かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:カール・フィリップ・エマヌエ・バッハ 弦楽のための交響曲wq182

今月のお買い物、今回は中断中の8月に買い求めました、カール・フィリップエマヌエル・バッハの弦楽のための交響曲wq182を取上げます。

カール・フィリップは前にもご紹介しましたが、大バッハの次男です。しかも、父大バッハをいたく尊敬していた人でもありますが、かといって作風は父の真似でもない、きちんと自分の世界を持った作曲家です。

その真価が再び脚光を浴びるまで、300年ほどの時間を要さなくてはならなかったのは、やはりそれだけ彼が尊敬したように、父である大バッハの音楽が偉大すぎたことが原因でしょう。ただ、日本ではいまだに大バッハの真似と捉える人たちが多いのは残念です。是非、この一枚を聴いて欲しいと思います。

「弦楽のための」と銘うたれていることから、形式的には交響曲の前身「シンフォニア」のように各楽章は全曲連続し、つながっています。しかし、急〜緩〜急といういわゆるフランス伝統の三楽章形式にのっとっている点では、やはり「交響曲」と名づけたのはうなづけます。しかも第1番ではギャラント様式が冒頭から聴くことができ、確実に古典派へと音楽が近づいているのを感じることが出来ます。

その点で、明らかに過渡期の作品なのですが、しかしその音楽は流麗です。長調は抜けるよう青空のようですし、短調は昼間の日陰を思わせます。ピリオド楽器の聖かもしれませんが、モダンで演奏してもこれは同じような印象になるような気がします。ただ、このピリオドの演奏はとても軽く、かといって軽薄ではないのが印象的です。

この点は本来日本人に好まれるはずなのですが(実際、彼の音楽はハイドンを通じてベートーヴェンにまで影響をおよぼしています)、その人気はいまいちのように思います。もっと聴かれてもいい作曲家だと思います。

このCDでは第1番から第6番と振られていますが、これはあくまでもこの「wq182」の中の第1番から第6番であり、第1番が一番最初に作曲された「弦楽のための交響曲」というわけではありませんのであしからず。実際、ウィキペディアでも番号は振られていません。このような作曲家の場合、その作品が発見されて増える場合もあるので、それが妥当だと思います。

彼は「管弦楽のための」交響曲も作曲しており、私としてはそちらも気になります。それこそ、ベートーヴェンに影響を与えたはずですし、これを聴きますとそちらの興味もわいてきます。こういう曲を聴けるのが輸入盤のいい点だと思います。

そういう意味では、HMV渋谷店が閉店するような時代の流れの中では、このようなCDをもっと扱って世に広めてゆくという作業も、CDを出版するだけでなく小売にも求められているのではないかという気がします。クラシック専門であれば、有名作曲家だけでも利益は上がるかもしれませんが・・・・・


聴いているCD
カール・フィリップエマヌエル・バッハ作曲
弦楽のための交響曲wq182
トレヴァー・ピノック指揮
イングリッシュ・コンサート
(Archiv 480 2939)