かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ショパン ピアノ作品全集1

今回から神奈川県立図書館所蔵CDのコーナーは、13回にわたってショパンのピアノ作品を取り上げます。

普通のCD店に器楽曲コーナーがあるのと同様、神奈川県立図書館にも器楽曲のコーナーがあります。すでにベートーヴェンピアノソナタ全集をこのブログでも取り上げていますが、その時ぶりにピアノ独奏曲を借りることとなりました。実際には昨日まで取り上げていましたモーツァルト交響曲全集を借りつつという形だったと思います。

この時期、いかに私が全集にのめりこんでいったのかが今振り返ってみてもわかります。それを実際にCDでそろえるとなると場所の問題がありますが、図書館で借りてリッピングしておくということであれば、パソコンあるいは外付けHDの場所以外、必要ないのですから・・・・・

そういったこともあり、ベートーヴェンの次はどの作曲家にしようかと悩んだ末、ショパンに決めました。翌年生誕200周年という時期(つまり、借りましたのは平成21年、2009年)に、予習を兼ねて聴いておこうと思い立って借りてきました。

しかし、ショパンピアノ曲は本当に多く、正直言いまして消化しきれませんでした。そのため、今回の特集でも各エントリでどこまでつたえられるか、私自身も出たとこ勝負!という感じです。

全体の構成としては作曲順とかではなく、種類ごとにまとめられていて、それがなるべく作曲順になるようにという編集方針だったようです。ですので、この全集でショパンの作品の変遷というところまでは普通に聴いただけでは難しいと思います。ピアニストは、ウラディーミル・アシュケナージ。このブログでもシベリウス交響曲第2番とラフマニノフのピアノ協奏曲第4番で指揮者として、ラフマニノフピアノ協奏曲第2番でピアニストとしてご紹介しています。

この全集では当然、ピアニストとしてになるわけなのですが、彼は実はショパン・コンクールで2位になった実力者でもあります(1位になってもおかしくなかったようで、有名なミケランジェリの審査員降板事件があります)。

ウラディーミル・アシュケナージ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%B1%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B8

さて、まずショパンという作曲家について触れなくてはいけませんね。ネットではやはりウィキでしょうか。できればウィキだけでなく書籍にも当たられるほうがよろしいかと思います。ウィキが信用置けないというよりは、ウィキ上で様々な指摘がありますので。

フレデリック・ショパン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3

さて、これをざっと読みまして、みなさんはどんな作曲家だと思いましたか?「ピアノの詩人」とは確かによく言われますが、私としてはもっと奥の深いものを、音楽からは感じています。

特に、彼はポーランドの出身だということが、一つのキーワードだと思っています。かれはクラシック音楽の区分からしますと、時代としては前期ロマン派と区分されますが、はたしてそれは正しいのだろうかと私は思ってしまいます。それはおいおい語ってゆきたいと思いますが、片足を国民楽派に突っ込んでいないかなと思ったりもします。

国民楽派
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%A5%BD%E6%B4%BE

ショパンが好んで作曲したジャンルにポロネーズがありますが、これはまさしくポーランドの音楽なのです。それもおいおい語ってゆきたいと思っています。

この全集を聴きますと、ショパンを単に「ピアノの詩人」と呼ぶことに、私は抵抗を感じてしまうのです。

その第1集はまず、聴きなれた「前奏曲」と「即興曲」から入ります。24の前奏曲作品28とそれに番号的に続く前奏曲が二つ、そして即興曲が4つです。

まず、前奏曲ですが、24の前奏曲が1839の完成で、続く二つの前奏曲、第25番が1841年、第26番が1834年に書かれていて、第26番は遺作(20世紀になって発見されたため)となっています。

前奏曲 (ショパン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%91%E3%83%B3)

まず、24の前奏曲ですが、これには私たちもどこかで聞いたことがあるような曲がたくさん含まれている、小品集なのですが、これを借りてよかったなと思ったのは、この曲がバッハの平均律クラヴィーアに敬意を表して、ハ長調から始まり短調をはさみながら半音づつ転調してゆき、最後ニ短調で終わるという構成になっているからなのです。

調
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%BF

つまり、ショパンという作曲家を単に「詩人」というロマンティックな感傷だけで聴かないでくださいねと、アシュケナージはやんわりと演奏で語っているんですね。

例えば、第7曲目は、某製薬メーカーのCMで最も有名です。「ありがとう、ほにゃららら」でもうお分かりですよね?ええ、あの国民的に有名なあの曲は、ショパンだったというわけですが、その曲はロマン溢れる曲です。しかし、アシュケナージはそういった部分ではなく、24曲すべての中で俯瞰しながら味わってほしいと、この曲をいきなり持ってきていると想像できるわけです。

その上で、続く二つの前奏曲も味わうと、今度はまた違った雰囲気を味わうことが出来ます。特に第26番は、24の前奏曲が完成する前に作曲されているのですね。前奏曲とは直筆譜には書かれていないようですが、確かに24曲にその美しさは劣ることはありません。

次の即興曲は一連で書かれたものではなく、各々別な機会と時期に書かれた作品が単に番号順に並べられていますが、必ずしも番号順が作曲順ではないことがここではっきりしています。即興といいつつも形式的には三部形式を取っており、形式にのっとって自在に作ってみましたというようなこれら4つの作品は、どれをとっても精神性の高さを感じるものばかりです。その点からショパンが「ピアノの詩人」と呼ばれるのでしょうが、確かにその気高さは、誰しもうなづくことでしょう。

しかし、24の前奏曲の実際の意図というものを考えて聴きますと、まだ私自身がショパンから受け取っていないメッセージを、そこかしこに感じざるを得ないのです。特に、有名な第4番をそのテクストで聴きますと、私にはショパンがもっと深い心の内を、感性だけでなく論理でも受け取ってほしいと言っているように聞こえるのです。

その荒々しい感情が、最後の第4番に来ている・・・・・この演奏からは、そんな気がするのです。



聴いている音源
フレデリック・ショパン作曲
24の前奏曲 作品28
前奏曲第25番嬰ハ短調作品45
前奏曲第26番変イ長調 遺作
即興曲第1番変イ長調作品29
即興曲第2番嬰ヘ長調作品36
即興曲第3番変ト長調作品51
即興曲第4番嬰ハ短調作品66「幻想即興曲
ウラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)



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