今回の有人提供音源は、FMで放送されたディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ指揮のブラームス「ドイツ・レクイエム」です。
いただいたときには、結構いろんなアラも見えたこの演奏。今ではそんなことが全然ありません。なんと自然に私の心に入ってくることか・・・・・
恐らく、自分が持っているカラヤンの印象が強すぎたのだと思いますが、その後結構ドイツレクイエムはいろんな演奏を聴くようになって、この曲自体の魅力に気がついたのだと思います。
それは、決して声高に主張しない、人の悲しみ・・・・・それを、必死に冷静に受け止めようとするブラームスの心境。それを私が感じ取ることができるようになったからなのではないかと思います。
実際、第3曲目ではカラヤンと違い、男声パートが主役の部分で声楽が飛び出さずオケとアンサンブルしている点は、当時私は気に入らなかったですが、今ではそれを特に問題にせず聴いています。
人の心は千差万別。いろんな感情の受け取り方があります。カラヤンのようにかなりffとppを際立たせる方法もありますし、このディースカウのように全体的にアンサンブルを重視するというアプローチもあると思います。
ディースカウはもともと声楽家ですから、フレーズ重視ですからアンサンブル重視になるのは当たり前ではありますが、前はそれが物足りなかった自分がいました。けれど、今はもうそんなことはありません。
もう8年・・・・・いろんなことが自分の身にありました。それを乗り越えたかはわかりませんが、少なくとも修羅場を潜り抜けてきたことが、この演奏を問題なく聴けている理由に、もしかするとなっているような気がします。
声楽ほど、演奏者の人生が反映される音楽はないので・・・・・
聴いている音源
ヨハネス・ブラームス作曲
ドイツ・レクイエム作品45
ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ指揮
ウィーン交響楽団