かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:ヴィルトゥオーゾ・ヴィオラコンチェルト

今月のお買い物は、お休み中に買い求めた、2枚の廉価盤の一枚目、ヴィオラ協奏曲の名曲集、というかその歴史をたどる一枚です。

ヴィオラ協奏曲というだけでも珍しいのに、その歴史をたどるという・・・・・

特に、買うときに私の心を捉えたのは、テレマンとヨハン・クリスティアン・バッハ(モーツァルトの先生に当たります)がその中に含まれていたことが挙げられます。

まず一曲目は、ヴィヴァルディのヴィオラ協奏曲イ長調RV-396です。合奏協奏曲が主流のバロックにあって、「協奏曲」を書くというのは異色ですが、これを聴きますとけっして「四季」はヴィヴァルディにとって異端な作品ではないのだなと痛感させられます。ますますバロックの名曲も聴いてみなくてはと思います。ヴァイオリンと共に他の楽器も伴奏しており、とても洗練されています。ヴィヴァルディだけでなく、スカルラッティコレルリなども聴きたくなりました。

ただ、基本的には独奏の後にオケの合奏があるので、それはバロック的と言えるでしょう。

二曲目は、テレマンヴィオラ協奏曲ト長調です。これはなんと4楽章あり、それが緩〜急〜緩〜急となっていて、形式的にも異端と言っていいでしょう(第一楽章を序奏と考えればまた違っては来るでしょうが)。

それに、冒頭独奏部分からオケがかぶってきていますし、やや古典派的とも言える作品ながら、そのメロディはバロック的という、よくよく聴いてみますと面白い曲です。それでいて、なんとも美しく聴きやすいメロディでしょう!うーん、なるほどなあと思います。だからこそ、カール・フィリップはこの作曲家へと走ったのかな?等と考えてしまいます(勿論、この曲を聴くだけで判断するのは早計ですが)。

第三曲目はヨハン・クリスティアン・バッハのヴィオラ協奏曲ハ短調です。大バッハの第11子ということからも、彼の活躍した時代は実はバロックから古典派へと移り変わる時代です。詳しくはウィキペディアの該当項目(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F)をご覧ください。

モーツァルト事典などでは、ピアノ協奏曲においてその影響が顕著だと言われますが、確かにこのヴィオラ協奏曲ではそのメロディラインなどにおいてはそれほどその影響を感じませんが、モーツァルトがすでに構造的にはすでに古典派の協奏曲を完成させていたように、すでに独奏楽器の演奏とオケはかぶっています。その点こそ、彼がモーツァルトに与えた影響だろうと思います。

ウィキではギャラント形式を使いとかかれてはいますが、メロディラインはバロックよりは古典派に近く、それでいて誰とも似ていないという、独自の世界をきちんとつくりあげています。もっと評価すべき作曲家であると思います。けっして大バッハの真似になってはいません。このあたりは、あまり日本人には知られていない部分ではないかと思います。

構造的にも、急〜緩〜急と特に冒険していないにもかかわらず、それでいて個性があるとは、素晴らしい作曲家です。

第四曲目はシュターミツ(シュターミッツともいう)という、これも日本人にはなじみの薄い古典派の作曲家のヴィオラ協奏曲ハ長調です。ウィキで申し訳ないのですが、そこでも簡単な説明しかありませんが、ご参照ください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%84

この説明で注目なのは、マンハイム楽派創設者であるということです。ハイドンモーツァルトと言った古典派の作曲家はみなマンハイム楽派の影響を受けています。ですから、この方は古典派を語るときには欠かせない人なのではありますが、なかなかその音源が手に入りにくい人でもありました。この方を持ってくるあたり、このCDを編集した人のセンスの素晴らしさを感じると共に、日本だったらここでモーツァルトのを持ってくるだろうなあと思います。このあたりが日本とヨーロッパのちがいかな、と思います。

聴いてみますとすでにソナタ形式も使われていますし、ヴィオラの音はこれほど流麗だったのか!と気づかせてくれます。この音源を聴き、そしてウィキの説明を読みますと、この方の交響曲も聴きたくなってきます。

さらに、この曲では第3楽章に初めて「ロンド」の指示があります。上三人では全くないのに、ここで初めて出てくるあたりも、この作曲家の交響曲が聴きたいと思う理由です。それはウィキの説明を読んでいただきたいのですが、交響曲を4楽章へ拡大し、そこにメヌエットを採用したということからも、この作曲家の偉業というものを感じるのです。

第五曲目はさらに日本人にはなじみの薄い、アレサンドロ・ロッラのヴィオラと弦楽のための協奏曲です。この方は私も全くその名を知りませんでした。ただ、ネットで調べてみますと演奏をする人たちには有名な方らしく、ヴィオラの名曲だと言われています。このCDだけでなく、バセットホルンと交響曲ナクソスで音源があるとのことです。しかも、熱烈なモーツァルトファンだったらしく、さらに活躍したのも同時代!

いや、実は前からモーツァルトの時代に活躍したほかの作曲家には興味を持っていまして、欲しいCDが山野にあるのはわかっているのですが、予算の関係で今はまだ買い求めていません。年末あたりになりそうです(年末は思い切って予算オーヴァーをして正月気分になろうと決めていますので)。彼もそんな一人になりそうですね。音楽自体も流麗ですし、とても聴きやすいです。モーツァルトと比べてはいけません。世界が違います。それを要求するべきではないと思います。音楽的には充分素晴らしいです。

彼の功績はその音楽ではなく、ウィーン古典派、つまりマンハイム楽派から連なる音楽をイタリアへもたらしたということなのですから。ということは、それはやがてパガニーニへとつながり、更にはヴェルディへとつながる、ということになるわけですから・・・・・・

そんな作曲家たちが、実はこの時代たくさんいたのです。そんな作曲家をご紹介できるように、しっかりと働きたいと思います・・・・・いや、本当にこの音源を聴きますとそう思います。

ヴィオラ協奏曲の歴史をたどる一枚なのに、なぜかそんなことを私は感じました。


聴いているCD
ヴィルトォーゾ・ヴィオラコンチェルト
(DECCA 480 1751)