今回のマイ・コレは、バッハ・コレギウム・ジャパンのヨハネ受難曲です。
このCDを買ったのはもちろん、BCJのコンサートに足を運んだことがきっかけになっていますし、さらに言えば、マタイを聴いて感動というか衝撃を受け、その影響でさらにヨハネもと考えたのが理由です。
マイ・コレクション:リリンクのマタイ受難曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/640
まず、ヨハネ受難曲がどんなものかご紹介しましょう。以下のサイトはウィキペディアになります。
ヨハネ受難曲
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E5%8F%97%E9%9B%A3%E6%9B%B2
基本的なことはこのウィキの説明で事足りるでしょう。さらに付け加えるならば、そして実はそれこそ私は重要な点なのでできればウィキでも記述してほしかったことなのですが、イエスの性格付けなのです。このヨハネでは徹頭徹尾人間の原罪を背負って死ぬことに迷いがない姿が描かれているのです。
これは人間臭く悩みぬいた末に磔刑に処せられたというマタイとは決定的に違う点です。
ウィキでも説明がされていますが、このヨハネは合唱の比重が大きいのも特徴ですが、それにもきちんと理由がありまして、テクスト上イスラエルの人々の安易な姿を借りて、人間の浅はかさを描いているという点です。
実は、どちらの受難曲でも特徴的なのは、ピラトは悪く書かれていないという点です。実はピラトはイエスの言葉に真実を見て、釈放に努力するのですが、群衆の声に抗しきれず、イエスの磔刑を決めてしまうのです。マタイではそれはやむを得ずというオブラートに包まれた格好になっていますが、このヨハネでははっきりと群衆に恐怖して抵抗できずというテクストになっています。
特に、自分たちが裁くのではなく、ローマの律法が自分たちの律法であり、その律法では王はローマ皇帝だけなのに、彼は神の子で皇帝であると名のったのだ、釈放するということはローマ皇帝に背くことだと言ってピラトを群衆が追いこんでいくさまは、現代にも通じる迫力をもっています。
その群衆の「罪」を償うため、イエスは潔く死んでゆくというテクスト、そして性格付けになっているのです。
そのせいか、このCDでも合唱の表現力は抜群です。特に「十字架につけろ!」と連呼する「Weg!」と叫ぶ部分はぞっとするくらいで、これが日本の団体なのかと、初めて聴いたときには衝撃が体中を駆け巡りました。
最初の合唱も素晴らしいです。マタイよりも長いその合唱だけでも是非聴いていただきたい曲です。
ドイツ語の発音も素晴らしく、2枚目の冒頭合唱の子音のはじき出しは素晴らしいです。これをきちんとやれる団体は国内ではあまりないです。
一つ一つの曲の簡単な解説は以下のサイトのほうが詳しいと思います。これより詳しいものはバッハ事典か、国内盤のCDを買われるほうがいいと思います。
バッハ,J.S. Bach, J.S
■ヨハネ受難曲BWV.245
http://oekfan.web.infoseek.co.jp/note/bach/johannes_passion.htm
それにしても、BCJですから当然ですが編成としては小さ目になるわけなのですが、それが全く遜色ないのですね。マタイはかなり大がかりな編成の演奏でしたが、これはピリオドでかつ小さな編成になるわけで、それでもドラマティックな演奏を実現しています。
これを聴いてしまうと、やはりイングリッシュ・バロック・ソロイスツのモーツァルトピアノ協奏曲の演奏はやはりどこか問題があると考えてしまうのですね。
さて、実はこの演奏はカザルス・ホールで行われています。BCJのヨハネは二つCDが出ていまして、今では通常はカンタータの演奏収録場所でもある神戸松蔭女子大学のチャペルで演奏されたものが販売されておりますが、一方このCDは廃盤になるならないをくり返しています。いまでほ貴重な演奏であると言っていいでしょう。日大が閉鎖を決め、もしかすると取り壊しという憂き目にあうかもしれないわけなので・・・・・
店頭で見つけましたら、ぜひともお買い求めくださいませ。松蔭のよりもこのカザルス・ホールのものを私はお勧めします。特に、イエスをやられている多田羅さんが素晴らしいです。
聴いているCD
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ヨハネ受難曲BWV.245
多田羅通夫(バス、イエス)
ゲルト・テュルク(テノール、福音書記者)
鈴木美登里(ソプラノ)
栗栖由美子(ソプラノ)
米良美一(アルト)※カウンターテナー
太刀川昭(アルト)※カウンターテナー
片野耕喜(テノール)
水野賢司(バス)
柳沢亜紀(女中、ソプラノ)
瀧澤映(下役、テノール)
鈴木雅明指揮
バッハ・コレギウム・ジャパン
(キングレコード Romanesca KICC 168・169)
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