かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ルトスワフスキ 交響曲第4番・パルティ―タ・チェーン2

今月のお買いもの、3枚目はルトスワフスキを知るための一枚と言っていいでしょう、交響曲第4番、パルティ―タ、チェーン2などが入ったアルバムです。

ルトスワフスキを取り上げるのはとても久しぶりです。

今日の一枚:ベートーヴェン 大フーガ・運命、ルトスワフスキ 管弦楽のための協奏曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/191

まだ「今日の一枚」のコーナーがあった頃ですから、もう2年ほど前になるのですね。

ちょうどそのころ、とあるイヴェントでルトスワフスキ交響曲第4番も聴く機会がありまして、この人は本当にいろんな顔をもつなあと思いつつ、この第4番だけはCDが少ない(それどころか、存在しないのではないかという話さえ)ということもありましたので、いつかはライブラリに入れてきちんと聴きたいなと思っていました。

で、聴いてみましたが・・・・・これはとんでもないものを買ってしまいました。

まず、ルトスワフスキという作曲家をご紹介します。彼の説明をしているのは残念ながらネットではウィキだけです。

ヴィトルト・ルトスワフスキ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD

ただ、私としましては、英語が読めるのであれば英語版ウィキの説明をおすすめします。

http://en.wikipedia.org/wiki/Witold_Lutos%C5%82awski

グーグルクロームであれば翻訳機能がついていますので、それをつかってもかなりの情報を得ることが出来ますが、文脈がおかしいのでその点だけは考慮してお読みいただきたいのですが・・・・・・

要するに、第2次世界大戦前後から戦後に活躍した作曲家であり、その手法としては主に12音和音や「チェーン」と呼ばれるものを使っているということです。

もっと簡単に言えば、まさしく「前衛音楽」の作曲家です。

ここに集録されているもので旋律線がはっきりしているものなど一つもありません。1曲目の「葬送音楽」からもう不協和音全開です。

ただ、この葬送音楽、3月にベルリン・フィル東日本大震災の追悼コンサートをやった時に演奏した曲でもあります。ウィキによりますと、この曲は「12音技法の修練の為」とされていますが、しかしながら不協和音が鳴り響く割には気品があるんですね。これには私の前衛音楽観が覆る印象を受けました。

2曲目がチェーン2。これこそ、ルトスワフスキらしいと言われる作品です。チェーンとは、「各パートが「それぞれのアゴーギクを保ちつつ」、「ほぼそのように」演奏される為に、指揮者は入りの瞬間だけをキューで示し、後の音楽の進行はそれぞれの奏者ごとに与えられる異なったテンポやフレーズ、繰り返しに任される」アドリブ動律(ウィキ)からなるセクションと、通常の小節線によるセクションを往復すること」を言います。初期には「縄状形式」と呼ばれました。

これは彼がジャズやタンゴといった音楽に影響を受けたことに端を発しています。しかしそれがルトスワフスキの手にかかりますと、不協和音の前衛音楽になります。

ですので、とっつきにくい印象派否めないでしょう。しかし、なぜかルトスワフスキには何か私は人間臭いものを感じるのです。それがなぜかはまだよくわかりません。

それをさらに極限の形にしたのが次のパルティ―タでしょう。これはバロックでよく使われた変奏形式の連続音楽ですが、連続しているという形式からか現代音楽でも結構作曲されているものです。この曲もほとんど連結されて演奏されます。

実はこの二つはヴァイオリンとオーケストラのために作曲されたものですが、チェーン2はいわばヴァイオリン協奏曲とも言われています。対話という題名がついてはいますが、その対話は、ヴィルトーソのようでヴィルトーソではなく、落ち着いているようで落ち着いてはないという、何とも前衛音楽らしい多面性をもちます。

さいごが交響曲第4番です。基本的な構造や初演のデータはこちらが詳しいでしょう。ハイドンモーツァルトの時にもお世話になっているサイトです。

ルトスワフスキ交響曲第4番の概要
http://www.kanzaki.com/music/perf/lts?o=sym.4

2楽章形式でなおかつそれが連続し、さらにピアノまで入るという形式的には現代音楽ですでに先人たちがやってしまっていることを思いっきりやっています。それよりもこのサイトにも出ている楽章を示す言葉をみますと、これもチェーン形式によるアドリブ律動と通常の旋律の狭間を行きかう音楽であることが分かります。それだけに音楽は多面的ですが、かといって複雑ではないのがこの曲の特徴かと思います。

確かに、耳を傾けますといろんな音が聞こえてきまして、決して単純な音楽ではありません。しかしでは複雑なのかと言えば聴いた印象はそうではないという、とても高度なことをやってのけています。それ故に、音としては思いっきり不協和音でありながら、聴いていて飽きないというすばらしさを持つ曲です。

ルトスワフスキの作品を手っ取り早く俯瞰することが出来る一枚なのですが、これは初心者が買うべき一枚ではないとだけは言っておきます。まあ、怖いもの見たさが習慣づいているのであればお勧めします。ただ、聴いて発狂しても保障しかねます^^;

いや、発狂する前に拒絶反応が先に起きると思いますが・・・・・しかし、さすが母国のオケ、ソリスト、指揮者ですね。とても高いレヴェルでまとめています。音が浮き出てくるというか、輪郭をはっきりと示し、この作品群が決して難解なだけではなく、もっと人間の深遠な精神世界の根っこの部分に焦点を当てているという演奏になっています。

これで1200円は安いのではないでしょうか。



聴いているCD
ヴィトルト・ルトスワフスキ作曲
葬送音楽
チェーン2(ヴァイオリンとオーケストラの対話)
パルティ―タ
交響曲第4番
クシシトフ・バコウスキー(ヴァイオリン)
アントニ・ヴィト指揮
ポーランド国立放送カトヴィツェ交響楽団
(Naxos 80553202)



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