かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:大田区民第九合唱団スプリングコンサートを聴いて

今日は、新たなコーナーをスタートさせます。年頭申し上げました通り、コンサート評を独立させ「コンサート雑感」というコーナーといたします。曜日は基本的に金曜日から日曜日のいずれかでということにしたいと思います。

今日はその第1回目。かつて入っていましたアマチュア合唱団、大田区民第九合唱団のスプリングコンサートを聴きに行った感想です。

さて、その大田区民第九合唱団ですが、もともと大田区にできた区民ホール「アプリコ」で第九を歌おうという催しがありまして、そのために集まった人たちが、そのまま合唱団を作ったのがきっかけです。

大田区民第九合唱団
http://www.geocities.jp/ota9cho/

詳しいことはHP内「合唱団の紹介http://www.geocities.jp/ota9cho/shokai.html」を見ていただきたいのですが、私はその設立に尽力された山田先生の蒲田音楽学院が練習場の時代から参加しました。そして初代音楽監督守谷弘氏が辞める直前に退団をし、しばらくは合唱をしませんでしたが、その後一度復団しましたが、家庭の事情から再び退団しました。それまでの間の足掛けほぼ7年くらい所属していました。

その私がなぜ古巣のコンサートに行ったかと言えば、愛着がないと言えばうそになりますし、また、実は旧ホームページは私が作ったもので、その改造を今考えているからなのです。そこで団に久しぶりに連絡を取りましたら、ぜひ来てくださいと言うことになりまして、足を運びました。

まず、全体的な感想を言いますと、本当にうまくなったなあとということです。これほど自分が所属していた合唱団は上手な団体だったかと、感激しました。

1曲目は団のテーマ曲でもある「青い星に平和の種を」ですが、これが美しい!この曲はテーマが対人地雷廃絶ということもあってか、どうしても肩に力が入ってしまうものなのですが、それをたしなめるかのようにピアノが歌うように始まるのですね。これはいいなと思いました。もともと前奏とは、主題がどうあるべきかを規定するものであって、単なる導入部ではありません。それは前音楽監督時代に私はもともとその音楽監督が作った団体(宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」)で徹底的に叩き込まれました。その点を違う監督になってもきちんと受け継いでいる点を私は高く評価したいと思います。むしろ、今の音楽監督のほうがその点をもっと実践的に叩き込んでいるのではないかという気がします。その意味では、音楽監督が代わるのはこの合唱団にとって必然だったのだなと思います。

アンサンブルも秀逸で、発声も完璧です。思わず歌い終わった後「完璧」と口に出してしまいました。これが先日中大混声をとりあげた時にも言及した、情熱の中でも冷静さを失わない「冷静と熱情のバランス」をどうとるかということなのです。

2曲目はヴィヴァルディのグローリアRV589。実は私はまだこの曲のCDを持っていませんで、長らくほしいものの一つです(いずれ、神奈川県立図書館シリーズでご紹介することになろうかと思います)。この曲に初めて触れたのはなんと北海道。前音楽監督である守谷弘氏が作曲した「北のシンフォニー」を室蘭の合唱団が演奏するに当たり、賛助を作曲者である守谷氏から求められ、はるばる室蘭まで歌いに行ったのです。その演奏会の一番最初に演奏されたのが、実はこのグローリアだったのです。ちなみに、私は歌っていません。その時は現地の合唱団員のみで演奏されました。

それと比較しますと、格段に大田区民第九合唱団(以下、「九唱」と略させていただきます)のほうが上です。コーチ陣が本当にいいのでしょう。実際、ソリストはその指導されている先生なのですが、実力者ぞろいです。なんと幸せな合唱団だろうかと思います。ベートーヴェンの第九の名を看板に背負っているいるだけあるなと思いますし、その意志を強烈に感じます。やわらかでかつ伸びやかな発声。秀逸なアンサンブルとアインザッツ。それだけに残念だったのが、グローリアの発音でした。カタカナ発音だったのはいただけません。まあ、それがなぜだかは旧団員だからこそ大体予想がつくのですが・・・・・しかし、室蘭のほうはきちんとGlを前にはじき出していたので、それは今後の改善点でしょう。後はもう少し深い発音であればいいのですが、それもまずカタカナで歌うことから脱してからでしょう。

