今回のマイ・コレはガーディナーが指揮したヘンデルの「水上の音楽」です。
このCDを買ったのは、ヘンデルの管弦楽が聴きたかったからです。昨日までのマイ・コレで聴いてきたルネサンスを経て成立したバロックの音楽。バロックでは人声もそうですが特に管弦楽と組み合わせるという形式がオペラの創作が増えたことにより増えたため、管弦楽が発展した時代でもありました。水上の音楽も当然その延長線上にあります。
当時、私は全く水上の音楽についての基礎知識がなく、このガーディナーを選んだのは実はこのCDが2つの異稿を含んでいるという帯に惹かれてでした(普通のはいつでも買えますから)。しかしそれがとんでもないものだったとは、買ってから気づいたのです。
水上の音楽
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E4%B8%8A%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD
ウィキにもありますが、ブックレットによりますと、第2組曲に異稿が二つあり、それはもともと第1組曲に含まれれていたものを転用したのではないかと言われ、このCDはその形をとっているのです。
ですので、冒頭は第1組曲のよく聴かれる序曲ではなく、第2組曲の序曲が演奏されます。それが正しいかどうかはわかりません。この曲の作曲年がはっきりしないため、それも正しいと言わざるを得ないのです。
もともと、ヘンデルがハノーヴァー選帝侯であったジョージ1世との仲直りのため、テムズ川の川遊び用に作曲したものとされてきましたがそれ以前にすでに仲直りをしていたようなので、それは現在支持されていません。しかしこの曲がテムズ川の川遊び用だったことは間違いないと言われています。
そして最低3回は演奏された記録があります。その都度順番などが変わっているようなので、通常通り第1組曲から第3組曲の順番で演奏されたかもわからないということになっているため、ガーディナーは第1組曲の次に第3組曲を持ってきており、最後に第2組曲が来ます。ただブックレットでは、第1組曲は河の遡上時用、第2組曲は河を下るとき用、そして第3組曲は晩餐会用としており、聴いていて私もその順番なのではと思います。
つまり、この音楽がすべて「水上」において演奏されたわけではない、というのです。確かにそれは納得です。それは聴きますと納得で、編成が全く違うのです。ウィキにも記述がありますが、第1と第2組曲は華々しい楽器が中心であるのに対し、第3組曲はリコーダーなど比較的落ち着いた楽器が中心となっているためです。
その意味では、せっかくピリオド楽器を使いながら、編集がこのCDの真価を貶めているような気がしてなりません。とても心地よい疾走感と端整な演奏は、アンサンブルの良さと相まってとても素晴らしいのです。しかしネット上ではまずこの演奏があげられることはありません。それが残念ですね。ブックレットはレファレンスとしても一級ですし、これでも何ら不都合はありません。
わたしとしてはこのCDがもともとアナログ録音からのリマスターということで、むしろいまどきの携帯音楽プレーヤー向けの録音になっているような気もするのです。いまどきのは低音部が弱いので、この演奏のほうが聴きやすいような気がしてなりません。コンポだけであれば、たしかにほかにいい演奏がたくさんありますけれど・・・・・
聴いているCD
ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル作曲
水上の音楽
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
(deutsche harmonia mundi BVCD-1624)
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