かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:コダーイの女声・児童合唱曲

今回のマイ・コレはコダーイの女性・児童合唱曲を取り上ます。指揮はデーネシュ・サボー、合唱はニレジハーザ・カンテムスです。

コダーイの合唱曲は、その多くがハンガリーのフンガルトンから出ていることもあって、日本ではなかなか手に入れにくい状況が続いてきましたが、最近はようやく解消されつつあり、私もそろそろ本格的に彼の合唱曲を集めようと思っているところです。そのきっかけになったのがこのCDです、

コダーイは日本では管弦楽で圧倒的に有名であり、その一方で同じ母国のバルトークに比べると不人気ですが、母国ハンガリーでは圧倒的にコダーイであり、しかもそれは合唱曲の大家としてなのです。バルトークのほうがむしろ若干影が薄いといっていいでしょう。

冒頭からいきなり「ジプシーがチーズを食べる」です。これがほしくて買った(合唱団で歌うことになったため)のですが、この曲はジプシーを面白おかしく取り上げながら、子供たちに上質の合唱曲をというコダーイの決意の表れの曲でもあるのです。ですので、この曲をトップに持ってきたことからも、この合唱団のなみなみならぬ決意が感じられます。

続く「夕べの歌」以降、アンサンブルがさえわたります。この合唱団、小学生なのですよ!しかも、特別にある合唱団に入っているというわけではなく、ニレジハーザの町の小学校からの選抜メンバー。日本では考えられません・・・・・

日本であればプロ並みのアンサンブルを聴かせてくれます。おそらく、こういった音楽が聴かれていないことが、日本でのバルトーク優位を作り出しているのだと思います。それは母国ハンガリーとは全く逆、なのですから。

小学生の歌声に惑わされてはいけません。曲としても上質なものを真正面から取り組んで、上質な演奏を奏でています。バルトークのプロだけの演奏を聴いているだけでは、ハンガリーの本当の音楽風土を知ることにはなりません。それを思い知らされるのは、実は私はバルトークを聴いてから、なのです。

あの哲学的なバルトークの音楽をプロの演奏で聴くのは、確かに味のあるものですが、このコダーイを聴きますと、そこに血の通った、人間を感じますし、楽しいものなのに、とても上質です。まるで古典落語を聴いているような感じです。

それでいて、癒されもしますし、喜びもある。いや、コダーイはそれだけではありませんが、少なくともこのCDからはそれを十二分に感じ取ることができます。

これこそ、祖国愛・・・・・それを思い知らされた一枚なのです。

実は、コダーイは日本と関係が深い作曲家で、彼がなぜ児童向け合唱曲を書くようになったか。一説には日本の「唱歌」を聴いたのがきっかけだといわれています。「唱歌」とはまったく趣が違う曲が並んでいますが、彼が驚嘆したのは、日本が唱歌によって子供に上質な情操教育を行っていることであり、その点こそ彼がハンガリーで実現しようとしたことでした。

ですから、母国ハンガリーでは音楽家として以上に教育者として有名なのです。それを知る人は残念ながら日本では少数です。

このアルバムを聴くたびに、私は日本の音楽教育は今のままでいいのか?と考えてしまうのです。



コダーイゾルターン作曲
ジプシーがチーズを食べる
夕べの歌
7つの易しい児童合唱
踊り歌
こうのとりの歌
ヒッピティ、ホッピティ
6つの愉快なカノン
ラースロー王の兵士たち
ジプシーの嘆き
高貴な軍団
ホラティ・カルメン
ヨハネ祝日の挨拶
グレゴリオの祝日
ジェノバ詩編150
クリスマス・キャロル
聖イシュトバーンへの讃歌
天使たちと羊飼いたち
エピファニー(顕現祝日)
聖霊降臨節
デーネシュ・サボー指揮
ニレジハーザ・カンテムス
(KKCC4174もしくは Hungarton KFT-HCD 31291)