かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:サン=サーンス 交響曲全集2

今回の今月のお買いものは、サン=サーンス交響曲全集の2枚目です。収録曲は「首都ローマ」と第3番「オルガン付き」です。指揮はジャン・マルティノン、オケはフランス国立放送交響楽団です。

まず、1曲目のヘ長調「首都ローマ」ですが、これは番号が付いていません。なぜ番号が付いていないのかは、ネットではよくわかりませんでした。何か関連の著作をお読みいただくことを推奨したします。私も読んでみたくなっています。

なぜ、番号が付いていない交響曲が存在するのか、なぜつけなったのか。逆になんで番号が付いたのか・・・・・考えますと面白いです。

この「首都ローマ」は形式的にも崩れていませんので、立派な交響曲です。ただ、とても甘美なメロディーが流れていまして、一見するとラフと同じような作風かと勘違いしてしまいそうですが、しっかりと厳しい音楽もあります。

私はラフの交響曲を集めることを今ライフワークにしていますが、少なくとも交響曲に関してはラフよりもサン=サーンスのほうが素晴らしいと思っています。この作品は彼の第2作目の交響曲ですが、それにしてもしっかりとした構成には感銘を受けます。

なぜ、番号がつかなかったのか・・・・・疑問ですね。ロマンティシズムにあふれすぎているから?確かに、番号がついているものは技巧的にも素晴らしいですし、構成も独特で、番号なしよりははるかに優れています。

ネットで拾ってみますと、どうやら番号なしは未出版のようです。組曲として紹介されている場合も・・・・・実はそれが、この「首都ローマ」なのです。

ん?そういわれれば似たような楽曲があるなあと思いましたら、リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」がそうなんですね。あれは交響組曲となっていますが、実は第1曲はソナタ形式です。その関連はあるかもしれません。ただ、先に完成したのはこの「首都ローマ」なんですが^^;

ただ、シェエラザードももともと交響曲として意図されていたようですし、もしかするとリムスキー・コルサコフはこの「首都ローマ」を意識したという可能性もすてきれません。となると、未出版ということはないことになりますが・・・・・

ウィキによれば、シェエラザードベルリオーズの「イタリアのハロルド」を参考にしたといわれており、もしサン=サーンスが同じ曲を参考にしたとすれば、同じような形式になる可能性はありますので、そのあたりを調べるのも面白いかもしれませんね。このブログでそれを発表できればいいなあと思います。

とにかく、ラフまで含めて、いろんな作曲家の影響が聴いていて聞き取れます。もしかすると、それがサン=サーンスの特徴である「折衷」なのかもしれません。

演奏はたっぷりとロマンティシズムの香が漂い、それでいてとても上品です。サン=サーンスの特徴である「知的」な部分が前面に押し出されているように思います。

さて、第3番ですが、構造的にはとても凝っています。まず、基本的に2部に分かれていますが、第1楽章と第2楽章、そして第3楽章と第4楽章がそれぞれ続けて演奏される形になっており、基本的には4楽章形式だといわれています。その上、循環形式をとり、さらにはピアノと表題の通りオルガンまで入るという、構造的にとても複雑で斬新なことをやってのけています。

しかし、その音楽は高貴かつ知的で、しかもドラマティックです。第3番がとりわけ演奏機会が多いのもうなづけます。ふつう、それだけのことをやってしまいますと音楽が知的になりすぎてしまってつまらない部分が出てくるものですが、この第3番は全くそういうことがありません。これこそ、芸術だと思います。これだけわかりやすい音楽なのに、とても形而上的な部分があって、まったく芸術として遜色がないのです。サン=サーンスが頂点の時期(1886年)に作曲されたということもあるのでしょう。

そういう作曲家といえばドイツのお家芸的な部分もありますが、どうしてどうして、フランスにもサン=サーンスがござい!っていう感じですね。

演奏はそのフランスのオケだからでしょうか、とくにこの第3番では熱い演奏を聞かせてくれます。それでいてアンサンブルも素晴らしいですし、過度にロマンティシズムに浸ってもいません。この曲がもともと持つ知的な部分が存分に表現されていると思います。

実は、この第3番はすでに県立図書館で借りているのです。それをきっかけに今回全集を買ったという経緯があります。いずれそれは県立図書館のコーナーで取り上げたいと思っていますが、とにかく最初に聴いたときもそうですが、このマルティノンの指揮も端正なのに、なぜこれほど熱いものが込みあがってくるのだろうと思います。

それはもしかするとサン=サーンスが意外や意外、愛国心がある人だったからかもしれませんが・・・・・それはまたべつの話、なんて某ブログのように〆てしまってはパクリのそしりをまぬかれませんね。

それに関しましては、もっと著作を読んでみる必要がありそうです。サン=サーンスが生きた時代はまさしく帝国主義の時代。その時代背景が音楽に反映されてもおかしくはないとは、思っていますが、さて、この第3番でもそうなのかは、いまのところ私にはわかりません。

とにかく、第4楽章に相当する第2部後半、オルガンが参加してくるあたりは圧巻で、大好きです。



聴いているCD
カミーユ・サン=サーンス作曲
交響曲ヘ長調「首都ローマ」
交響曲第3番ハ短調作品78「オルガン付」
ジャン・マルティノン指揮
フランス国立放送交響楽団
(EMI 50999 6 31804 2 8)