神奈川県立図書館の所蔵CDをご紹介するこのコーナー、今回はラフマニノフのピアノ協奏曲第1番と第3番です。ピアニストはルガンスキー、サカリ・オラモ指揮バーミンガム市交響楽団です。
前回までモーツァルトのピアノ協奏曲のピリオド演奏をご紹介してきましたが、それを借りている最中に借りていたものです。
実際、モーツァルトを聴き始めますと、そのずばらしさに魅了されまして、では、後期ロマン派のコンチェルトはどうなんだ?と興味がわいてきたときに、ラフマニノフの交響曲を知ることとなりました。すでに3番は有名ですし、さる方から音源をいただいていましたが、そのことで彼のピアノ協奏曲に興味がわいたのが理由です。
後期ロマン派で有名なピアノ協奏曲と言えばなんと言ってもブラームスですが、ラフマニノフはブラームス以上にピアノ協奏曲を作曲して、しかもそれぞれに存在感があります。実際、最初第1番を聴いたときにもその存在感に驚いたものです。それは1年以上経った今でも変わりありません。
第1番はもともとラフマニノフの音楽院での卒業制作なのですが、え、これが?と驚かずにはいられません。しかしそれもそのはず。実は私が聴いているのは「改訂版」なんですね(第3番がすでに作曲されたあとに行なわれています)。なーるほど。と言いましても、ウィキによりますと、いわゆる和音を分厚くするのをやめ、すっきりとしたものへと変更し、その上改作ともいえるくらいの変更を行なったといいますから、このあたりはどうなんでしょう?私は原典版の方に興味がわきました。
果たして、原典版はラフマニノフがいうように「おどろおどろしい」のかどうか・・・・・意外と、そちらのほうがよかったりして。
ただ、「改訂版」は今聴きましても溢れるほどのロマンティシズムですし、何か彼の「美意識」がゆるさない何かがあったのでしょうね。これは彼の音楽性に迫るという観点からは、是非とも原典版が聴きたいところです。彼は本人演奏も録音が残されていますから、そのあたりで探してゆけばいつか見つかるような気がします。
演奏者の組み合わせがいいのでしょうか、特に気をてらった感じはないのですが、次の第3番といい、第1番といい、その作品の存在感を感じざるを得ません。こういう演奏はすばらしいですね。第3番はすでにラン・ランのピアノで曲の素晴らしさを知っていましたし、またラン・ランの演奏があまりにも素晴らしかったので、果たして無事聴けるのかと心配していましたが、それは杞憂に終わりました。全くそんなことはなかったのです。こういう演奏に当たることがクラシックを聴く幸せのように思います。
ラフマニノフのピアノ協奏曲は第3番以外は・・・・・・とよく言われますが、少なくとも私はこの一枚を聴いた時にはそんな感じを受けませんでした。第3番の「存在感」が大きすぎるのです。それはこの演奏でも顕著ですが、しかし、私はその第3番が果たしてラフマニノフであると言っていいのかと思います。ラフマニノフだっていろんな顔がある・・・・・それに気づかされたように思います。
この一枚をきっかけにして、残り2番と4番もと興味がわいても来まして、実際に借りてもいますが、それをご紹介するのはもう少し先になります。次回からは再び、モーツァルトの「ピアノ」協奏曲、つまりモダンの演奏をご紹介してゆきますが、ただ、借りていたときには同時にラフマニノフも借りていたということだけは、申し添えておきたいと思います。全4曲を聴きますと、第3番のイメージががらりと変わる・・・・・そう申し上げるに、今回は留めておきたいと思います。
聴いている音源
セルゲイ・ラフマニノフ作曲
ピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調作品1
ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30
ニコライ・ルガンスキー(ピアノ)
サカリ・オラモ指揮
バーミンガム市交響楽団