かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

マイ・コレクション:モーツァルト 交響曲第40番・第41番「ジュピター」

今回のマイ・コレはモーツァルト交響曲第40番と第41番で、指揮はヴォルフガング・サヴァリッシュ、オケはチェコ・フィルです。

実はこれ、私の初モーツァルトCDなのです。大学3年生になっていたと思いますが、当時はやっぱりベートーヴェンが好きで、モーツァルトはそれほどでもありませんでした。

軽薄・・・・・そのイメージが、わたしにありました。しかし、そのイメージを覆すきっかけになったのが、この演奏の40番です。

実は、この時期モーツァルト交響曲に私は興味が向き始めていました。それは実は昨日ご紹介したベートーヴェンの第7番のCDとも密接に関連しています。つまり、今までは本当にクラシック初心者が聴くような曲しか聴いてこなかった私が、初めてさらにその「奥」へと足を踏み出した瞬間でした。勿論、このCDを買ったのにはそういう意識が多分に影響しています。

交響曲の歴史となりますと、やはりハイドンモーツァルトは避けて通れません。サークルで古美術、特に仏像を研究していた私は、クラシックを聴く態度もこれで果たしていいのだろうかという疑問を持ち始めていました。そんな中、世の中にモーツァルトブームがやってきます。後期ロマン派や現代音楽ブームが一段落し、その後やってきたのは何と古典派回帰でした。

モーツァルトはその筆頭だったのです。ちょうど没後200年という記念の年で、CD店はモーツァルトの特集であふれていました。そんな中流れてきた音楽が第40番だったのです。

もうひとつ、きっかけになったのは、かわぐちかいじ氏の漫画「沈黙の艦隊」です。当時私は架空戦記もの、いわゆる「IF」ものを読み漁っていました。特に、荒巻義雄氏の要塞・艦隊シリーズと、漫画の「沈黙の艦隊」は毎日と言っていいほど読み漁っていました。その中で、漫画「沈黙の艦隊」で「やまと」艦長海江田四郎氏が一人ヘッドフォンで聴いていたのが、第40番なのです。

「悪魔なのか狂気なのか・・・・・それが美しい」

これって、ふつう後期ロマン派で言われるような解説ですね。でも、作者はその言葉を海江田艦長にモーツァルト交響曲第40番を聴かせて言わせているのです。どのシーンかは忘れてしまいましたが、かなりはじめのほうなので、恐らくアメリカ第6艦隊相手か、あるいはアメリカ海軍の原潜相手か、いずれかだったと思うのですが、記憶が定かではありません(どなたか記憶が定かな方、ご指摘よろしくお願いいたします)。

日本初の原子力潜水艦で元海上自衛隊所属(勿論、原作の設定上の話しです)であった独立国家「やまと」の存亡をかけた一戦の前に、海江田艦長が仰る言葉なのですが、これはとても印象に残りました。そんな緊張の中で、このモーツァルトを聴くなんて・・・・・そう考えた理由は、私のイメージの第40番が、そんなものではなくもっとロマンティックなものだったということなのです。そういう演奏が多いですし。その概念を打ち破ってくれたのが、この演奏なのです。

テンポが速く、激しさすらあります。後年、モーツァルトが書く短調には彼の気持ち、精神状態が多分に反映されているということを知ったとき、この演奏のすばらしさを実感することになりました。と同時に、海江田艦長が仰っていた言葉の意味の一端がわかったような気になりました。

40番には二つの側面があると思います。ひとつはあふれるばかりのロマンティシズム。そしてもうひとつは激しさとドグマ。どちらに立脚して音楽を作り上げるかは、指揮者次第です。これこそ、ひとつの音楽をひとつの演奏だけで考えてはいけないということを私に教えてくれた教材となりました。

第41番「ジュピター」は古典派そのものの演奏ですが、このサヴァリッシュの指揮で聴いてみますと、二つのモーツァルトの最後の交響曲は実は裏と表なのではないか、そんな気すらするのです。

以降、ようやく私はモーツァルト交響曲や協奏曲にも興味を持つようになったのですが、それだけこの演奏のインパクトは大きかったですね。ただ、すぐにCDをどんどん買う、というところまでは行きませんでしたが・・・・・

ちなみに・・・・・

潜水艦乗り、特に聴音担当には、クラシック好きが多いという話を聞いたことがあります。特に、モーツァルトが・・・・・



聴いているCD
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
交響曲第40番ト短調K.550
交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(DENON COCO-6757)
※これはベスト1300というシリーズの中のもので、つまり廉価盤です。ベト7を正価で買ったので、もうひとつは廉価盤でと買ったのがこのCDでしたが、それ以外にこのコンビでモーツァルト交響曲全集を当時出していたということが理由でもありました。しかし、結局は他の演奏で全曲集めることになりましたが。