かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:コルボが振るシューマンの宗教曲

今日のマイ・コレは、シューマンの宗教曲です。コルボ指揮、リスボン・グルベンキアン財団管弦楽団および合唱団ほかです。

このコンビと言いますと、なんといってもフォーレのレクイエムであるわけですが、そのコンビが演奏するシューマンです。

さて、シューマンと言いますと異様な雰囲気の交響曲、というイメージが強いですが、いぜん協奏曲ではそれほどでもないということを、チェロおよびヴァイオリン協奏曲で述べたと思います。そして、それは宗教曲でも当てはまります。

むしろ、交響曲以上に精神的なものが反映されていると言っていいでしょう。でも、その音楽的なバランスは、交響曲以上です。むしろ、彼は宗教曲が書きたかったのでは?と思うくらいです。

収録されているのは、ミニョンへのレクイエムと、ミサ曲ハ短調です。まず、ミニョンへのレクイエムですが、正確に言えばこれは宗教曲とは言い難いものです。なぜならば、この曲はゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」第8巻第8章からとられており、その最後の場面を描写したものであるからです。

詳しくは、ウィキペディアの以下の二つで参照していただきたいのですが、ミニョンというのは物語で出てくる薄幸の少女のことで、その少女が最後主人公の腕で死んでしまう場面を取り上げているのです。

ミニョンへのレクイエム
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%A0

ミニョン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%A7%E3%83%B3
※こちらはアンブロワーズ・トマのオペラの解説なのですが、別ヴァージョンというものの解説で、触れられています。いずれにしても正確には原典にお当たり下さい。

では、ドラマティックなのかと思いきや・・・・・これが全くの宗教曲的色彩で彩られています。精神的な病で悩んだシューマンらしい作品と言えるかと思います。

それを、コルボも堂々と、かつあまりシャウトさせずに、豊潤に歌わせています。これぞ宗教曲のコルボならではと言えるでしょう。

いっぽうのミサ曲ハ短調。こちらは純粋な宗教曲になります。昨日シューベルトでも申しましたが、ロマン派でミサ曲の形式は固まります。それを決定づける重要な役割を果たした一人が、シューマンです。

以下のウィキの記述も参考にしていただきたいのですが、シューマンシューベルトブルックナーの橋渡し役としての役割が評価されています。

ミサ曲ハ短調
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B5%E6%9B%B2_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3)

オフェルトリウムが入っていますが、いずれにしても途中で切れ切れになることなく、音楽が各楽章において連続性をもつという点では形式的に完成されています。それは確実にブルックナーへと受け継がれてゆきます。

シューベルトによって開かれたものが、シューマンによってほぼ完成され、ブルックナーが熟成した・・・・・その歴史の一部を担う曲です。

これも、むやみに協調をせず、朗々とソリストに歌わせ、合唱団は美しく歌わせています。これぞ宗教曲の美しさですし、力強い演奏でもしなやかで、天井から音が降ってくるようです。とにかくやわらかい!

ロマン派のミサ曲と言いますと、とかくブルックナーが目立ってしまいますが、シューベルトは6つ残していますし、シューマンはこのミサ曲のほかにはレクイエムも残しています。そんな作曲家の宗教曲も、また格別であるということを、この二つのCDは教えてくれます。

これは2枚組ですが、現在では廃盤のようです。もったいないですね・・・・・もともとが輸入盤なのですが、国内盤ではこのような組み合わせは絶対にやってくれません。NHKの放送くらいです。

CDが売れない原因・・・・・それは、レーベル側にあるのでは?とこれを聴いても思うのです。



聴いているCD
ロベルト・シューマン作曲
ミニョンへのレクイエム
ミサ曲ハ短調 作品147
オードリー・ミシェル(ソプラノ)
リリア・ビジメシュ=アイジンガ―(メゾ・ソプラノ)
エリザベス・シルヴェイラ(コントラルト)
スザンヌ・シェファー(テノール
ミシェル・ブロダール(バス)
ミシェル・コルボ指揮
リスボン・グルベンキアン財団管弦楽団および合唱団
(ERATO WPCS-4034、もしくは4509-95307-2)