休憩をはさんで3曲目は中田章の早春譜。「はる〜はなのみ〜の〜かぜ〜のさむさや〜♪」のあれです。それだけに普通はあらがめだってしまう危険性もありますが、まあこれが素晴らしいアンサンブル!非の打ちどころがありません。指導陣が入っているという点もあるでしょうが、それにしても入っても全くそれが浮かないということは、団そのものが力があるということなのですね。

そして、4曲目が岩河三郎の「富山に伝わる三つの民謡」です。いわゆる合唱組曲ですね。まずその最初は風の盆で有名な八尾の「越中おわら」。二つ目が五箇山の「こきりこ」、そして最後が同じ五箇山の「むぎや」です。いずれもその地に伝わる民謡がベースとなっており、特に2曲目「こきりこ」は中学校の音楽鑑賞でも紹介される「こきりこ節」がモティーフであるだけでなく、そのものも使われているだけに、懐かしさもあるものです。

ただ、全体の構造に目を向けてみますと、「こきりこ」まではゆったりとした曲調が支配しますが、「むぎや」ではまずゆったりとした前奏から最初はゆったりと入りますが、民謡そのものを使っている部分からいきなりテンポアップします。しかしそれはその前2曲でもその傾向なのですが、しかし「むぎや」ほどではありません。ここで切り替えてテンポアップしないと、この合唱曲の神髄であろう民謡が生かされないなと思いました。しかしさすがです。恐らくその点はしっかりと現音楽監督である指揮者はわかっておられるようで、どんどん乗せていましたね。もともと日本の民謡にだってノリノリの曲が多いのです。その点はとくにクラシックや合唱(特に宗教曲)をやられていらっしゃる方々はスルーしていて、このような曲をやるときには抜け落ちる点なのです。その部分を手を抜かずきちんとやっていて、なおかつ発声が秀逸、アンサンブルおよびアインザッツ等も完璧となれば、ブラヴォウ!を掛けないほうがおかしいというものです。ただ、今回もちょっとだけ早かった・・・・・残響が少ないからまあいいですが、やはりこのような素晴らしい演奏はその余韻も楽しんでほしいですね。

アンコールは場所にちなんで蒲田行進曲がまず最初に。実はコンサート会場であるアプリコがある場所には、昔映画の撮影所がありまして(その後の大船撮影所で、それも現在閉鎖されてしまいました)、映画「蒲田行進曲」はそれを扱っているものなのです。鉄道ファンであればそのためにJR蒲田駅の発車チャイムが北行南行京浜東北線なのでこのような言い方をします)ともに蒲田行進曲であることは全国的に有名ですが、それにちなんでまずアンコールは蒲田行進曲を持ってきました。これもノリノリかつアンサンブルも秀逸。私もさっそくブラヴィを掛けました。

アンコール二つ目、最後の締めはやはり団名らしくベートーヴェンの第九でした。いわゆる「喜びの歌」で、日本語の歌詞もあるのは親しみやすいという点ではよかったと思います。ただ、旧団員としては、練習番号Mを持ってきてもよかったかな〜と思います。それでしたら、一緒にテノールパートを歌いましたものを!実際、「皆様もご一緒に!」としたのですから・・・・・

それにしても、本当に上手になったなあと感慨ひとしおでした。所要があってすぐ帰らなければならなかったのは残念です。ぜひとも次もホワイエで「素晴らしかった!」と談笑できるような演奏を期待したいと思います。この合唱団であればきっとできると、私は信じています。



聴きに行ったコンサート
大田区民第九合唱団スプリングコンサート
栗田信生作曲
青い星に平和の種を(作詞:渡部満智子)
アントニオ・ヴィヴァルディ作曲
グローリアRV589
中田章作曲
早春譜(編曲:中田喜直 作詞:吉丸一昌
岩河三郎作曲・作詞・構成
富山に伝わる三つの民謡
アンコール
蒲田行進曲
ベートーヴェン「第九」より歓喜の歌
藤永和望(ソプラノ)
木下泰子(メゾソプラノ
小池律子(ピアノ)
吉田貴至(ピアノ)
上条力秀指揮
大田区民第九合唱団

2011年2月5日、東京大田区蒲田、大田区民ホール「アプリコ」小ホール



このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村