かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ペーター・マークの「大ミサハ短調」

今回のマイ・コレは、モーツァルトの大ミサハ短調です。ペーター・マーク指揮、パドヴァ・エ・デル・ヴェネト管弦楽団、アテスティス合唱団ほかの演奏です。

このCDはモーツァルトのミサ曲を全曲そろえようというものの一環です。以前、この全集を取り上げましたが、その続きのつもりで購入しています。

マイ・コレクション:モーツァルトミサ曲全集1
http://yaplog.jp/yk6974/archive/563

マイ・コレクション:モーツァルトミサ曲全集2
http://yaplog.jp/yk6974/archive/564

マイ・コレクション:モーツァルトミサ曲全集3
http://yaplog.jp/yk6974/archive/570

マイ・コレクション:モーツァルトミサ曲全集4
http://yaplog.jp/yk6974/archive/571

マイ・コレクション:モーツァルトミサ曲全集番外編 K.192と194
http://yaplog.jp/yk6974/archive/584

この時取り上げましたEMIのものでそろえることが出来なかったため、そのほかは粘り強く一つ一つ集めることにしたその第一弾がこの大ミサハ短調のCDでした。

ペーター・マークと言いますと、メンデルスゾーンモーツァルトの名演で有名であり、ほとんどがArtsレーベルから発売されていました。当時はその中でもレクエイムとベートーヴェンの第九の演奏でその名を博していた時です。しかしこのCDも実にいい演奏を聞かせてくれています。

まず、大ミサハ短調の説明から参りましょう。この曲は以前モーツァルトのミサ曲を特集した時にエントリを上げています。

モーツァルト ミサ曲ハ短調K.427(417a)
http://yaplog.jp/yk6974/archive/187

その時にも触れましたが、この曲は未完で残されたミサ曲です。このCDはその時に触れたモダンの演奏で、バイヤー版を使っています。そのせいか、オケの動きはレクイエムなどと比べますとそれほどでもない印象を受けますが、それでもクレドなどは多分に動いています。

この演奏は私好みの端整なもので、それでいて合唱団をのびのびと歌わせています。そのため特に声楽にはメリハリがきいていて、何度も聴きますと味が出てきます。ちょっと気になるのが合唱団の発声で、特にソプラノの発声が下から当たり気味のように聞こえてしまいます。その点だけが残念です。

オケはそれほど有名ではないのにとても素晴らしいアンサンブルで、安心して聴いていられます。全体的に完成度は高く、ソリストが素晴らしいですね。宗教曲でもいろんなレビューではどうしても合唱団など声楽が抜けることが多いのですが、やはり元合唱団員としては声楽にどうしてもまず注目してしまいます。

ペーター・マークを取り上げているネットの情報源はいくつかありますが、そのどれも合唱が入るもので合唱に注目している人がいないのがさみしいですね。ペーター・マークは元々合唱指揮者からそのキャリアが始まっているのにもかかわらず・・・・・

このCDでは、マークが特にフレージングに気を使っているのがよくわかります。そのせいかプロの合唱団が息継ぎに苦労しているのが手に取るようにわかります。それでも発声で苦労はしていてもアンサンブルは決して崩壊しません。このあたりが元合唱指揮者、ペーター・マークの面目躍如なのだと思います。

このフレージングの問題は特に指揮者がもともとどんな楽器を得意にしているかが如実に表れる点で、ピアノと声楽とでは全然アプローチが違ってきます。いや、器楽と声楽とでは全く違ってくると言っても差し支えないかもしれません。ただ、器楽でもオルガンとほかの楽器とではまた違い、その上で声楽とでも違うのです。

そういった点に注目して聴きますと、たとえば交響曲であっても面白いことが発見できたりもするので、面白いです。

日本ではプロの評論家を含め、なかなか声楽からのアプローチがないので、私は声楽曲の場合は特にフレージングと息継ぎには注目して聴いた上でエントリを立てていますが、このマークは本当にその点で秀逸です。言葉一つ一つの発音にしても丁寧さを求めていますし、だからこそそれをサポートするオーケストラの素晴らしいアンサンブルが生きるのです。

宗教曲の場合、元々は合唱のみで出発していることから人声が重視されているので、まずそれを大事に指揮をすることが大事なのですが、マークはそれに徹しています。その上でオケも含め全体をまとめ上げているわけで、この手腕は本当に素晴らしいです。

2001年に惜しまれながら亡くなりましたが、できれば私もほかに何か欲しいなと思っています。実は当時も第九は買おうかなと計画していたのですが、人気だったことからなかなか購入できず、そのうち他に買うものが出てきたことから今までほったらかしになっています。マークの第九があったら、是非とも買おうと思っています。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ミサ曲ハ短調K.427
リンダ・ラッセル(ソプラノ)
ミラ・ヴィロティエヴィッチ(アルト)
ジェイムズ・マクリーン(テノール
エリダール・アリーエフ(バス)
アテスティス合唱団
ペーター・マーク指揮
パドヴァ・エ・デル・ヴェネト管弦楽団
(Arts 47385-2)



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