まず、地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
今回のマイ・コレは、モーツァルトのミサ曲全集の第4集です。収録曲は戴冠ミサとミサ・ソレムニス、そして教会ソナタK.329とK.336です。
まさしく、この全集を買おうとしたきっかけは、この戴冠ミサが収録されているからゆえ、でした。以前ご紹介したピノックの戴冠ミサがどうもしっくりこなくて、ほかの演奏が聴きたかったのがその理由です。
マイ・コレクション:モーツァルト 戴冠ミサ ピノック/イングリッシュ・コンサート
http://yaplog.jp/yk6974/archive/493
この時にも触れましたが、それだけシュライヤーの指揮はものすごかったのです。
マイ・コレクション:シュライアーの「戴冠ミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/452
それらを聴いてという前提の上、この演奏を聴いたというわけなのです。そして、当時の感想は・・・・・ピノックよりはいいなあ。
実は、今でもそれは変わりありません。確かに、冒頭キリエはべったり気味です。しかし、ここは本当に初演時そうだったのかはわかりかねます。そもそもこの曲がどんな機会に演奏されたのかは推測の域を出ていません。一応の見解はなされていますが、実はCDの解説も細部はまちまちで、だからこそ戴冠ミサを単体で取り上げた時に突っ込むかたがいらしたのでしょうね。ただ、その方が知っていることだけが見解ではない・・・・・
さて、このCDに話しを戻しますが、上記二つのCDを比べますとそういった意味ではバランスは最高なのです。あくまでも宗教曲としての解釈の範疇でありながら、ドラマティックさもあり、そつがない。私が常々申しております「端正」という美意識からしますと、シュライヤーの次に挙げるには申し分ない演奏です。
のびのびとしてかつ力があり、発声による音の「流れ」が自然な合唱団。とても秀逸です。それはソリストも同様で、戴冠ミサおよびミサ・ソレムニスでも同様です。
ミサ曲本体の解説は以下でしておりますのでご参考に。
モーツァルト ミサ曲ハ長調K.317「戴冠式ミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/184
モーツァルト ミサ・ソレムニス ハ長調K.337
http://yaplog.jp/yk6974/archive/185
さて、このCDは冒頭であげましたが二つの教会ソナタが収録されているわけなのですが、いずれもクレドの前に入れられています。この点とても面白いと思います。これはミサ・ブレヴィスのやり方でして、しかし二つともミサ・ソレムニスであるのですね。さてはて、これはどう判断すればいいものか・・・・・
東京書籍「モーツァルト事典」によりますと、K.329は1779年3月ころの作曲、K.336は1780年3月の作曲とされていまして、いずれも収録されている戴冠ミサ、ミサ・ソレムニスにつかわれたであろうと言われていますが、決定打は打たれていません。しかし、とてもあうことは確かです。それぞれのミサ曲に使われたであろうということは間違いなさそうです。しかし、クレドの前でいいのかは判断付きません。このCDではあくまでも慣習としてクレドの前に入れているようです。それで正しいかどうかは判断が分かれるところでしょう。何しろ、モーツァルトがボローニャのジャンバスティッタ・マルティーニに宛てた書簡の中には、教会ソナタに相当する「ソナタ・アレビストラ」のほかに「オフェルトリウム」の文字も出てくるのですから・・・・・ただ、コロレドのこれまた「美意識」を考えるとき、恐らく教会ソナタでいいのだろうという判断だと思います。となると、慣習上やはりクレドの前、ということになるだろうと思います。
このCDは初めてミサ曲は宗教曲なのだということを教えてくれたもので、だからこそこの演奏でミサ曲はそろえたかったのですが、そうなかなかいかず・・・・・・結局、全曲はアーノンクールのものを買うこととなったのですが、実はもう一枚だけこのシリーズで購入できています。再来週には、それをご紹介することとなりましょう。
聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
ミサ曲ハ長調K.317「戴冠ミサ」
ミサ・ソレムニス ハ長調K.337
教会ソナタK.329(317a)
教会ソナタK.336(336d)
パトリツィア・クヴェッラ(ソプラノ)
ウッラ・グレーネヴォルト(アルト)
クリストフ・プレーガルディエン(テノール)
フランツ・ヨゼフ・ゼーリヒ(バス)
ケルン室内合唱団
ペーター・ノイマン指揮
コレギウム・カルトゥジアヌム
(EMI CDC 7 49374 2)
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