かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン弦楽四重奏曲全集4

神奈川県立図書館所蔵CDコーナーハイドン弦四全集の今日は第4回目。第4集を取り上げます。収録されているのは第19番から第21番、作品9のうちの3曲です。

あれ、番号飛んでいるんじゃないの?と気づかれた方も多いかと思います。実は昔はこの前に作品3というものがありました。しかし今ではそれは偽作とされていまして、この1970年代の演奏ですでに作品3は除かれています。ただ、それは今でも確証がないのですが、偽作というのが定説となりつつあるみたいですね。

さて、そんな理由でいきなり20番台へと突入していくわけなんですが、ここで重要な変化があります。それは、この作品9で4楽章形式となっている点です。弦楽四重奏曲交響曲同様急〜緩〜舞〜急となっていまして、第19番もすでにその陣容を備えています。ただし、第19番と第20番は緩と舞がひっくり返っていまして、厳密に形式が備わってくるのは第21番になります。しかし、こういうことは当時当たり前だったようで、つまりとにかくその陣容があればいいという感覚だったようです。

そして、音楽もより洗練されてきており、穏やかな曲の中に緊張感すら感じられます。形式的に定まったこともあるのかもしれませんが、軽妙な中に気品を備え、その上ユーモアすら内包しています。

こういう音楽はたまりませんねえ。確かに、ベートーヴェンと比べれば音楽の重厚さはないかもしれませんが、ハイドンは徹底的に軽めに作曲することで、極上のBGMを作り出しています。

たとえば、私はこのブログを書くに当たり、聴きながらあるいは構想を考えながらほかの検索もしていることが多いのですが、そのBGMとしてハイドンの弦四は格好の音楽なのです。これがベートーヴェンですと、音楽が素晴らしすぎて邪魔になることもあります。つまり、音楽に集中したいということなのですが、それがハイドンはないのです。うっかりしますと聞き逃してしまうフレーズも・・・・・

恐らく、その点がハイドンの音楽、特に弦四の評価を下げているのだと思いますが、しかしそれは本当でしょうか?今洋楽および邦楽ではやっている曲は、CMタイアップということも多いかと思います。その典型がAKB48だったりします。それとハイドンを比べてみますと、楽曲として素晴らしい上にBGMとしてきちんと成立するという特長を持ちます。AKB48のファンの方であれば、Beginnerを考えていただければ分かり易いかと思います。それとハイドンの弦四は全く同じ役割を果たすのです。

もちろん、それは芸術として同列というわけではありませんが、果たす役割としては同一であると考えて差し支えないと思います。つまり、ハイドンの弦四はさりげない中にとても素晴らしい音楽をさしはさむという、モーツァルトですらやれなかったことをやってのけているのです。

モーツァルトはその音楽が素晴らしすぎるがゆえに個性的であり、芸術として突出しています。だからこそ音楽に耳を傾ける必要がありますが、ハイドンはそこまでしなくてもすっと入ってきます。それでいて耳障りではなく、しかしながらきちんと存在感もあるという、職人としての存在を感じます。その意味では、ハイドンはまさしくバッハ以来伝統の「音楽職人」だといえます。

そこから紡ぎだされる音楽はとても洗練されており、没個性的のようで実はとても個性的なのに、前へ出しゃばらない・・・・・それがこの3曲ですでに完成されているというのは驚嘆すべき事実です。まるで正倉院の宝物のようで、地味ながらもキラキラしたオーラを放っています。

これぞ古典美・・・・・そのテクストで評価しているのが、実はバッハを演奏してきたピリオド演奏家たちであるということは、いまだにハイドンの評価が低い一つの原因なのではと、私は思っています。1970年代にそれを真正面から取り上げるエオリアン。イギリスという国の底力を感じます。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
6つの弦楽四重奏曲作品9 第1集(作曲年代:1771年までには 出版年代:1770年代前半)
弦楽四重奏曲第19番ハ長調作品9-1 Hob.III.19
弦楽四重奏曲第20番変ホ長調作品9-2 Hob.III.20
弦楽四重奏曲第21番ト長調作品9-3 Hob.III.21
エオリアン弦楽四重奏団



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