かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:ベートーヴェン 交響曲第7番・第8番

今週のマイ・コレは、古典派の交響曲が続きます。今回はベートーヴェン交響曲第7番と第8番で、指揮はサー・ゲオルグショルティ、オケはシカゴ交響楽団です。

当時大学2年生か3年生だったと思います。ショルティ/シカゴ響のコンビのファンになっていましたね。特に、弦の細やかさとか、リズム感とかにご執心でした。このベートーヴェンのCDを選ぶときに、それはかなり大きな理由になりました。

それは、第7番が「リズムの権化」といわれるほどリズムに特徴がある曲であるということと無関係ではありません。当時楽譜が読めるわけもなし。だからこそ、リズムの正確性というものを考えて選んだ一枚です。

まあ、楽譜が読めたわけではないので正確性をどこまで自分で判断して買ったのかということになりますとそれは怪しいわけですが、ただ、当時この演奏は評論家の間では正確である、という一定の評価を得ていたことは確かです。

楽譜が読めるのなら、そういう解説って大事だなあと思います。特に第7番はベートーヴェン交響曲の中でも構造的にも優れていると誉れ高い曲でもありますし、それなしには通り過ぎることはできないように思います。

このCDの最大の特長は、実はそういう解説がきちんとなされている、という点にあります。それは買ってから気づいたのですが、ブックレットには音符でリズムの解説が載っており、それは素人でも音符さえわかればどんなリズムなのかが想像できるという点で優れています。ちなみに、解説は金子健志氏。

私はこの方の解説って好きなんです。専門知識がありながら、噛み砕くその文章。よほど知識の幅が広く、しかもそれが深いのだろうなと思います。

特にそれを感じるのが実は8番の解説で、専門用語を特に羅列することなく、でもとても音楽がわかり易い解説で、これこそプロだと思います。それは、私も厚生年金基金の職員時代、それをするのがいかに大変なことなのかを身をもって経験(年金額や制度に関する受給権者への説明)しているので、今になってそのすごさが理解できるようになって来ました。

演奏のほうですが、これほど弦がはっきりと聴こえる演奏はないのではないでしょうか。音の一つ一つをとても大事にしながら、でもいいテンポで音楽が流れています。特に7番の第1楽章はそこそこ速いテンポで、それでいて弦の動きがはっきりと聴こえるというのはすばらしいです。アンサンブルだけでなくアインザッツも合っていますから、これをきいてしまうとなかなか他の演奏がきけなくて困りますね^^;

このCDは当時の私としては珍しく3000円台で購入しています。実はそれほど欲しかったものなのです。もともと、ベートーヴェン交響曲は全曲欲しいと思っていましたが、7番はやはりなるべく正確なリズムを刻むものが欲しいと思っていましたので、当時名盤の誉れ高く、リズムが正確であると評判だったこのCDが欲しかった、というわけなのです。でも、まずはサークルにお金をかけたかったので、かなり悩みましたね。

でも、今となってはそのときこのCDを買ったのは正解だったと思います。ただ、リズムが正確なのはこれだけというわけではありませんので、誤解なきよう。

それと、実はカップリングが8番だったということがあげられます。8番は実は私は7番よりも早い時期に触れていまして、ラジオのCMで第2楽章が使われていたのです。しかもそのCMでこの楽章がメトロノームを使って作曲されたということも知ったのです。

そんなCMがあるのかと驚かれると思いますが、あったのです。某ラジオ局(名前を出すのは控えさせていただきます)で「世界のマーチ」という番組がありました。その中のCMです。実は私のマーチ好きもその番組が原点で、そのマーチ好きの私の耳に強烈に残ったのが、8番の第2楽章だったのです。

それをきっかけにこのCDを買い、聴き始めた8番ですが、はじめはいわゆるパロディ的な面白さと第2楽章のメトロノームを彷彿とさせるリズムに心を奪われていましたが、だんだんその形式美や深い部分こそこの曲の魅力であると気づき始めました。

いい演奏というのは、時間が経てば経つほどいろんな発見があるものだ、と今改めて思います。



聴いているCD
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第7番イ長調作品92
交響曲第8番ヘ長調作品93
サー・ゲオルグショルティ指揮
シカゴ交響楽団
(LONDON F00L-20494)