かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ベートーヴェン ミサ・ソレムニスと合唱幻想曲

今回のマイ・コレは、ベートーヴェンの大作、ミサ・ソレムニスと合唱幻想曲です。デイヴィス指揮、バイエルン放送交響楽団ほかです。

ここで一気に三大レクイエムをそろえないのが以前の私でして^^;

ひとつ曲がり角〜一つ間違えて〜曲り道くーねくーね〜♪

実は、ベートーヴェンのこの二つの曲は以前から聴きたかった曲だったのです。そのうちミサ・ソレムニスの存在を知ったのは初めて第九のCDを買った高校生の頃ですから、もう20年以上前になります。

宗教曲に本格的に興味を持つようになってきたこの十数年前になって、ようやく買うことができたのでした。

ベートーヴェンの合唱曲といいますと、このミサ・ソレムニスが交響曲である第九を抜かせば一番有名ですが、そのほかにもハ長調ミサやかんらん(オリーヴ)山上のキリストという曲もあり、結構書いています。

まず、ミサ・ソレムニスからですが、この曲は評価が真っ二つに分かれるんです。名作or駄作・・・・・さて、どちらなんでしょうか。

私は、ここでは名作といわせていただきます。その理由は、ベネディクトゥスにあります。

通常、ベネディクトゥスソリストと合唱で構成され、ソリストの部分はサンクトゥスと別な旋律になりますが、合唱部分、特に「いと高きところにオザンナ」の部分はサンクトゥスと共通になるのが普通で、せいぜい移調するくらいです。

それが、このミサ・ソレムニスでは、全く別の旋律になっています。その上、サンクトゥスと連続して演奏されるという、一見するとまことにミサ曲らしくない構成になっているのです。

通常、駄作といわれるゆえんは、この曲が異常にながいことなのですが、この構成に目を向けますと、全く違ったものがこの曲からは見え隠れします。それは、宗教を超えた宗教・・・・・キリスト教の精神によっていながら、もっと深遠な世界へと目が向けられている、そんな気がします。だからこそ、この曲は長いのだと思います。

デイヴィスの指揮のもと、オケと合唱団は非常に高いレヴェルで表現しており、一音一音がきれいに表現されているのには息をのんでしまいます。特に圧巻はクレド。復活のシーンは、とてもドラマティックです。一度音楽が途切れ、アカペラで「キリストは復活せり」という部分はとても美しく、この曲がはっきりと宗教曲であると教えてくれる上に、まるで映画のワンシーンを見ているようです。

こういう曲を聴いてしまいますと、下手な映画が見れなくて困ります^^;

この演奏では2枚組になっていまして、先日ご紹介したものよりずいぶん長めですが、それでもこの曲は長く感じられません。なるべくいいデッキでこの曲は聴かれることをお勧めします。その細部がわかってきますと、この曲はがぜん短く感じられるはずです。

少なくとも、バッハからの伝統はきちんと受け継いでいる曲です。その上で、全く新しい地平へと向かおうとしている・・・・・それが、この曲なのであると思います。

一方の合唱幻想曲。実は、この曲はベートーヴェンが力を入れた曲でして、この曲と同じ初演コンサートに乗った曲は、交響曲第5番、第6番、ピアノ協奏曲第4番、そしてミサ曲ハ長調の一部なのです。で、メインは?といいますと、実はこの合唱幻想曲なのです。

ソリストが6人、ピアニスト、合唱団、そしてオケという編成で、かなりの大編成です。18分ほどの曲であるにも関わらず、さすがにこの曲をやろうというアマチュア合唱団はないですね。というのも、この曲はその大部分はピアノ協奏曲であるからです。カデンツァがないだけで、そのほとんどはオケと独奏ピアノとの掛け合いで終始します。

そもそも、この曲はピアノの独奏から始まるのです。そんな合唱曲も珍しいですね、オケ付きで。ベートーヴェンがそれまで作曲してきたすべてのものをここでたたき出したとも言っていいと思います。

ベートーヴェン堅苦しいとはよく言われますが、この二つはおそらくその極地かもしれません。が、一方でとてもロマンティックな部分もあります。なぜベートーヴェンが古典派からロマン派の過渡期の作曲家といわれるのかがよく分かる2曲なのではないでしょうか。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ミサ・ソレムニス ニ長調作品123
合唱幻想曲作品80
ルーバ・オルガナソーヴァ(ソプラノ、ミサ・ソレムニス)
ゾルデ・ミッターナハト(ソプラノ、合唱幻想曲)
モニカ・シュミット(ソプラノ、合唱幻想曲)
ヤドヴィガ・ラッペ(コントラルト、ミサ・ソレムニス)
ルイトガルト・ハンバーガー(コントラルト、合唱幻想曲)
ウーヴェ・ハイルマン(テノール、ミサ・ソレムニス)
ハインリヒ・ヴェーバーテノール、合唱幻想曲)
アントン・ロースナー(テノール、合唱幻想曲)
ヤン=ヘンドリク・ローテリング(バス、ミサ・ソレムニス)
ヴィルフリート・フォーグナー(バス、合唱幻想曲)
ゲルハルト・オピッツ(ピアノ、合唱幻想曲)
バイエルン放送合唱団(合唱指揮:ミヒャエル・グレーザー)
サー・コリン・デイヴィス指揮
バイエルン放送交響楽団
(RCA 09026-60967-2)