かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヴィオッティ ヴァイオリン協奏曲第16番・第24番

今月のお買いもの、2枚目はヴィオッティのヴァイオリン協奏曲の第16番と第24番、そしてカップリングはヘンデルのヴァイオリン・ソナタです。

これも横浜・関内のプレミア・ムジークで買い求めた輸入盤で、980円の廉価盤です。そのため、解説がないのが今回はかなり苦しいのですが・・・・・

というのも、このヴィオッティの作品が素晴らしいからなのですが・・・・・

さて、まずヴィオッティという作曲家の紹介から参りましょう。いろいろ問題も多いですが、こういった時にはとても役に立つウィキの説明です。

ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3

イタリアで生まれた作曲家で、おもにフランスで活躍したヴァイオリニスト・作曲家です。コアなクラシックファンの間では有名ですが、知らない人は知らないという作曲家です。時代的には古典派で、ハイドンベートーヴェンと同じ時代を生きた人です。ほとんどベートーヴェンと重なっていると言っていいと思います。

モーツァルトベートーヴェンブラームスと言った作曲家に影響を与えた人で、モーツァルトには実はこのCDにも収録されている第16番にティンパニとトランペットパートを補強した編曲が残されています(K.470a)。どの作品かは調べてもあまりわかりませんが、モーツァルトのピアノ協奏曲第19番はヴィオッティのヴァイオリン協奏曲に影響されていると言われています(モーツァルト事典の該当項目には、まったく言及はなくむしろハイドンの影響が認められるとの記述があります)。

さらにヴィオッティのヴァイオリン協奏曲第22番はブラームスやヨアヒムに好まれたとされていまして、それはブラームスが敬愛するベートーヴェンをしのぐとの逸話が残っています。

ヴァイオリン協奏曲第22番 (ヴィオッティ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC22%E7%95%AA_(%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3)

さて、まずモーツァルトが編曲もしたという第16番ですが、まるで運命の時がやってきたかのような序奏から始まり、独奏ヴァイオリンが導入されるまでに約3分ほどかかっています。こんな導入はまるでロマン派のようです。独奏ヴァイオリンも古典派というよりはロマン派に近い色彩をもち、会話するコンチェルトではなく、さらに対等どころか独奏ヴァイオリンのほうが勝っている「ヴィルトォーソ協奏曲」の様式に近いものをもちます。いや、そう錯覚してしまう音楽で彩られています。

第1楽章はメンデルスゾーンのような感じすらしないでもない音楽です。不完全という意見も彼の音楽にはありますが、しかし作曲時期は古典派の時代なのです。この曲はブックレットもなくネットにも解説がないので作曲年が分からないのですが、少なくともモーツァルトが残したK.470aが作られた1785年にはすでに成立していたと考えていいでしょう。どなたか作曲年をご存知の方がいらっしゃいましたらご教示願います。この曲はそういったことがますます知りたくなる1曲です。

次に第24番ですが、これも第16番と同じような構成を持つ協奏曲です。第1楽章は厳しさが緩みますが短調の音楽で、その点は第16番と共通します。この曲もネットでも説明がない曲でして、作曲年もわかりません。ウィキにかろうじて載っている第22番が1790年代の半ばから後半であるということを考慮すると、それよりは後と考えていいでしょうから、少なくとも1798年以降ではないでしょうか。ようやくベートーヴェンが弦四や交響曲を書くと言った時期に相当します。ハイドンであればすでに交響曲を作曲し終え、宗教曲へとシフトしている時期です。

そんな時期に、まるでロマン派と見まごうような協奏曲を書いている作曲家がいたのです。これは、私としては驚きでした。

確かに、ベートーヴェンと時代が重なるロマン派の作曲家はいます。ウェーバーがそうですし、シューベルトもそうです。ほかにはパガニーニもそうなのです。ほかにも幾人かそういった人はいます。作曲家としてベートーヴェンと同じ時代を生きたということは、当然ですがヴィオッティの音楽にも触れていてもいいわけです。

ベートーヴェンが後世の作曲家に与えた影響も大きいですが、彼の音楽性を引き継いだ人というのは私はいないのではないかと思います。ベートーヴェンが持つ特有の、非常に高貴な精神性といったものを引き継いだ人はいません。しかし、ヴィオッティのこの二つのコンチェルトを聴きますと、その精神性と音楽性はいずれも多くの作曲家の音楽へと引き継がれています。メロディアスな旋律、ドラスティックな流れ。そしてソリストが上位の構成。ただ、神とも称されるような高い精神性がないだけです。それはロマン派でもそうですから、むしろヴィオッティの音楽に近いように思います。

そのヴィオッティの音楽の特徴を浮かび上がらせているのが、カップリングのヘンデルなのです。彼のヴァイオリン・ソナタは美しい旋律でとても有名ですが、ヘンデルらしい明るいメロディアスな面をもちつつ、対位法などを駆使するその音楽はあくまでもバロックです。しかし、ヴィオッティはよく聴きませんとロマン派の音楽と間違ってしまいます。ヴァイオリンは確かにロマン派していますが、オケはあくまでも古典派の範疇にとどまっています。いや、とどまろうとしていると言ったほうがいいのかもしれません。オケもロマン派か?と間違う部分も散見されますので・・・・・

それにしても、この演奏がいずれももともとDGの60年代から70年代のものというのが驚きです。そういった時期にヴィオッティを取り合上げる本場の文化的重層を、改めて思い知らされます。



聴いているCD
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ作曲
ヴァイオリン協奏曲第16番ホ短調G.85
ヴァイオリン協奏曲第24番ロ短調G.105
オルグ・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
ヴァイオリンソナタニ長調作品1第13番HWW371
アンドレアス・レーン(ヴァイオリン)
カール・ベルゲマン(ピアノ)
サー・チャールズ・マッケラス指揮
イギリス室内管弦楽団
(eloquence 442 8654)



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