神奈川県立図書館所蔵CDモーツァルト交響曲全集ピノック/イングリッシュ・コンサート編の今回は第5集を取り上げます。
収録曲は第16番から第19番まででして、順番に並んでいます。確かにこの4曲は順番に作曲されています。
モーツァルトは比較的こういったケースが多いので、番号順でもいいと思いますが、それでもなるべく作曲順で収録しようというこの全集の姿勢は、高く評価できるのではないかと思います。
それに、この第5集では、リフレインをきちんと弱く演奏するなど、古典派の時代のスタイルに比較的忠実です。その点でもこの全集はピリオドとはいえ、モダンの全集ではなかなか越えられない「史料的価値」を持つと私は思います。
モダンは演奏スタイルという点ではピリオド演奏よりもピリオドです。しかし、その全集となると、ピリオドに引き離されている部分があるのではないかという気がします。
それにしても、この第5集でいきなりうまいなと感じるのはいったいなぜなのでしょう?それは演奏スタイルがそう感じさせているのですが、そうなった理由はいったいどこにあるのでしょう?もしかするとピノックがいろいろ試していた?
その可能性はゼロではないと思いますが、はっきりとはわかりません。
こういう演奏に出会ってしまうと、ピリオドでもモダンでもどちらでもよくなってしまうんですよね〜。特にこの全集ではピノックの演奏のチェンバロが入っていまして、モダンの演奏と比較できますね。もともと、初演時はチェンバロが入ったでしょうから、編成という意味においてはかなりこの全集は気合が入っていると思います。
恐らく全体の人数もそれほど多くはないのでは?と思います。何しろブックレットなどは借りていないのでその点が不明なのですが、聞き取れる範囲においては、以前のイングリッシュ・バロック・ソロイスツに較べれば少人数であることが弦の音から聞き取ることが出来ます。
ピリオド演奏の歴史は浅いとはいえ本場ではもう四半世紀以上たっているわけで、それなりに演奏ノウハウを積み上げてきているはずで、そのノウハウをどれほど自家薬篭中のものにしているかが重要なのだと思います。この演奏はまさしく、そういった点を明らかにしてくれています。
また、このように順番に聴きますと、このあたりからギャラント様式的なものと古典的なものとが入り混じるようになってきているのも面白いと思います。4曲それぞれにギャラント的なものと古典的なものとがあり、モーツァルトの音楽が再びコロレドという人によって変化していく様子がよくわかります。しかし、この交響曲ではミサ曲ほど苦労はしていないようですが・・・・・
聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
交響曲第16番ハ長調K.128
交響曲第17番ト長調K.129
交響曲第18番ヘ長調K.130
交響曲第19番変ホ長調K.132
トレヴァー・ピノック指揮、チェンバロ
イングリッシュ・コンサート
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