かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ハイドン弦楽四重奏曲全集3

今日の県立図書館所蔵CDは、エオリアン弦楽四重奏団演奏のハイドン弦四全集の第3回目、つまり3枚目を取り上げます。

収録されているのは第8番、第10番および第12番です。あれ、飛んでいるけど、どこかほかに収録されているの?と思うかもしれませんが、それはありません。この全集、完全に番号順なので。

つまり、ここはあえて抜かしているということになります。実は、飛んでいる第9番と第11番は、6声のディヴェルティメントが原曲なのです。それを編曲しただけであるということで抜かされています。

ただ、先日第1回で述べましたが、この時代はまだディベルティメントと同義で考えられているわけですし、それにこの作品2は6曲セット(これが弦楽四重奏曲の基本となり、ベートーヴェンも初期の作品18でそれをまもっています)で出版されているということから、できれば原曲が聴きたかったですね〜。それはこれからのお楽しみとなってゆくでしょう。

とにかく、この第3集でも明るくのびやかな音楽で彩られていて、心が和みます。そう、心が和む、まさしく音を楽しむという原点がここには存在します。

明るい音楽だけが楽しいわけでないですが、聴いていて思わず楽しい気分にさせてくれる曲はそう多くはありません。ハイドン以外だとやはりモーツァルトということになりましょうか。聴いていて心が喜ばしくなってきます。

表面的なことだけではありません。この作品2でも各曲は5楽章で統一され、古典美を示しています。それは単調かもしれませんが、ハイドンの時代の美意識を如実に表していますし、それはモーツァルトも全く同じ美意識で作曲をしていることから考えますと、ハイドンはまさしく古典派の頂点に君臨する大作曲家と言わざるを得ません。

たしかに、音楽のドラスティックな点などはモーツァルトが上ですし、それはハイドンはかないません。しかし、それはハイドンが目指した美意識ではありません。ハイドンはあくまでも古典派の音楽を極限まで洗練させることに生涯をささげた人です。そのことで多くの作品を作曲してなんぼの世界だったのですから。モーツァルトに匹敵するくらい多くの作品を生み出したことを考えますと、その労苦いかほどばかりかと思います。

しかも、それを苦にしたわけでもない・・・・・・ベートーヴェンとはその点で意識する世界が違う人です。しかし、ハイドンベートーヴェンに与えた影響は計り知れないわけですから、どんなことが次の世代に影響を与えて進歩につながるかなんて、わからないものです。

健康的な美でありながら、とても感情がこもっていたりもします。第8番の第3楽章ではそんなシーンも出てきます。ベートーヴェンモーツァルトの作品を研究するときにはその対象を選別していたようですが、ハイドンに関してはそれをしていないことを考えますと、ベートーヴェンがその「健康的な美」に対して尊敬していたというのはうなずけます。ハイドンにはベートーヴェンにつながるようなドラマティックな点はほとんどありませんが、その健康的で典型的な古典美というのは、ベートーヴェンが持つ「高貴さ」へとつながってゆくのは間違いないでしょう。

そんな形式美を見てゆくと、ハイドンの音楽は全く違った側面を私たちに見せ始めるのです。だからこそ、私はこの後引き続きハイドン交響曲を今度は狂ったように借りてくるのですが・・・・・・それは、また別の機会にお話しすることといたしましょう。

エオリアンの演奏はその古典美を端正に演奏することで際立たせています。イギリスの団体というのはこういう演奏が多いですね。アカデミーといいエオリアンといい、その点は私は非常に高く評価しています。古典派入門は、もしかするとそういった「奇をてらわない」演奏のほうが適しているのでは?と最近つとに思うのです。そのほうが、楽典等に興味を示しやすい・・・・・つまり、クラシックの神髄を理解しやすいと、私は思うのです。「すごい演奏」という意味における「名演」は、その後でもいいのではないか、そんな気がこの演奏を聴くたびに思うのです。



聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
初期弦楽四重奏曲集3(作曲年代:遅くとも1750年代〜1760年代前半 出版年代:1764年〜1766年)
弦楽四重奏曲第8番ホ長調作品2-2 Hob.III.8
弦楽四重奏曲第10番ヘ長調作品2-4 Hob.III.10
弦楽四重奏曲第12番変ロ長調作品2-6 Hob.III.12
エオリアン弦楽四重奏団



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