かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:レスピーギ ローマ三部作

今回のマイ・コレは、レスピーギのいわゆる「ローマ三部作」です。カルロ・リッツィ指揮、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。

まず、レスピーギという作曲家からご紹介しましょう。

オットリーノ・レスピーギ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8E%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AE

時代区分としては現代音楽になりますが、かといって無調音楽的な感じではなく、むしろ印象派の延長のような音楽を書きます。特に、このローマ三部作ではその傾向が強く出ています。

ローマ三部作とは、レスピーギが書いた以下の交響詩3つのことを総称して言います。
・ローマの噴水 Fontane di Roma
・ローマの松 Pini di Roma
・ローマの祭り Feste Romane

いずれもローマの街を題材にしています。

演奏順に参りましょう。まず、「ローマの松」です。

ローマの松
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E6%9D%BE

4楽章からなる交響詩で、各楽章は続けて演奏されます。そのためか、上記ウィキでは楽章を使わず第何部という言い方をしています。1924年という時期からも、明らかに現代音楽なのですが、その第1楽章「ボルゲーゼ荘の松」はいろんな音が混然一体となっている明るい様から始まります。

この曲の特徴は第3楽章と第4楽章にありまして、まず第3楽章ではナイチンゲールの鳴き声が録音で奏でられるという、当時としては初めての試みがなされています(現在でもその泣き声だけは録音で演奏されます!)。また第4楽章では、ローマの兵隊が奏でたであろう雰囲気を出すためにブッキーナという楽器が使われています。これはトランペットなどの先祖になる楽器なのですが、実際には当時存在しませんので、フリコルノという、サクソホンのような楽器が使われています。その第4楽章がこの三部作の中でも特に有名で、そのせいか、この「ローマの松」が一番最初に収録されています。

次に、「ローマの噴水」です。

ローマの噴水
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E5%99%B4%E6%B0%B4

三部作の中で一番早く成立した作品で、1916年に作曲しています。3年前の1913年、レスピーギは出身地ボローニャからローマに移り住みました。それは彼がサンタ・チェチーリア音楽院の作曲家教授に就任したからで、そこでローマの情景に打たれ作曲されたのがこの曲です。この曲も4楽章制を取りながらそれぞれ連続して演奏されるもので、各楽章が時間帯を表わし、一日における噴水の情景の移り変わりを、それぞれ別な噴水でもって表現したものとなっています。それだけに、各楽章が単なる一日の移り変わりだけでない、様々な表情が見て取れるものとなっています。演奏もそれゆえにどれをとってもコロコロと表情が移り変わるのでアンサンブルを合わすのが大変なのが聴いていても感じることが出来ます。

最後が、「ローマの祭り」です。

ローマの祭り
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%81%AE%E7%A5%AD%E3%82%8A

作曲は1928年と一番遅く、初演はかのアルトゥーロ・トスカニーニが翌29年にニューヨーク・フィルで振っています。これも4楽章制をとりつつ連続して演奏される形式をとっています。

この曲は通俗性が高いと言われていますが、私はレスピーギがローマという町の歴史を思って書いた曲だなあと感じています。なぜならば、この曲ほどローマの歴史を感じるものはないからです。

上記2曲はとくにそんな知識がなくても絵画的に聴くことが出来ます。しかしこの「ローマの祭り」だけは、それだけではないのです。それぞれキリスト教が禁教だった時代、国教となった時代、ルネサンス、そして現代と重層する時代をローマの祭りになぞらえているのです。そういった知識も実は要求している曲なのです。通俗性が高いのは、恐らくそういった点を押し出さず、しかし注目してほしいがため、だと私は思います。つまり、かなり上質な比喩、なのですね。

三部作の最後にこういった曲を持ってくるということは、本当はこういった曲が書きたかったということの証明でもあるかと思います。確かに、レスピーギはウィキの彼の項目を見てみますと、ルネサンスバロック、特にバッハの曲の編曲やそれをモティーフにした曲をたくさん書いていることに気が付かされます。その点からの評価は果たして現代日本においてきちんとされているのだろうかという気がします。

もっとそういった作品にも目を向けてほしい・・・・・三部作最後の「ローマの祭り」は、レスピーギのそういった願いも込められているように、私は受け取っています。

最後に形式的なことを言いますと、4楽章制の交響詩、どこかで見覚えがあるようなという方もいらっしゃるかと思います。そうなんです、実はウィキでも「ローマの噴水」で触れられていますが、ニコライ・リムスキー=コルサコフシェエラザードでやっているですね。レスピーギはそのリムスキー=コルサコフから直接オーケストレーションを学んでいますから、そういった点もこの3部作には反映されているのです。



聴いているCD
オットリーノ・レスピーギ作曲
交響詩「ローマの松」
交響詩「ローマの噴水」
交響詩「ローマの祭り」
カルロ・リッツィ指揮
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
(テルデック・ダイアモンド・クラシックス WPCS-5954)


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