かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ヴィオッティ ヴァイオリン協奏曲全集6

今月のお買いもの、平成28年5月に購入したものを御紹介しております。シリーズでお届けしているヴィオッティのヴァイオリン協奏曲全集の、今回は第6集です。

第6集は第23番、第5番、第6番の3曲が収録されており、この第6集は比較的ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲の中でも古い様式のものが集められています。

それでも、第23番はウィキでも名前だけは上がっている、ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲の中でも有名な作品です。様式としてはまさしく古典的な協奏曲であり、第1楽章はオケが第1主題を演奏し終わったあとに主題をもう一度ヴァイオリンで奏されるというものです。まさしく協奏曲の王道を行くような作品です。

第22番の作曲が1795年〜98年と推測されていることから考えますと、この第23番はおそらくその前後で作曲されたものと推測されます。ハイドンが円熟期を迎え、ベートーヴェンがピアニストとして世に出た時期に当たりますが、そんな時期に演奏されていたのがこんな曲なのだと聴きますと、モーツァルトも含めていかにベートーヴェンが恵まれた環境に置かれていたかが分かります。

ヴィオッティの作品を聴くにつけ、その陰に私はベートーヴェンを感じます。ハイドンでもなく、モーツァルトでもない。どこかその二人には似ているようで、でも似ていない。ヴィオッティが優れた作曲家であった証拠が、ここに存在します。後世第22番で持ってブラームスやヨアヒムに影響を与え、同時代においてベートーヴェンを感嘆せしめた作曲家の、形式美の造形作家としてのヴィオッティの優れた点が明確です。

こういった作品を聴きますと、やはり当時の音楽先進地域はイタリアだったんだなあと感じます。それにモーツァルトが追い越し追い越せで来て、やがてベートーヴェンでは民族の自信を持って独自の作風を、イタリアへのリスペクトも持ちつつ展開していく・・・・・何と素晴らしいことでしょうか。

一桁番号である第5番や第6番も、優れた作品です。協奏曲としての形がきちんとしているうえに、決して外面的ではない、深い美しさも追及している作品です。やがてそれはパガニーニへと引き継がれる・・・・・ヴァイオリンが主張をしながら、小粋な会話を楽しんでいる・・・・・・二つのその音楽は、誠に聴いていて楽しいものです。

編成はメッツェーナのヴァイオリン、指揮とオケがシンフォニア・ペルシナと、第3集〜第5集までと同じです。ヴィオッティが活躍した時代の編成に近いもので勝負しているその潔さが聴いていて爽快です。実際、軽いがしかし軽薄ではないアンサンブルは軽妙で美しく、古典美を私たちに見事に現出させています。

ヴィオッティの時代であれば、他の作曲家であれば古楽という選択もある中で、この演奏はモダンにこだわっています。それはそれで悪いことではないと思います。実際、今昔よりもアカデミーが評価され始めているという時代において、こういったモダン楽器による編成もまた、興味深いものだと思います。多分、私も歴史家の端くれですから、古楽のほうが初演時には近いと思っています。ただ、じっさいに作曲家が意図したものを高いレヴェルで再現するためには、現代の演奏家のレヴェルであれば、時として室内オケによるモダン楽器という選択もアリではないかあと思っています。

聖マーティン・イン・ザ・フィールズがモーツァルト交響曲全集や、ブレンデルと共にピアノ協奏曲の全集にチャレンジしたように、室内オケがこういった古典派の作品にチャレンジすることは、モダン楽器を聴き慣れている現代人に対して必ずや、初演時の気風というものをどこかで味あわせてくれるものと思っています。




聴いているCD
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ作曲
ヴァイオリン協奏曲第23番ト長調W23/G98
ヴァイオリン協奏曲第5番ハ長調W5/G45
ヴァイオリン協奏曲第6番ホ長調W6/G34
フランコ・メッツェーナ(ヴァイオリン、指揮)
シンフォニア・ペルシナ
(Dynamic CDS498/6)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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