神奈川県立図書館所蔵CDピノックモーツァルト交響曲全集の今回は第4回目です。
最初に第10番が来てその後に第12番というのは、時間の関係ではなくこの全集が基本作曲順に集録されているという証拠です。時間の関係になるのはその間に来るはずの番号なしの交響曲ヘ長調K.75(偽作の疑いが濃いものですが)になります。これは昨日ご紹介しています。
こう聴いてきますと、第14番から確実に音楽が変わっているのが手に取るようにわかるんですね。そういった変遷を見るにはうってつけの音源であると思います。演奏だっていいですしね。
ただ、ピリオド演奏のほとんどがそうなのですが、このピノックも例外ではなく、音の高低で強弱はあまりついていません。しかしリフレインはある程度弱くされているので、この演奏は比較的当時に近い演奏スタイルだと言っていいと思います。
このアルバムにはちょうどモーツァルトの音楽を語る時に欠かせない二人のザルツブルクの大司教の時代にまたがっています。シュラッテンバッハとコロレドです。第13番までがシュラッテンバッハで、第14番と第15番がコロレドになります。
詳しく書けばあまりにも長くなるのでそれは割愛します。とにかくその差がいきなり第14番で起きるのですから、とても新鮮です。
第13番まではギャラント様式の雰囲気が色濃い作品群ですが、第14番からは古典派的な雰囲気に明らかに変わります。それがこのアルバムでは明らかに聞き取ることが出来るのです。
それはとても魅力ですね。その点だけでも、この全集を借りた甲斐があったなと思います。すでにモダンで借りてリッピングしてあるにも拘らず、です。マリナーは本当に番号順でしたから。
モダンでも作曲順の全集を求めます!
それが出るまではこのピノックのピリオドの全集も燦然と輝く意義を持つと思います。演奏のスタイルという点では難がありますが・・・・・
ただ、その難は普通に聴くのには何ら支障はないですし、私はピリオドの全集であればこのピノックのものを勧めます。
もうすこし音の高低で強弱がきちんとついていれば、完璧だったのですけどね〜。
なお、楽章構成は第10番が3楽章制であるほかはすべて4楽章制です。ただ、4楽章制が多い中で3楽章制も明らかに入っている点が、いまだモーツァルトが置かれた立場が低いことを表わしているように思います。どちらも試したとかそういうことではないです、それはもうハイドンがやっているのですから。
あきらかにモーツァルトの評価というものであると考えるべきだろうと私は思います。どうしても現代人である私たちはその素晴らしい音楽から高い評価を想像しがちですけどね。
そう簡単でないのが、世の中、というものです・・・・・それをはっきりと、作曲順で編集すると教えてくれます。
だからこそ、この全集の意味はたとえ演奏スタイルがモーツァルトの時代から少し離れているとしても、大きいのです。
聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
交響曲第10番ト長調K.74
交響曲第12番ト長調K.110
交響曲第13番ヘ長調K.112
交響曲第14番イ長調K.114
交響曲第15番ト長調K.124
トレヴァー・ピノック指揮、チェンバロ
イングリッシュ・コンサート
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