委嘱されていたものが、エドワード8世が1936年12月に退位したことで、その後に即位したジョージ6世戴冠式用とあらたに委嘱されたもの、と考えるのが一番筋が通っているように思います。

エドワード8世 (イギリス王)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%898%E4%B8%96_(%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E7%8E%8B)

ウォルトンは時代としては現代音楽の作曲家となりますが、英国がとても保守的な文化を持つことから、音楽的には現代音楽的なものと旋律線がはっきりしているものとが入り混じった、まさしく「英国国民楽派」とも言うべき作曲家でもあります。

この演奏では、従来よく使われているカット版ではなく、原典版を採用して、彼らの第5回の記念定期演奏会の幕を開けるにふさわしいものとしています。私はこの一枚目を聴いて、冷静になって演奏すればこんなにも上手なのになあと思っています。ウォルトンの曲は以前もエントリでヴァイオリン協奏曲をご紹介していますが、どれも激情溢れるものではなくどこか一歩引いているので、団員が冷静になりやすい曲なのかもしれません。

今月のお買いもの:エルガーウォルトンのヴァイオリン協奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/611

そもそも、このエントリを立てるきっかけになった遠因も、このCDの「クラウン・インペリアル」にあります。ウォルトンエルガー、ディーリアス、そしてブリテン・・・・・イギリスの作曲家たちは何とも美しくアンサンブルの妙味を聴かせてくれる曲を書くのでしょう!

こういった曲が上手に聴こえる日立フィルの演奏は、いまからすれば「これは期待できる!」と胸躍るものなのですが、購入当時はそこまでわからず、第九は大丈夫かなあとずいぶんと心配したものです。

それが杞憂であったことは、次のマイ・コレでご紹介しましょう。



聴いているCD
日立フィル第5回定期演奏会
ベンジャミン・ブリテン作曲
シンプル・シンフォニー作品4
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
レオノーレ序曲第3番作品72a
ウィリアム・ウォルトン作曲
クラウン・インペリアル(原典版
神宮章指揮
日立フィルハーモニー管弦楽団
(トランスライブ TLV-9.801.46)


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