かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ウィリアム・バードのミサ曲

今回のマイ・コレは、ウィリアム・バードのミサ曲集です。ピーター・フィリップス指揮、タリス・スコラーズです。

このCDを買ったきっかけは、合唱団の友人でルネサンス期の合唱曲に明るい人がいたからで、私もレファレンス的な意味も込めて買い求めました。しかし、それが素晴らしいものだとは!

まず、ウィリアム・バードの説明から参りましょう。

ウィキペディア:ウィリアム・バード
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89

ウィリアム・バード/3声,4声,5声のミサ曲
http://2style.net/misa/beginner/beginner_14.html

バードはイギリスの作曲家ですが、ラテン語のミサ曲を作曲していたというのが特徴なのです。イギリスは英国国教会が主で、カトリックは異端とされます。そんな中で彼はカトリックの「ミサ曲」を作曲し続けたのです。そうすれば当然ですが、迫害されます。

彼の素晴らしい点は、英国国教会の音楽もかきながら、ラテン語の、つまりカトリックのミサ曲も書き続けたという点です。そのためか、彼の国教会のための音楽よりも、日本では圧倒的にラテン語のミサ曲が有名です。

このCDはそのうちの3曲とモテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を収録したもので、実は上記二つ目のサイトで、【 Reference Disk 】のコーナーで紹介されている一番最初のCDになります。わたしがこれを買った時にはそのサイトでも紹介されていますがっナクソスから出ていた演奏と二つが名盤と言われたもので、私はナクソスよりもこのタリス・スコラーズを買ったのです。その決断にも、その友人の影響があります。

もともと、演奏しているタリス・スコラーズがイギリスの団体なのです。つまり当然ですが自国の歴史を踏まえたうえで演奏しているわけで、それが実は演奏に微妙な影響を与えていて、聴いていて感動してしまいます。透明なすばらしい音はもちろんなのですが、特にどの曲でもクレドのエト・レジュレクシット以降は力が入っていて、熱いものがこみあげてきます。

人間の声はこれほどまで力があるのかと、涙を止めることが出来ません。

構造的には、キリエで提示された音型が全体を律する形をとっており、特に各曲冒頭の旋律にそれが顕著です。ですのでともすれば「今どこ歌っているんだ?」と頭をひねってしまいますが、そんなことを知っていると実はルネサンスはとても面白い曲がたくさんあります。

また、ここに収められているミサ曲は5声、4声、3声の三つのミサ曲ですが、どれもサンクトゥスとベネディクトゥスとがつながっています。モーツァルトの時代にはセパレートになりますがベートーヴェンのミサ・ソレムニスでは再び一つになります。そのヒントは明らかにこのルネサンスにあると言っていいでしょう。しかしその後ロマン派になりますと再びセパレートされます。けれども現代になりますと必ずしもセパレートではなくなっています。

その理由として、やはりこのバードをはじめとするルネサンス期の作曲家の音楽が、今でも影響を及ぼしている綿々とした歴史があることを忘れてはいけないでしょう。

構成的には3声のミサ曲が特徴的でして、ソプラノ抜きという作品になっています。タリス・スコラーズの場合、アルトは男性ですので男声合唱になっているのも面白い点です。つまり、徹底的に聖歌隊を模しているのですね。実はそんな点も私がナクソスではなくタリス・スコラーズのGimellレーベルを選んだ理由でもありました。

最後のアヴェ・ヴェルム・コルプスはモーツァルトも作曲していますが、ともに晩年に作曲しているという点が興味深い共通点です。モーツァルトが参考にしたのでしょうか、バードもとてもすっきりとした音楽となっています。ブックレットによりますと作曲のために住いした場所から、明らかにカトリック典礼用に作曲されたとしています。ただ、ほかの3つのミサ曲に関しましては、カトリック用であるのは間違いないのですが、専用で作曲されたかどうかまでは明らかではないと記載されています。

しばらく、このルネサンス期の合唱曲がつづきますので、よろしくお願いいたします。つまり、それだけ当時私はルネサンス期の音楽、特に合唱曲(この時期の作品ですのですべてアカペラです)にはまっていたか、なのです。しばらくお付き合いくださいませ。



聴いているCD
ウィリアム・バード作曲
5声のミサ曲
4声のミサ曲
3声のミサ曲
アヴェ・ヴェルム・コルプス
ピーター・フィリップス指揮
タリス・スコラーズ
(Gimell PHCP-1904)



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