今月のお買いもの、4枚目はチマローザのレクイエムです。ナクソスから最近出たものです。
まず、チマローザという作曲家についてご紹介しましょう。
ドメニコ・チマローザ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%9E%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B6
古典派の作曲家で、ウィキにもありますが主にオペラ作曲家として有名でして、ロッシーニが出るまではその道の第一人者でした。ただ、この人の経歴を見ますと、晩年はかなり不幸ですね。歴史に振り回された晩年とも言えそうです。
さて、そんなチマローザですが、生涯でレクイエムを4曲書いています。そもそもこの時代、レクイエムを複数書いている作曲家は結構いまして、ほかにはハイドンの弟、ミヒャエル・ハイドンも2曲書いています(そのうちの1曲がモーツァルトのレクイエムに影響を与えました)。
このCDそのうち、1778年ごろロシアで駐フランス大使の奥様を偲んで書かれたものが収録されています。
基本的にモーツァルトのレクイエムと同じ部分を使っていますが、一部違うものも混じり、かなり実用を考えた構成となっています。文言だけではむしろヴェルディのレクイエムのほうが近いでしょう。
そして、当時のミサ曲の特徴でもありますが、各部分が細かく分かれていまして、儀式の際の挿入曲として使われることが明らかな構成です。そのため、各楽章ごとの関連性というのは若干薄くなっているのは仕方ない点だと思います。
しかしながら音楽そのものはどこかしら切ない、悲しみが零れ落ちるような楽曲となっていまして、派手さがほとんどない割には、何か胸を衝かれるようなものを抑えることが出来ません。
チマローザのオペラは軽妙さで有名ですが、そんなものとは無縁ともいえるくらい哀しみが全曲を貫いています。一部テノールがオペラ的な歌唱をするくらいで、チマローザのオペラを知っている方からすればその様子からは想像もできないくらいの雰囲気を持っています。
オケと合唱団もアンサンブルが秀逸で、きれいです。チマローザの作品があまり日本では紹介されることが少ないことを考えますとこのCDの出来栄えは素晴らしいのではないでしょうか。合唱団の発音もきれいですし、これほど美しいラテン語の発音を聴くことも珍しいと思います。表現力も力強さとしなやかさを持ち合わせ、切々としたものだけでなく突き上げられるような感情まで表現しています。
できればこの組み合わせでモーツァルトのレクイエムが聴きたいと思うのは私だけなのでしょうか。
聴いているCD
ドメニコ・チマローザ作曲
レクイエム ト短調
アドリア―ナ・クチェロヴァ(ソプラノ)
テレジア・クルツリャコヴァ(アルト)
ルドヴィット・ルーダ(テノール)
グスタフ・バラーチェク(バス)
ルーチニカ合唱団
カーク・トレヴァー指揮
カペラ・イストロポリターナ
(Naxos 8.572371)
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