かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:モーツァルト ピアノ協奏曲第12番から第14番 ピアノと弦楽四重奏ヴァージョン

今月のお買いもの、3枚目はナクソスから出ている、モーツァルトのピアノ協奏曲第12番から第14番の、ピアノと弦楽四重奏曲による演奏です。

この3曲は、モーツァルトがウィーンに出てきたときに作曲した記念碑的な作品群です。いずれもピアニスト兼作曲家・モーツァルトの「予約演奏会」用に作曲された作品です。

そしてこの3曲には共通点がありまして、それが演奏はオケだけでなく、弦楽四重奏団でもできるようモーツァルトによって編曲がなされているということです。

ハイドンによって確立された弦楽四重奏曲モーツァルトもこの時期作曲にいそしんでいます。そして彼も交響曲作曲家として、ハイドンの曲にも触れていたことでしょう。そんな折、この3曲を作曲した1781年、ウィーンに出たモーツァルトはおそらく、ハイドンとリアルで出会ったとされています。

ハイドンはすでにオラトリオを弦楽四重奏曲へ編曲したり、あるいは交響曲弦楽四重奏曲と間違えられたりと、ある意味コンポーザーとしてだけでなく、バロック以来の伝統であるアレンジャーとしての才能も開花させていました。そんな点がモーツァルトをして、このヴァージョンを書かせた・・・・・そう想像もできるかと思います。

実際、なんでこのような編曲をするのかと言えば、多くの人に自分の音楽を聴いてほしいからなのです。当時どれほど音楽が盛んであろうとも、どこにでもオーケストラがあるとは限りません。その次に大きな編成というのは、弦楽五部あるいは四部での演奏、つまり弦楽五重奏あるいは弦楽四重奏での演奏なのです。

そういった背景からしますと、なるほどと膝をうつような演奏が、いきなり第12番でなされています。ピアノと弦楽四重奏との絶妙なバランス。チェロが奏でる通奏低音部と、メロディをつかさどるヴァイオリンやヴィオラと言った楽器とのバランスも絶妙です。それをこの演奏者たちははっきりときかせてくれます。

第12番だけでなく、ほかの2曲でもモーツァルトのアレンジ能力と、モーツァルトが実際どこに主眼を置いて作曲していたのかというが、よくわかる編曲になっていて、本当は一つ一つをもとの曲と比較してやりたいくらいの内容をもちます。

まさしくその点を期待してこのCDを買ったのですが、その期待に見事に応えてくれています。これは本当に素晴らしい内容です。

その点では、モーツァルトのピアノ協奏曲ってどんなものなの?と思っている方には不向きなのですが、ぜひとも普通の演奏を聴いて次にこの演奏を聴いてみてください。モーツァルトの本当の「能力の高さ」というものを知ることが出来ます。

そして、この演奏は長らく私が疑問に考えてきたある点を、取り除いてくれたものでもあります。それは、以前から述べていますが、ピリオド演奏におけるフォルテピアノのバランスの悪さ、です。

以前、私はモーツァルトの時代はもっと弦楽器の数は少なかったのではないかと述べていますが、もしモーツァルトがもともとピアノ協奏曲において、室内楽で演奏する目的で作曲し、それをオーケストラ用へと転用するという経緯で作曲しているとしたら、その推理は当たっているということになるのです。

つまり、実際当時のオーケストラは、室内楽に毛の生えたような数しか団員がおらず、弦楽器も各パートはせいぜい2から3人くらいしかいなかったとしたら、ピリオド楽器のオーケストラは人数的にも多すぎやしないか、だから本来は思い切って数を減らしたほうがモーツァルトの時代に即しているのではないか、という推理です。

この演奏はモダンとはいえ、全部でたったの5人しかいないのです。普通のオーケストラの演奏に比べても、恐らく10分の一くらいの人数でしか演奏されていないのです。それでも、フルオーケストラに劣らないばかりか、さらにこの3曲の魅力が伝わってきます。

まさしく、海の向こうには、私がもとめている答えがはっきりとありそうです。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ピアノ協奏曲第12番イ長調K.414
ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415
ピアノ協奏曲第14番変ホ長調K.449
ロバート・ブロッカー(ピアノ)
ビアヴァ四重奏団
(Naxos 8.557881)


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