かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:モーツァルトミサ曲全集2

マイ・コレEMIモーツァルトミサ曲全集の今回は第2回目、全集の第2集をとりあげます。収録曲はK.66「ドミニクス・ミサ」とK.167「聖三位一体祝日のミサ」です。

この二つのミサ曲に関しましても、以前取り上げています。

モーツァルト ミサ曲ハ長調K.66「ドミーニクス・ミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/173

モーツァルト ミサ曲 ハ長調K.167「聖三位一体の祝日のミサ」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/175

ですので、作品に関する説明は省きまして、どんな演奏なのかを中心に語ってゆくことにしましょう。

まず、K.66ですが、これもかなりスコアリーディングをきちんとやっているなあと思います。八分音符を軽めに処理をしている点がそう判断する理由です。もちろん、ピリオドですからスタッカート気味に切っているというわけではありません。しかし、なるべく「はねる」ことで、短めにしようとしている点からそれを感じます。それは徹頭徹尾やられていまして、特にグローリアではそれが顕著です。

それがゆえに、いわゆる「リズムの対比」の構造がとても分かり易いものとなっています。名曲とは確かに人を感動させるものですが、ではなぜ感動させるのかと考えた時・・・・・そこに何かしらの「美」というものを考えざるを得ません。

メロディが長音であれば通奏低音は細かい動きにし、メロディが細かい動きをしていれば、通奏低音は長音にする・・・・・これが古典派の「美」の基本です。この演奏はそれを浮かび上がらせているのです。

実は、「モーツァルト事典」では一番最初に紹介されているのは、日本人になじみ深い交響曲でも、協奏曲でもありません。ピアノソナタでもオペラでもありません。宗教曲、特にミサ曲なのです。それはまさしく新モーツァルト全集に準拠しています。ではなぜそうなっているのか?海外はそういう伝統なのか?まあ、それは当たらずも遠からずですが、ミサ曲の「構造」がすべての基本だから、なんですね。

それを踏まえた交響曲や協奏曲の美というものは、日本ではスルーされているように思われてなりません。好みとしてミサ曲よりも世俗曲というのは別にかまわないと思います。日本人には民族特有の美というものがありますから。ただ、その美しいと感じたものの源泉はいったいどこにあるのかということを「分析」する場合には、どうしてもモーツァルトの場合、ミサ曲をスルーすることは私は出来ないと思っています。

K.167でも「リズムの対比」の構造が浮かび上がるような演奏となっています。そしてこの点こそ、私たちがモーツァルトの作品を「美しい」と感じる一つの理由となっているのです。例えば、シマノフスキという作曲家がいますが、彼の作品とモーツァルトとでは、その「美しい」と感じる点が多少違います。そしてそれぞれ素晴らしいのですが、シマノフスキの場合はその「音」であることが多いのですが、モーツァルトはむしろ「構造」であることが多いわけなのです。それが生み出す音楽自体の美しさに、私たちはうっとりするのです。

こういった点を本当はモダンでもやってくれますと本当にいいと思いますが、最近はミサ曲はなかなかないので・・・・・図書館にはかろうじてありますので、おいおいまた取り上げていきたいと思っていますが、こうした対比という「美」も、古典派の特徴であると思います。

さて、実はこの二つのミサ曲が「ミサ・ソレムニス」であるためか、このCDには教会ソナタが収録されていません。二つ合わせても70分程度ですので、コロレドの時間制限である「ミサひとつにつき45分以内」という制限内で収まっています。ただ、この全集ではミサ・ソレムニスでは教会ソナタを使わないという方針で演奏されていることは間違いありません。それなりの考証をしたうえでと考えるのが自然でしょう。少なくとも私には入れるべきだとも入れないべきだとも言えません。入れないほうが好みだとしか言えません。ただ、入れても素晴らしいです。

確かに取扱いとしてはいろんな疑義がさしはさまれている教会ソナタなので、いろんな考えがあって当然なのかなと思います(さすがにいくつかの作品はM.ハイドンであるというのはどこまで信じていいのか私には疑問ですが)。

モーツァルトのミサ曲が持つ「美」の源泉を、ここにはっきりと聞き取ることが出来る一枚です。



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
ミサ曲ハ長調K.66「ドミニクス・ミサ」
ミサ曲ハ長調K.167「聖三位一体祝日のミサ」
バーバラ・シュリック(ソプラノ)
ウッラ・グレーネヴォルト(アルト)
マルクスシェーファーテノール
クラウス・メルテンス(バス)
ケルン室内合唱団
ペーター・ノイマン指揮
コレギウム・カルトゥジアヌム
(EMI CDC 7 49882 2)



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