かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買い物:ウェーバー クラリネット&ファゴット協奏曲他

「今月のお買い物」コーナーは3回に分けます。勿論、3枚買ってきたからですが・・・・・

まず第1回は、ウェーバークラリネット協奏曲とファゴット協奏曲他です。クラリネットは第1番と第2番、ファゴット、そしてアンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調ファゴットとオーケストラ)というラインナップです。指揮はサー・ネヴィル・マリナークラリネットがアンドリュー・マリナー、ファゴットがクラウス・テューネマン、オケはアカデミー室内管弦楽団です。値段980円!

安い、安すぎる・・・・・・

まあ、そんなことは横に置いといて。

まず、クラリネット協奏曲ですが、第1番第2番ともに1811年に作曲されています。初演も同年。つまり、これってベートーヴェンがまだ存命中なんですね。

詳しい解説はウィキペディアの以下を参照してくださいませ。

第1番
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC1%E7%95%AA_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)
第2番
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2%E7%AC%AC2%E7%95%AA_(%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC)

まず、第1番ですが、典型的な急-緩-急の展開となっていて、第1楽章は静かな前奏の後に短調らしく厳しい調子で主題が提示されます。それがソナタ形式の中で展開されてゆく「急楽章」です。第2楽章になりますとそれが平易かつ明るい曲へと変化して、三部形式の中で展開されてゆく「緩楽章」。そして、第3楽章はヘ長調のロンドによる「急楽章」となります。

聴いた感想は、古典派とロマン派のちょうど中間という感じです。

第2番も典型的な協奏曲の「急-緩-急」の構造です。第1楽章は急楽章で、毅然とした音楽が主題で提示され、その後心地良い主題展開部へ移ります。そのソナタ形式がとても心地良く、私は第1番よりこの第2番のほうが第1楽章は好きです。動き回るクラリネットが、まるで青空に響いているようです。それはソリストの力もあるかもしれませんが。第2楽章は一転短調になって、緩楽章となります。それゆえか、心なしか哀愁を音楽が帯びています。このあたりはいかにもロマン派です。

第3楽章はロンド形式の急楽章で、まるで舞踏会かと思ってしまうような曲ですが、そう単純ではありません。途中転調もあり、楽しませてくれます。

ファゴット協奏曲も同年の1811年に作曲されたものです。構造も急-緩-急であり、典型的な協奏曲の構造を持ちかつ聴きやすい旋律を持つ曲です。第1楽章は長調で舞踏会の入場行進のような前奏がまずオケで奏された後、ファゴットにより主題が奏されます。その後オケと掛け合いながらソナタ形式が展開され、堂々と終わります。第2楽章も同様に長調の緩楽章で、ゆったりと音楽が流れてゆきます。これは本当にうっとりとしてしまいます。その点はオケのせいかもしれませんね。ファゴットもこれだけ魅力的だったか!と唸らずにはいられません。

第3楽章はロンドで、これもファゴットが動き回ります。思わず体をゆすってしまいます。表面的な美しさかも知れませんが、それが飽きることはありません。むしろその形式美すら聴かせてくれます。

アンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調ファゴットとオーケストラ)はもともと1809年にヴィオラとオーケストラのための曲として書かれたものを1813年にファゴットとオーケストラのために編曲されたものです。どちらでもハ短調で書かれているのが興味をそそります。旋律がハンガリー風であるせいか、ハ短調というベートーヴェンの「運命」と同じ調性であるということを忘れさせてくれます。勿論これはロンド形式なのですが、バッハ以来の伝統である舞曲としてこれは捉えられて作曲されています。まさしく「ロンドー」ですね。

演奏全体は、さすがアカデミーという感じを受けます。この時期はアンサンブルが・・・・・という意見もあって購入するときに一端は躊躇したのですが、聴いてみればそんなことはなく、アンサンブル、アインザッツもしっかりしていますし、またサポートとしても影となり日向となりソリストに貢献しています。やっぱり、マリナーという統率者のなせる業なのでしょうか。ソリストもそれぞれ淡々としながらきちんと聴かせてくれていますし、問題ないと思います。

ウェーバーといいますとどうしてもベートーヴェンに隠れてしまい、聴かれる機会が少ないと思いますが、実に素晴らしい音楽を書くなあと思います。決して「魔弾の射手」で終わってはいけないなと思います。私はしばらく出来うる限り図書館やこうやって購入するなどして追いかけてみようかと思っています。



聴いているCD
カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲
クラリネット協奏曲第1番ヘ短調作品73(J.114)
クラリネット協奏曲第2番変ホ長調作品74(J.118)
ファゴット協奏曲ヘ長調作品75(J.127)
アンダンテとハンガリー風ロンド ハ短調ファゴットとオーケストラ)作品35(J.158)
アンドリュー・マリナー(クラリネット
クラウス・テューネマン(ファゴット
サー・ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー室内管弦楽団(聖マーティン・イン・ザ・フィールズ教会アカデミー)
(DECCA 480 1258)
※括弧内はイェーンス番号で、最近はこちらで表記されることが多いようですが、CDには作品番号だけでしたので、私のほうで調べてつけさせていただきました。