かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:カラヤンが振る「ラ・ボエーム」

今日のマイ・コレはプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」です。カラヤン指揮、ベルリン・フィルほかです。ソリストとしてルチアーノ・パヴァロッティミレッラ・フレーニらが参加するというもので、名盤と言われている一枚です。

しかし、これは全曲収録ではなく、ハイライツです。なぜなら、これを買った理由は、あの有名なアリア「冷たき手」を合唱団で混声合唱版で歌うということになったため、レファレンスとして買ったためなのです。しかし、この演奏がとてもよくて、その後全曲をヴィデオに録画して聴くことになりました。

ワーグナーがそれまで私が聴く唯一のオペラと言ってよかったのですが、その視野を広げさせてくれるきっかけになった作品でもあります。それは、このオペラがワーグナーの影響を受けた「ライト・モティーフ」の音楽であるということなのです。

なのに、音楽はワーグナーとは正反対。しかし、テクストとしては悲劇・・・・・これが、このオペラの最大の特徴だと思います。

あらすじおよび構成はウィキペディアの以下のページが一番わかりやすいと思います。

ラ・ボエーム (プッチーニ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%83%A0_(%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8B)

このページでは有名なアリア等として以下が紹介されていますが、このCDもほぼそれに沿って編集されています。

�@ロドルフォのアリア「冷たい手を」"Che gelida manina"
�Aミミのアリア「私の名はミミ」"Si, mi chiamano Mimi"
�Bロドルフォとミミの二重唱 "O soave fanciulla"
�Cムゼッタのワルツ「私が街をあるけば」 "Quando me n'vo soletta per la via"
�Dミミとマルチェッロの二重唱「助けてマルチェッロ」 "O buon Marcello, aiuto!"
�Eミミのアリア「あなたの愛の声に呼ばれて出た家に」 "Donde lieta usci al tuo grido d'amore"
�Fロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタ「さらば甘い目覚めよ」 "Addio, dolce svegliare alla mattina!"
�Gロドルフォとマルチェッロ「ああミミ、君はもう戻ってこない」 "O Mimi, tu piu non torni"
�Hコッリーネ「古い外套よ」 "Vecchia zimarra"
�Iミミ「みんな行ってしまったのね」 "Sono andati?" ― ロドルフォ「ああ、僕のミミ」 "Ah, Mimi, mia bella Mimi!"
�Jムゼッタの祈り

�@から�Bまでが第一幕、�Cが第二幕、�Dから�Fまでが第三幕、�Gから�Jまでが第四幕となっています。起承転結の構成としてよくまとまっていまして、もともとのテクストが短編集とは思えないほど、恋愛の開始から終わり、そして悲しい結末までが素晴らしいテクストになっています。第1幕でロドルフォとミミが出会い、恋が燃え上がり、第2幕では周りにも好影響を及ぼしてゆく幸せなクリスマス、しかし第3幕で一転して暗雲立ち込めて恋愛が終わり、そして第4幕でミミが死んでしまう・・・・・なんとドラマティックなんでしょうか。

歌手も実力ぞろいです。カラヤンお気に入り、コルリーネのニコライ・ギャウロフはその後カラヤンとはヴェルディのレクイエムでも共演しています。「古い外套よ」はとても哲学的で、それゆえに落涙を禁じ得ません。そのほかにも、合唱好きの私としましては、そのバックを務めるベルリン・ドイツ・オペラ合唱団の力強いアンサンブルも素晴らしいと感じます。第2幕でしか出ないのですが、この力強い合唱で第2幕が終わることこそ、第3幕から開ける悲劇を一層切ないものにしています。いずれにしても、カラヤンのバランス感覚あふれるその美学によって、ただでさえ素晴らしいテクストが、いっそう素晴らしいものになっています。

どれが好みかってきかれても困るくらい、このオペラには素晴らしい曲があふれています。愛のよろこびにあふれたもの、愛ゆえに苦しみにのた打ち回っているもの、そして悲しいもの・・・・・どれをとっても甲乙つけがたいですね。

少なくとも、ミミが結核により死に至ってゆく第3幕以降は涙なしには聴けないでしょう・・・・・恋の経験が多ければ多いほど・・・・・

今、あなたは恋をしていますか?



聴いているCD
ジャコモ・プッチーニ作曲
歌劇「ラ・ボエーム」ハイライツ
ミレルラ・フレーニ(ミミ、ソプラノ)
ルチアーノ・パヴァロッティ(ロドルフォ、テノール
エリザベス・ハーウッド(ムゼッタ、ソプラノ)
ローランド・パネライ(マルチェルロ、バリトン
ニコライ・ギャウロフ(コルリーネ、バス)
ジャンニ・マッフェオ(ショナール、バス)
ミシェル・セネシャル(アルチンドロ、テノール
シェーネベルク少年合唱団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