かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:モーツァルト クラヴィーア協奏曲全集3

県立図書館所蔵のCDをご紹介するこのコーナー、今週もモーツァルトのクラヴィーア協奏曲の全集を取上げます。今日は第3集で、第11番から第13番までが収められています。

やはり、何度聴いても「オケとクラヴィーアとのバランスが悪い」と感じるのです。

まず、オケの各楽器が恐らくモーツァルトの時代のものではない可能性がある、ということは指摘しておきたいと思います。それでいて、クラヴィーアだけはほぼモーツァルトの時代のものを使っている・・・・・

うーん、これでよかったのかな?という気が聴けば聴くほどしてきます。演奏としてはすばらしいものなのですが・・・・・・非力なクラヴィーアの性能を引き出すため、なるべく正確に弾こうとするピアニスト。これがモダンだったら!という気にさせてくれます。

ただ、もしかするとモーツァルトはまだこの時期作曲に試行錯誤していたのかも?と思わなくもありません。当然性能が悪いわけですから、低い音は今のピアノと比べればかなり小さい音になってしまいます。その上、当時は強弱記号が楽譜にない時代。低い音は小さく、高い音は大きく演奏するのが当たり前という時代です。

このCDに収められている第13番まではクラヴィーアの独奏が始まるときの音が低かったり高かったりしますが、いくら天才とはいえ、いや、天才ゆえに理由なしに低い、小さい音で始まるはずはない、と思っています。一応、音楽は低音で始まり低音で終わるのが一番安定する、とは言いますが・・・・・

音に注目して欲しいから、という理由もかんがえられなくはないですが、それにしても小さすぎます。

モーツァルトのクラヴィーア協奏曲は、殆ど予約音楽会という、いわゆるモーツァルトが自分の作品を演奏する機会で初演されています。つまり、主役はオケでは決してなく、ピアニスト・モーツァルトなのです。それが、オケよりも小さい音、ですか?

納得いきません。ですから、以前ご指摘をいただいた「オケの編成が大きすぎる」というのは納得なのです。もっと小さかったのでは?と思います。それに、モーツァルト事典で調べた範囲では、初演時それほど大きなホールを使っていないわけで、だからこそ、小さい音から始まっているともいえるのでは?と思います。作曲の法則どおりに。

そうだとしますと、この音源のオケである「イングリッシュ・バロック・ソロイスツ」の編成はもしかするとバロック時代の楽器だからという理由からかなり大きい編成にしてしまったという可能性もある、と思います。

モーツァルトを教えた人物の一人に大バッハの二男がいた、という大バッハからの時代経過を考えるとき、その選択は果たして正しかったのか?と思わざるを得ません。確かに時代はバロックではないですが、だからといってバロックからどれだけ楽器の性能はアップしたのか・・・・・

これはいつか、コンサートで実際聴いて確めてみたいものだと思います。その結果次第においては、モダンより古楽の方がよかったりするかもしれません。特に、この番号あたりまでは・・・・・



聴いている音源
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
クラヴィーア協奏曲第11番ヘ長調K.413(367a)
クラヴィーア協奏曲第12番イ長調K.414(385q)
クラヴィーア協奏曲第13番ハ長調K.415(387b)
マルコム・ビルソン(フォルテピアノ
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
(元CD:ARCHIV UCCA9021)