かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:シマノフスキ 作品集1

今月のお買いもの、ようやく本当に今月買ってきたものをご紹介することができます。今回は横浜の輸入クラシックCD店で買ってきた、シマノフスキの作品集をご紹介します。

シマノフスキは1882年にポーランドに生まれた作曲家で、時期的には後期ロマン派に属します。しかし、その作品の遍歴を見てみますと、かなりヴァラエティに富むものになっています。

このCDはその遍歴を端的に知ることができる、格好の教材だといえると思います。2枚組になっていまして、まずその一枚目をご紹介します。

一枚目は演奏会序曲作品12と、交響曲第2番と第3番がカップリングされています。この3つの曲を聴いてみますと、本当にその遍歴にびっくりします。まず、演奏会序曲は後期ロマン派の香りがぷんぷんする作品で、まるでリヒャルト・シュトラウスのようですが、交響曲第2番ではそれが若干薄まっています。それでも、後期ロマン派の香りがする作品です。

それが第3番になりますと一変します。まず、楽章が3つありそれが連続して演奏されるということ。そして声楽が使われているということ、そして一番重要なのが、その音楽は現代音楽的な和音になっているということです。

この一枚だけでも、彼の作品は時代の変遷に影響を受けたからこそ、ヴァラエティに富んでいるといっていいと思います。その上神秘的であり、なおかつ人間的な温かさをも併せ持っています。ここにそれぞれの作品が持つ魅力があります。

指揮は演奏会序曲と第2番がヤチェク・カスプシク、第3番がイェルジ・セムクフ、演奏がポーランド放送交響楽団クラクフ)ですが、豊潤でなおかつすぐれたアンサンブルを聞かせてくれます。いろんな作曲家の影響を受けながら、なおかつその個性をはなっているシマノフスキの作品に対するリスペクトを演奏に感じます。

かといって肩に力が入るのではなく、むしろ反対に力がきちんと抜けていて、それゆえに緊張感と神秘的な情景とが同居し、とても耽美的な世界を作り上げています。

それぞれ作曲年が1905年、1910年、1914年から16年となっていて、時代的に後期ロマン派から現代音楽へと移り変わる時代の作品であるわけなので、その両方の特徴が出ているのは確かなのですが、例えばスクリャービンなどと比べますと、エロスが薄いという印象を受けます。これは好き好きの問題にかかわってきますが、エロスがどうもいやだという方にはシマノフスキのこの作品群は好まれるのではないかと思います。逆に結構エロスがあったほうがいいというかたですと、スクリャービンなのではないかと思います。

私はどちらにも好みがありますので、どちらも好きだと思いますが、ベートーヴェンが好きな私としましては、しいて言えばシマノフスキのほうが若干ですが好みです。ただ、シマノフスキスクリャービンから影響を受けていますから、その匂いがあるのも実は好きだったりします。

実は先に私はスクリャービンを聴いているのです。それはまた「神奈川県立図書館所蔵CD」で語ると思います。そう、スクリャービン交響曲は図書館にもあるのです。ただ残念なのはシマノフスキがあまりないということ。シマノフスキもこうやって聴いてみますと、その作品もとても美しいですね。

そもそも私がシマノフスキに興味を持ったのは、mixiのイベント「同時鑑賞会」ですが、さらに言えば、ポーランド親日国であるということ、そしてポーランドがたどった歴史にもともと興味があるということがあります。まだまだ私はポーランドの歴史を知りません。戦後の社会主義国としてのは知識としては若干ありますが、では第二次世界大戦が勃発する原因となった、ドイツ軍のポーランド侵攻以前の歴史や文化は知っているのかといえば、はっきり言いましてノーです。

この演奏は、その一助になることは間違いないのではないかと、私は思います。この時期のポーランドを知らずして、第二次世界大戦を語るのは危険ではないかと、この演奏を聴いて思います。これだけ豊潤な作品を生み出すことができた背景には、それだけポーランドの社会が自由であったはずですし、それをなぜポーランドは守れなかったのかも、勉強する必要があるはずだと思います。



聴いているCD
カロル・シマノフスキ作曲
演奏会用序曲作品12
交響曲第2番変ロ長調作品19
交響曲第3番「夜の歌」作品27
ヴィエスラフ・オクマン(テノール
アンドレイ・バクレダテノール
クラクフポーランド放送合唱団
ヤチェク・カスプシク、イェルジ・セムクフ指揮
ポーランド放送交響楽団クラクフ
(EMI 7243 5 85539 2 5)