かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ナクソスのパガニーニヴァイオリン協奏曲第3番と第4番

今月のお買いもの、4枚目は銀座山野楽器で買い求めました、ナクソスから出ているパガニーニのヴァイオリン協奏曲第3番と第4番です。

このCDをチョイスした理由は、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第3番が前からほしかったからです。

実は、神奈川県立図書館ですでに第1番と第2番、第4番は借りてきていまして、リッピングしてあります。さらに、この3曲は大きいCD店であればどこでも売っている、パガニーニの有名曲でもあります。

しかし、第3番だけはなかなかなかったのです。このCDを購入する本の数日前、横浜関内のプレミア・ムジークでも私は思わず「ないなあ、パガニーニの第3番は〜」とつぶやいていました。それがなんと、山野本店にあるではないですか!

こういう曲をナクソスは本当に取り上げてくれます。確かにナクソスの演奏は必ずしも一流とは言えないのでその点割り引いて聴く必要はあるのですが、かといってそれは聴くに堪えないレヴェルではないわけですから、さほど気にする必要はないと思います。

ただ、こういったヴィルトォーソの曲は確かにすこし心配しなければいけない部分があるんですが・・・・

まず、第3番という曲がどれだけレアな曲なのかを示しましょう。以下はウィキの解説ですが、これ、英語のページなのです。

http://en.wikipedia.org/wiki/Violin_Concerto_No._3_(Paganini)

これを私は日本語に翻訳するサービスで読んで書いています。それでなければこの曲がいつ書かれ、初演はいつだったのかすらわからないのがまず国内の状況であると言っていいでしょう。あるいは、国立国会図書館あたりにいって、かなり専門性の高い本を書庫から出してもらって調べないとわからないという代物、なのです。

少なくとも、日本ではあまり演奏はおろか、聴かれる機会も少ない曲なのではないでしょうか。しかし、図書館で全集で聴く癖がついてしまった私は、第3番がどうしても聴きたい衝動に駆られていました。パガニーニはそれだけエネルギーがある音楽を書くのです。音楽に生命と艶があるのです。それを聴きますとちょっと落ち込んだ時でも元気が出ます。

単にヴィルトォーソで激しいだけではなく、そこに生命力がきちんと宿っているんですね。それでいて気品をもち、気高さも有します。

さて、みなさんはパガニーニと言えば、どの時代の作曲家だとイメージしますか?ロマン派?はい、それは正解です。確かに彼はロマン派の時代を生きた作曲家です。しかし、実は彼は古典派の時代の作曲家でもあります。

ニコロ・パガニーニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8B

1778年に生まれ、1840年に没しています。そして実は、ヴァイオリンの勉強を始めたのは19世紀に入ってすぐという時期で、ちょうどベートーヴェンが最初の交響曲を書いていた時期なのです。さらに、第3番より前の第1番と第2番は、いずれも1810年代から20年代にかけて作曲された曲でして、特に第1番は1817年から18年にかけて書かれたとされていまして、古典派の作品と呼んでも差し支えありません。しかしその音楽はすでに次のロマン派の時代をはっきりと示しています。

パガニーニはロマン派の作曲家ですが、基本的にウェーバーシューベルトと言った作曲家たちと同じく、ロマン派の音楽を作っていった作曲家であったのです。

さて、その第3番のヴァイオリン協奏曲はとてもパガニーニらしい作品ですが、確かにその前の二つに比べますと幾分華がないのですね。その点が恐らくこの曲の演奏機会が少ない理由なのではないかと思います。作曲時期は1824年から26年とされていまして、ベートーヴェンが弦四の第14番などを作曲している時期に相当します。ただ初演は1828年以降であっただろうとされています。

華がないと私が感じる理由は、第1楽章の開始にあります。まずピッツィカートで始まる開始は確かにおしゃれでびっくり箱で、それを受けてのオケの力強いユニゾンは何か美しく華々しいものが始まるという期待感をもたせますが、それ以降が結構動きは激しいのですがこじんまりとまとまっているような感じです。

それはナクソス特有の録音精神のせいかもしれませんが、しかし第4番にはもっと生き生きとしたものを感じますので、違うように思います。やはり、それだけ華がないということになろうかと思います。しかし、そのほかの楽章が持つ優雅さと激しさを兼ね備える美しさは絶品です。特に、第1楽章から第2楽章へと切れ目なく移る自然さは、天上世界を見ているような雰囲気です。

一方、第4番はウィキで日本語のページがしっかりとあるだけ、演奏機会も多い曲です。

ヴァイオリン協奏曲第4番 (パガニーニ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC4%E7%95%AA_(%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8B)

恐らく1830年から31年にかけて成立したものと考えられています。それまで彼のヴァイオリン協奏曲は必ず楽章がつながっている部分を持っていますが、この第4番は珍しく各楽章が各々独立しています。なぜそうなったのかはよくわかりませんし、ウィキでも触れていません。ナクソスの英語解説をかいつまんで読んでみても、第4番に関しては逆にあまり説明がないんですね。それはこの曲が一度処分されているという経緯があるのでしょう。そんな運命をたどったこの曲は第3番に比べますととても生き生きとしていまして、華もあります。その中に顔を覗かせている憂いがマッチして、音楽を彩っています。

どちらも独奏ヴァイオリン導入までが長いというパガニーニの「形」をしっかりと聴かせてくれます。

演奏もソリストは本当に素晴らしいですね。安心して聴いていられます。ただオケだけが、第3番においておいおい危ないぞという印象を冒頭で受けますがそれをしっかりとすぐ立て直すところなんざあ、素晴らしいですね。と言ってもアンサンブルが崩壊しているわけではなくて、トゥッティが合わないかなという印象を受けるだけなんですけどね^^;

全体的にはとても素晴らしい演奏になっていると思います。それに、このCDは省略なしの世界初録音ということで、第4番は図書館から借りてリッピングしてある音源ときき比べてみても面白いなと思います。少なくとも面白いと認識させるだけの実力を、ソリストもオケも充分兼ね備えています。特にソリストは、全く心配なしに聴けるのはありがたいですね。

そういえば、ナクソスサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲の時も安心して聴けましたし、ヴァイオリニストのつてというものを持っているのかもしれません。この2枚だけで判断するのもどうかとは思いますが、私が聴いた範囲内では、ヴァイオリン協奏曲に関してナクソスは信頼できる演奏をそろえているように思います。



聴いているCD
ニコロ・パガニーニ作曲
ヴァイオリン協奏曲第3番ホ長調
ヴァイオリン協奏曲第4番ニ短調
エルネ・ロージャ(ヴァイオリン)
ミヒャエル・ディットリッヒ指揮
スロヴァキア放送交響楽団
(Naxos 8.554396)



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