かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン交響曲全集18

神奈川県立図書館所蔵CDハイドン交響曲全集の今回は第18回目です。収録曲は第58番から第60番までの3曲です。

さて、再び3曲収録されていますが、それはこの3つのうち2つが「シュトゥルム・ウント・ドランク」期の作品であることが原因となっています。

ハイドン交響曲
http://www.kanzaki.com/music/mw/sym/haydn

今回もこの上記サイトを参照して述べていきたいと思います。

まず、第58番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-58

かなり大きい番号がついてしまっていますが、順番的にはもう少し前の作品で、第35番の次、1767年に作曲された作品です。

つまり、その前の第57番よりも数年は前の作品であるということなのです。この点はハイドンを聴く場合、あるいはその音楽を述べる場合に注意しなくてはならない点です。

ただ、全体としてはかなりまとまりのある質素な音楽になっていまして、軽妙さよりも気品のある作品という雰囲気です。こういった点からも、明らかにハイドンの音楽は「シュトゥルム・ウント・ドランク」期を境に何かが変わっています。確かに第4楽章はユニークですが、かといって全部がそうではなく、生真面目さを感じます。この演奏ではユニークな面が強調されてはいますけど。というのも、最後リタルダンドしていないからなんですね。

そんな点もこの演奏の注目点でもあります。ピリオドを聴く場合はもっとそこに注目すべきだと思います。意外とピリオドだとリットしてしまっていることが多いのです。最後にフェルマータがないのにリットしてしまうのは、果たしてピリオド楽器で演奏する意味があるのかと私は考えてしまいます。なぜその演奏はピリオドなのか、これは出来ればピリオドを聴くときに問題意識として、上級者の方は持っていていいのではと思います。

次に第59番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-59

1768年の作曲で、「火事」という題がついていますが、これは第1楽章のパッセージに由来します。

交響曲第59番 (ハイドン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC59%E7%95%AA_(%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3)

聴いてみますと確かに情熱的なパッセージです。モダンのフィルハーモニア・フンガリカの演奏でもそれを感じます。ピリオドだとどんな感じなのかな〜とこれはその演奏も聴きたくなります。

あくまでもパッセージを表現してつけられた題名ですから、当然第2楽章イ短調のアンダンテは、気高さすら感じられるものです。私などはそれこそベートーヴェンのように「熱情」とつけたいところです。

次に第60番です。
http://www.kanzaki.com/music/perf/hyd?o=Hob.I-60

「うっかりもの」、あるいは「薄馬鹿」などと呼ばれるこの曲は1774年の作曲と、再び第3期へと戻ります。その題名が付いたのはまずこの交響曲が自作の劇付随音楽に基づいていることによります。

交響曲第60番 (ハイドン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC60%E7%95%AA_(%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3)

しかし、それだけだろうかと思います。ハイドンのことです。それを形式や構成において分かり易くしてやろうという野心が私には見て取れます。まず、6楽章という楽章数。後にも先にもこの楽章数はありません。しかし6楽章というのがハイドンらしいような気がするのは私だけなのでしょうか。三位一体の「3」の倍数なんですね・・・・・・

次に、第4楽章で和声法の法則を破っている点、そして極めつけは第6楽章において、あからさまに転調を行っているという点です。普通転調は自然とやるものですが、あからさまにやるということはつまり、わざとらしくやるわけであって、いかにこの曲が「うっかりもの」であるかということを指示しています。まるで水戸黄門の「うっかり八兵衛」のように。

これは多少おふざけモードではありますが、しかしそれを真剣にやっているハイドンは、やっぱり只者ではないなという気がします。

演奏もおふざけモードが感じられるものの、おちゃらけではない点が好感持てます。リットのない疾走感、リフレインは弱めなど、基本的なことをしっかりとやっていることから発露される気品。

こういった面白みというものがもっとあると、現代社会はもっと生きやすくなるような気がします。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
交響曲第58番ヘ長調Hob.I-58
交響曲第59番イ長調「火事」Hob.I-59
交響曲第60番ハ長調「うっかり者」Hob.I-60
アンタル・ドラティ指揮
フィルハーモニア・フンガリ



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